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FOUJITA

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(2015年/日本・フランス合作 126分)
監督・脚本/小栗康平 製作/井上和子、小栗康平、クローディー・オサール 撮影/町田博 照明/津嘉山誠 録音/矢野正人 美術/小川富美夫、カルロス・コンティ 音楽/佐藤聰明
出演/オダギリジョー、中谷美紀、アナ・ジラルド、アンジェル・ユモー、マリー・クレメール、加瀬亮、りりィ、岸部一徳、青木崇高、福士誠治、井川比佐志、風間杜夫

概要とあらすじ
1920年代からフランスを中心に活躍した日本人画家・藤田嗣治の半生を、オダギリジョー主演で映画化。「泥の河」「死の棘」の小栗康平監督が10年ぶりに手がけた長編監督作で、日本とフランスの合作映画として製作された。共演は中谷美紀、加瀬亮、岸部一徳ら。1913年、27歳で単身フランスへ渡ったフジタは、「乳白色の肌」で裸婦を描き、エコール・ド・パリの寵児となる。そして40年に帰国し、戦時下で戦争協力画を描くことになったフジタは、日本美術界の中で重鎮として登り詰めていくが、疎開先の村で敗戦を迎える。(映画.comより



狐につままれたお調子者

『死の棘(1990)』が大好きなんですけど、
残念ながら、
それ以外の小栗康平監督作品は観たことがありません。
DVDは気易くレンタルできないし、
名画座で特集が組まれても
なんだかんだで見逃してしまいます。

その小栗康平監督の、なんと10年ぶりの新作『FOUJITA』
パリで活躍した画家、藤田嗣治を描いているのですが
藤田嗣治についても上っ面なことしか知りません。おほほ。
もう、知〜らないてなかんじで観に行ったところ、
いわゆる伝記物とはまったく違う映画で
小栗康平監督独特の映像美に浸る至福の時となりました。

ばちっと決まったストイックな構図を
フィックスされたカメラで捉えた画は
まさに映画的絵画とでも言うべき美しさ。
画家を描くなら、映画そのものが美しくあるべきだ、
とでも言わんばかりです。

伝記物にありがちな史実をなぞる辻褄合わせはないにせよ、
マン・レイとその愛人のキキ、ピカソなどなど
藤田(オダギリジョー)と交流のあった芸術家たちは登場します。
とくに前半のフランス・パートでは
芸術家仲間の乱痴気騒ぎなど、多幸感に溢れています。

貧しい画家だった藤田が実力を認められて
経済的な成功も収め、
POPアイコンとして人気を博していく過程が描かれるのですから、
なおさらハッピーです。
画力に留まらず、藤田は自分を売り込むための
セルフ・プロデュースにも長けていたことが窺えます。

第二次世界大戦が始まって、
藤田が日本に帰国してからの後半は
前半とは打ってかわって非常に沈鬱なムードが漂います。
フランスではおかっぱ頭だった藤田も
軍服を着てごま塩の坊主頭
になっています。
とはいえ、複雑であるはずの藤田の内面が語られるわけでもなく、
表面上はあいかわらず飄々としてみえます。
藤田の五番目の妻、君代を中谷美紀が演じています
事実では君代は藤田より25歳年下だそうで、
まあ、その、気にしないことにしましょうか。

すでに画家として著名だった藤田は
従軍画家として、国威発揚のために戦争画を描くように
要請されされます。
戦後、戦争画を描いていたことを理由に
藤田は戦犯としてやり玉に挙げられることになるのですが
それはさすがに気の毒な気がします。
当時の日本に、軍の命令に背けるものがいたでしょうか。

かといって、藤田が意に反して
しぶしぶ戦争画を描いていたかといえば、
そんなこともなさそうな気がします。
藤田が描いた戦争画をみた兵士の家族が泣き崩れるのをみて
「絵が人の心を動かすものだということを
 わたしははじめて目の当たりにしました」

という藤田は、芸術が持つ力を改めて認識した喜びを
感じているようにさえ思います。
本作から僕が受け取った藤田という人間の印象は
ただ単に美しいもの(女性含む)が好きで、
純粋に絵を描くことが好きだっただけのように思えます。
裸婦像などを描いていたフランス時代と
戦争画とでまったく画風が異なる
のも
フランスでは敢えて日本画的なものを持ち込み、
逆に戦争画には、敢えて西洋的なものを反映させる、
「FouFou(フーフー・フランスでの藤田のあだ名。お調子者の意)」
一面が現れているのではないでしょうか。

日本の戦況が危うくなり、
田舎に疎開して暮らす藤田と君代。
加瀬亮扮する青年が狐憑きの話をしたのを機に
映画は幻想世界へと急旋回します。
川向こうの山から昇る煙に惹かれた藤田は
そこへ行ってみたいと言い始めます。
この川はおそらく三途の川。
川を渡ったその先は異次元のはず
です。
照明による演劇的な演出や
満月に照らされた水田が鏡のように光る幽玄な光景は
神秘的で美しく、かつ畏怖の念を抱かせます。
兵士の死体が折り重なる戦場と思しき場所の
川の底から浮かび上がってきたのは、
藤田が描いた『アッツ島玉砕』か。

突然の幕切れにあっけにとられましたが、
エンディングでは、
藤田が建立した「フジタ礼拝堂」が登場し、
壁一面に描かれたフレスコ画のなかには
藤田自身と君代の姿が。


戦争さえなければ、
藤田は酒と女と絵の具で戯れていたかったのでしょう。
戦争画を描いたことで戦犯として追い立てられ、
フランス国籍を取得し、日本国籍を抹消した藤田は
狐につままれたような気分だったのかもしれません。





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