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アメリカン・ヒストリーX

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(原題:American History X 1999年/アメリカ 120分)
監督/トニー・ケイ 製作/ジョン・モリッシー 脚本/デビッド・マッケンナ 撮影/トニー・ケイ 美術/ジョン・ゲイリー・スティール 衣装/ダグラス・ホール 編集/アラン・ハイム、ジェラルド・B・グリーンバーグ 音楽/アン・ダッドリー
出演/エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング、ビバリー・ダンジェロ、ジェニファー・リエン、タラ・ブランチャード、ウィリアム・ラス、イーサン・サプリー、フェアルーザ・バーク、エイブリー・ブルックス、エリオット・グールド、ステイシー・キーチ、ガイ・トーリー

概要とあらすじ
カリフォルニアの高校に通うダニーは、尊敬する兄デレクが刑務所を3年振りに出所する日、校長に呼び出される。「兄弟をテーマに作文を書け。タイトルは『アメリカン・ヒストリー X』……」デレクは地元のスキンヘッド(白人至上主義グループ)のリーダーとしてカリスマ的な存在だった。彼がその道に足を踏み入れたのは、父が黒人のドラッグ・ディーラーに殺されたことがきっかけだった。(映画.comより



ジャパニーズ・ヒストリーNOW(例)

白人至上主義でネオナチの兄、
デレク(エドワード・ノートン)を尊敬する
弟のダニー(エドワード・ファーロング)
ヒトラーの『わが闘争』について
ヒトラーを讃える感想文を書いたことで校長室に呼び出され、
兄デレクから受け継いだ差別的思想を咎められつつ、
黒人のスウィーニー校長(エイヴリー・ブルックス)から
「明日の朝までに、兄弟についてのレポートを書け。
 タイトルは『アメリカン・ヒストリーX』だ。
 それが出来なければ退学だ。」
と、いわれます。
それが本作のタイトルになっているのですが、
兄弟をテーマにしたレポートのタイトルとして
「アメリカン・ヒストリーX」というのは
いかにも大仰です。
しかも、あらかじめ「X」とついているということは、
隠された秘密の真実について書けと言っているのです。
若干、強引な気もしますが
本作で描かれることの全てを言い表しています。

奇しくも、その日は
デレクが3年の刑期を終えて出所する日。
冒頭のシーンは、デレクが刑務所に入ることになった
3年前の出来事です。
自宅前に駐車していた車を盗みに入ったのが
黒人ギャングたちだと知ったデレクは
むしろシメたと思ったことでしょう。
正々堂々とニガーを痛めつけられるのですから。
筋肉隆々の身体にでっかいハーケンクロイツの刺青をいれているデレク
銃で強盗たちを蹴散らした挙げ句、
あきらかな過剰防衛で2人の黒人を殺してしまいます。
駆け付けた警官によってホールドアップされても
余裕綽々で笑みを浮かべるデレクの表情は
まさにキチガイの微笑みです。

デレクが逮捕される事件に到るまでを
ダニーの回想として描いた前半は
バカマッチョでおぞましいレイシストが
聞いて呆れる持論を展開し、心の底から吐き気がします。
「移民によって白人の生活が脅かされている」
「犯罪者に黒人が多いのは貧困が問題ではなく、やつらの資質のせいだ」
「移民をこの国から追い出そう!」


これ、いまの日本のレイシストとまったく同じですよね。
「在日朝鮮人は、在日特権で優遇されている」
「やつらには日本人とは違う、キムチの血が流れている」
「半島に帰れ!」

……『アメリカン・ヒストリーX』といわずとも、
「ジャパニーズ・ヒストリーNOW」でもいいくらいです。
韓国人だけでなく中国人に対しても同じです。
デレクがキング牧師について熱弁していたのも
歴史を自分に都合良くねじ曲げて解釈するという点において
日本の右翼的レイシストと完全一致します。
アメリカ社会における差別構造は派手だし、伝わりやすいので
アメリカはなんて酷い国だと思いがちですが
日本でも同じようなことが起きているのではないでしょうか。

結局、レイシストって、怯えてるんでしょうね。なにかに。
だから自分と同じような考えの仲間と寄り添ってスクラム組んで
他者を排除したがるのではないでしょうか。
で、彼らが他者を排除する理由は決まって
民族、人種、国籍、肌の色……などなど
個人の資質とは無関係なものばかりです。
なぜなら、そのようなカテゴライズが簡単だからです。
いかにもバカが考えそうなことです。

さて、3年の刑期を終えて出所したデレクは
以前とはまるっきり考え方を変えていました。
デレクは刑務所生活のあいだに、
白人グループの汚さを知り、
気のいいおしゃべりの黒人と徐々に打ち解けるうちに
人種や出自や外見が問題ではなく、
結局その人がどうかじゃん! という、
あたりまえのことにやっと気づくのでした。

そのきっかけになったのが、
白人グループにカマほられたことっていうのは
ちょっと安易な気もしますが
ともかく、デレクは自分が間違っていたことに気がついたのです。

そんなデレクの苦悩を打ち明けられたダニーが
すぐに感心して、ナチ崇拝の思想をやめるのも
随分簡単だなと思いましたが、
ダニーは思想は兄譲り、タバコは母譲りということで
そもそも簡単に周囲に影響されてしまうところがあるのでしょう。

で、ラスト。
ダニーは、おそらくデレクが殺した黒人の兄弟によって
殺されてしまいます。

虚しいエンディングですが、
怒りや憎しみの連鎖は肥大していくだけで、
決して何かを解決したり、決着が付いたりするものではないのです。

それでも、このラストシーンを観て
「ほら、やっぱりニガーが悪いじゃないか!」というひとは
いるでしょうね。





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