" />

白ゆき姫殺人事件

ill587.jpg



(2014年/日本 126分)
監督/中村義洋 原作/湊かなえ 脚本/林民夫 撮影/小林元 照明/堀直之 録音/松本昇和 美術/西村貴志 編集/川瀬功 音楽/安川午朗
出演/井上真央、綾野剛、蓮佛美沙子、菜々緒、貫地谷しほり、金子ノブアキ、小野恵令奈、谷村美月、染谷将太、生瀬勝久、秋野暢子、ダンカン、山下容莉枝

概要とあらすじ
「告白」「贖罪」の湊かなえが2012年に発表したサスペンス小説を、井上真央主演で映画化。日の出化粧品の美人社員・三木典子が何者かに惨殺される事件が起こり、典子と同期入社で地味な存在の女性・城野美姫に疑惑の目が向けられる。テレビのワイドショーは美姫の同僚や同級生、故郷の人々や家族を取材し、関係者たちの口からは美姫に関する驚くべき内容の証言が飛び交う。噂が噂を呼び、何が真実なのか多くの関係者たちは翻弄されていき……。過熱報道、ネット炎上、口コミの衝撃といった現代社会が抱える闇を描き出していく。監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」の中村義洋。共演に綾野剛、菜々緒、蓮佛美沙子ら。(映画.comより



必見! 爆笑の階段落ち!

殺人事件の真犯人を徐々に突き止めていき、
最後にあっと言わせるミステリーのような
『白ゆき姫殺人事件』というタイトルは
あくまで意識的なミスリードで
本作で語らんとしているのは、
子どもから大人になるまで延々と続く
社会的な理不尽
でしょう。
原作が湊かなえですから、
『告白』とよく似た発想になるのは当然です。

おそらく、冒頭のシーンで映し出される
メッタ刺しにされた三木典子(菜々緒)の死体の傷跡が
まるで赤い水玉模様のようだった
のは
本作で繰り返される「記憶は捏造される」ことの宣言なのでしょう。

映像製作会社の派遣社員である赤星(綾野剛)
うだつのあがらない無能な男で
Twitterでラーメンに関するどうでもいい感想をつぶやいては
フォロワーからのささやかな反応で自尊心を満たしています。
そんなとき、かつての女友達、
狩野里沙子(蓮佛美沙子)からの電話によって
名誉挽回を図るべく、
三木典子殺害事件の取材へと身を投じるのですが、
Twitterの反応にニンマリするカットはあるものの、
全体的に説明的な本作であるにもかかわらず、
彼がこの取材を千載一遇のチャンスだと考えているような
納得のいく説明がないのは残念なところ。

契約社員の下っ端である赤星が
通常の業務はほったらかしにして、
警察の捜査もおかまいなしに
単独で長野県を取材で駆け回るのはあまりにも都合がよすぎ。
せめて、上司からお前にはあとがないとハッパかけられるとか、
なけなしの預金を下ろして自腹&クビ覚悟で取材に向かうとか、
彼なりに追い詰められているという表現は
必要だったのではないでしょうか。
また、赤星のような何処の馬の骨ともわからない男が一人で現れて、
話を聞かせてくださいとカメラを向けたとき、
取材される人は、こんなにぺらぺら喋るもんでしょうか。

赤星は取材経過をTwitterでつぶやき、
「今、この事件の核心に近づいているのは、世界中で俺一人!」
高揚感を露わにします。セカチュー病です。
本作では、SNSとくにTwitter上での誹謗中傷が揶揄されていますが
そのわりには赤星がセカチュー病を患うまで描写がもの足りないので、
赤星(@Red Star)のフォロワー数が急増して
有頂天になるようなディティールは
あってもいいんじゃないでしょうか。

本作で頻発する
Twitterのつぶやきを表示する手法は
近年では『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』などで
特徴的でしたが、
本作ではよりによって、
つぶやきをナレーションによって読み上げてしまいます。

そのナレーションは台詞回しもそれぞれに個性的で、
若そうな男性だったり、チャラそうな女性だったり、
いい年こいたおっさんだったりします。
本来、本作がこれほどまでにTwitterを前面に押し出す理由は
多くの姿の見えない(かつ匿名の)理不尽な誹謗中傷、
すなわち無意識(かもしれない)抑圧や暴力を孕んだ
社会的な「空気」を象徴させることだったはずです。
ところが、そのつぶやきを
それなりに個性のあるナレーションで読み上げてしまっては
それぞれの人物像がイメージされてしまい、
本末転倒なのではないでしょうか。

TwitterのようなSNSを映画で扱うと
インターネットの有害さを訴えているかのようになりがちですが、
勝手な噂話で他人を中傷し、勝手に盛り上がるのは
ネットがなかった時代でも同じです。
(噂やデマが拡散する範囲とスピードは桁違いですが)
それは城野美姫(井上真央)の幼少期のエピソードで
語られてはいるものの、
「他人のことに無責任な想像を巡らせてレッテルを貼ること」の
目に見えない社会的抑圧を訴えることが、
本作の本質的な主張だとすれば
このようなTwitterの扱い方には矛盾があるように感じました。

また同様に、テレビのワイドショーが
あからさまにデタラメなメディアとして揶揄され、
「カベミミっ!!」という、
あきらかに「ミヤネ屋」を意識した生瀬勝久が司会の番組で、
ワイドショーの醜悪さが強調されますが
テレビ番組の下世話で扇情的な演出と
Twitterなどの不特定多数の言説とは
同じく身勝手だったとしても
ちょっと種類が別のはずで、
同列に扱っているかのような演出には首をかしげました。
つーか、ワードショーのシーン、長いよ。
テレビではインタビューがこんな風に改編されて放送されてますよ、
といいたいのはわかるけど、
一回観たシーンを、モザイクがかかった映像で
もう一回観させられるのはうんざりです。


さまざまな証言のあとで、
最終的に城野美姫の手紙(遺書?)の内容が
本当の真実として語られます。
真犯人が逮捕されたのだから
城野美姫が冤罪だったことは明らかかもしれませんが
三木典子殺害に直接関係すること以外は
当の本人である城野美姫ですら、
記憶を捏造しているかもしれない
という
疑念の余地を残して欲しかったところ。

菜々緒が社内で盗まれたというのが
(たとえ¥5,000もする高価なものだったとしても)
たかがボールペンだったり、
城野美姫の失踪の真実が芹沢ブラザーズとかいうバンドの
コンサート・チケット
だったり、
なんだか肝心なところのしょぼさが気になったし、
ちょっと肩がぶつかっただけで
階段をごろごろと転げ落ちる芹沢ブラザーズのメンバー
には
爆笑しました。
「銀ちゃ〜ん!!」って叫ぶ声が聞こえたような気がするよ。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ