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ヴィジット

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(原題:The Visit 2015年/アメリカ 94分)
監督・脚本/M・ナイト・シャマラン 製作/M・ナイト・シャマラン、ジェイソン・ブラム、マーク・ビエンストック 撮影/マリス・アルベルチ 美術/ナーマン・マーシャル 衣装/エイミー・ウエストコット 編集/ルーク・シアオキ 音楽監修/スーザン・ジェイコブス
出演/キャスリン・ハーン、ディアナ・デュナガン、ピーター・マクロビー、エド・オクセンボールド、オリビア・デヨング

概要とあらすじ
「シックス・センス」「サイン」のM・ナイト・シャマラン監督が、「パラノーマル・アクティビティ」「インシディアス」といった人気ホラー作品を手がけるプロデューサーのジェイソン・ブラムと初タッグを組んだスリラー。休暇を利用して祖父母の待つペンシルバニア州メインビルへとやってきた姉妹は、優しい祖父と料理上手な祖母に迎えられ、田舎町での穏やかな1週間を過ごすことに。祖父母からは、完璧な時間を過ごすためにも「楽しい時間を過ごすこと」「好きなものは遠慮なく食べること」「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」という3つの約束を守るように言い渡される。しかし、夜9時半を過ぎると家の中には異様な気配が漂い、不気味な物音が響き渡る。恐怖を覚えた2人は、開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまうが……。…(映画.comより



仕方ありません。病気だから。(の恐怖)

「今度こそ期待してください」「今回は大丈夫」みたいな
言われかたをしている
M・ナイト・シャマラン監督『ヴィジット』
個人的には、
シャマラン監督がなぜそんな言われかたをするのか
ピンと来なかったのですが
それは僕が彼の近作をほぼ観ていないからかもしれません。
前作の『アフター・アース(2013)』なんて
ウィル・スミスの親子映画というだけで
これっぽっちも観る気になりませんからね。

本作は、POVものというべきか、
ファウンド・フッテージものというべきか、
はたまたその両方か、わかりませんが
映画監督を目指す姉のベッカ(オリビア・デヨング)
生意気ラッパー小僧の弟タイラー(エド・オクセンボールド)
ふたりが撮影したホームビデオの映像ということになっております。
POVものといえば、
なぜ、こんな状況なのにカメラを頑なに手放さない? とか、
ところで、いま観てる映像は誰が編集した? とかの
疑問がつきまとうのが常で、
本作でもそれはクリアできてはいないのですが
なぜかあんまり気になりません。(少なくとも僕はね)
なんでだろうと、考えてみたら
本作はPOVを手法としたホラーというよりも、
あくまで子供達の視点を表現するために
POVという手法が用いられているおとぎ話
だから
と、無意識に受け取ったからではないでしょうか。
子供達が自らの目で見て体験していることを伝えるための
POVであるからこそ、
ホームビデオであることを再現するために
映像の画質の悪さや過度な手ぶれなどを
強調するところはありませんでした。

15年前に駆け落ちした母親(キャスリン・ハーン)
それっきり両親と会っていませんでしたが、
ネットで彼女を見つけた両親が彼女にコンタクトし、
孫に会いたいという両親の申し出に応じて、
ベッカとタイラーは一度も会ったことがない
祖父母
のもとを訪れるのでした。
映画監督を夢見るベッカは
自分の出自の探求と
母親と祖父母の不破を解消させるという、
ドキュメンタリー作家のような気分に浸っていたのかもしれません。

おばあちゃん(ディアナ・デュナガン)
おじいちゃん(ピーター・マクロビー)
初めて会う孫ふたりを温かく迎え入れます。
宣伝では「この家には3つの約束があった……」みたいに
いかにもおとぎ話の禁否があるかのように謳われていますが
それほどのことはなく、
「私たち年寄りは、9時半には寝るからね」てことで、
9時半以降は部屋から出るな!
みたいな厳格なルールがあるわけではありません。

で、まずはなんかゴトゴトと音がするから
姉弟が部屋のドアをそーっと開けて覗いてみると
おばあちゃんが盛大にゲロをしながらうろついています。
はたまた別の日には、
おばあちゃんが四つん這いで走り回ったり、
全裸で壁を引っ掻いています。

典型的な脅かしかたが多い本作ですが
それでもやっぱりドキドキします。

おばあちゃんは、あきらかになんらかの病気で
完全にボケきっているのです。(この時点では)
でも、仕方ありません。病気だから。
おばあちゃんがいくら奇行をみせても
攻撃してくるわけではないので(この時点では)
責めるわけにもいきません。
これはもう、恐怖の『愛、アムール』です。
『スペル』とか『高速ばぁば』とかありましたけど、
昔から、動きの速いおばあちゃんはそれだけで怖いのです。
でも、仕方ありません。だって、病気だから。

一見まともなおじいちゃんも
おもらし癖があるらしく、
納屋にうんこがついた大量のオムツを溜め込んでいます。
なぜ一回溜め込むのかさっぱりわかりませんが、
仕方ありません。病気だから。
突然、道端にいた他人にブチギレたり、
なぜか予定にない仮装パーティに行こうとしたり、
ライフルの銃口を自分の口にあてがったりしています。
怖いけど、仕方ありません。病気だから。

このように、おばあちゃんとおじいちゃんは
誰の目にもおかしいのですが
あくまでそれが、老化や認知症の症状として(であるかのように)語られるので
糾弾するわけにもいかず、
だからといって理解することもできないという、
高難度な老人介護の実態を見せつけられているかのような
気にさえなります。


僕は本作を、
悪気のない強度のボケ老人に殺される話かと思いながら観ていたので
じつはこの祖父母が別人だったという「どんでん返し」
わりと素直に驚きました。ま、ちょっとですけど。
彼らは精神病院の患者で
その病院でカウンセラーをしていた本当の祖父母を殺害し、
姉弟の祖父母になりすましていたのでした。
姉弟が、本当の祖父母を写真ですら見たことがないのを
疑問視するひともいるようですが
「改札前で待っててくれるから」といわれて
「○○さんですか?」「そうです、どうも初めまして」なんてことは
あっても不思議ではないでしょう。

そんなことより、
レンジの掃除のくだりも嫌だったし、
やっぱりもっとも嫌だったのは、顔オムツでしょうかね。
本性を現したおばあちゃんとおじいちゃんが
思いのほか弱かったのは拍子抜けでしたが、
クライマックスでの、
鏡を見ることができないベッカが割れた鏡の破片で反撃したり、
いつもは調子に乗っているのに
いざというときにはフリーズしてしまうタイラーが
トラウマを打ち破り、アメフトのディフェンスそのものに
おじいちゃんにタックルするシーン

素直に胸が熱くなりました。
父親が自分たちの元を離れていった経験によって
囚われていた自分を解放する、
姉弟の成長の物語でもあったのでした。

エンドロールのラップのせいもあるかもしれませんが
持ち帰るほど尾を引く恐怖体験ではなかったものの、
十分に楽しめました。

まあ、あのおばあちゃんとおじいちゃんが
偽物じゃなくて、本物だったほうが
よっぽど怖いと思うけど。





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