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カンフーエリオット

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(原題:Kung Fu Elliot 2014年/アメリカ 86分)
監督/マシュー・バックマン、ジャレット・ベリヴォー
出演/エリオット・スコット

概要とあらすじ
カナダのブルース・リーになる夢を持つエリオット・スコット。マーシャルアーツのスーパースターになるためにはどんな苦労も惜しまない。(Netflixより)



悲しくて恐ろしい「映画ごっこ」

日本では公開もDVD化もされておらず、
Netflixのみで観ることができる
『カンフーエリオット』というドキュメンタリー。
そんなわけで基本情報も限られているのですが、
噂を聞いて観てみると……
なんだろうな、これは。

「カナダにはアクション・ヒーローがいない。
 だから僕がカナダ初のアクション・ヒーローになる」

というのは、
エリオット・“ホワイト・ライトニング”・スコットなる男。
エリオットが言うには、
彼は空手歴20年で、
キック・ボクシングのチャンピオンになったことがある
、と。
既に2本の映画を監督・脚本・主演で撮っていて
映画賞も受賞している、と。
DVDも1万枚は売れた、と。

……いうのですが、
オープニングでみせる空手の型をみても
到底、空手経験者には見えません。
(5段の黒帯だとか)
過去作の映像も、「映画ごっこ」に過ぎない
ひどい出来なのです。
普通に考えれば、鼻で笑われておしまいでしょうが、
エリオットの映画にボランティアで出演している友人たちも
どこまで本気なのかわかりませんが
いたって真面目に映画作りに取り組んでいるようだし、
エリオットのことを信用しているようす。
(それぞれの演技のクオリティもゾッとするほど低いけど)
ま、エリオットはものすご〜く胡散臭いのですが
彼が言っていることが嘘だという根拠もないわけで
(まあ、調べればすぐにわかることだけど)
なんとも気持ちの悪いふわふわした気持ちになるのです。
そして現在は3作目にあたる新作、
「ブラッド・ファイト」を撮影中のエリオット。

エリオットには、
出会い系サイト出知り合った中国系の女性、
リンダというパートナーがいるのですが、
このリンダがまた……はっきりとおばちゃんで
得も言われぬ悲哀を全身に纏っているのですが
とにかく、エリオットのことを愛しているようで
彼の映画作りを献身的にサポートしています。
(もちろん、主演もカメラマンも兼任)

まあまあ、なんとかこれくらいなら
才能も資金もないけれど、映画に対する愛情だけは人一倍で
夢を諦めずに頑張っている人ということなら
愛らしさを感じたり、ちょっと応援したくなったりするもんですが
謙虚さのかけらもないエリオットをみても
ちっともそんな気が起こりません。

2年間もエリオットに密着した本作のスタッフたちは
決してエリオットの間違いを指摘したりはしません。
この姿勢はドキュメンタリーの基本なのかもしれませんね。
とはいえ、ドキュメンタリーは
編集ひとつでいくらでも作為を込めることが出来るもの。
本作でも、エリオットがいうことを疑いつつ、
あえて野放しにしている感じがひしひしと伝わってきますが、
父親に連れられて林に行き、
チェーンソーで伐られた樹が
車の荷台に乗っていたエリオットに向けて倒れてきて
頭に当たり、昏睡状態になったと
エリオットが語る幼少期の思い出を再現した映像は
車を1台スクラップにするほどクオリティが高く、
エリオットの「映画ごっこ」に対する皮肉がたっぷりでした。

無職のエリオットは、リンダの薦めで
鍼灸学校に通うようになり、
研修で中国に行って、少林寺の僧に試合を挑んだりします。
ここでも空手を20年やっているという彼は
まともな構えすらできません。


もう我慢できないので言いますが、
エリオットは明らかに虚言癖の持ち主。
空手歴20年も、キック・ボクシングのチャンピオンになったのも、
なぜか「日本人の血が流れている」というのも
すべてが嘘に嘘を重ねているのですが、
彼の嘘は周囲の人間を騙すためというより、
自分を騙しているんですね。
これが空恐ろしい。
自分が創り上げた虚構の世界に閉じこもっているのです。
だから、自分が「映画ごっこ」を続ける理由を
「ファンの期待に応えなければならない」などといえるのです。
ファンなんか、いないのに。

終盤、本作は思いもよらない方向へと展開します。
なぜかエリオットは、アクション映画から
B級ポルノを撮影し始めます。
なんともおぞましい肉体を持った女性(男性?)が絡み合う
性転換者パーティに参加したりして
ついには自宅に女性を連れ込んだりと、
完全にエロ方面へとギアチェンジします。
これには、長らくエリオットを「かばってきた」リンダも爆発。
エリオットの経歴もほぼほぼ嘘だと判明し、
ブチギレたエリオットがカメラマンに襲いかかる修羅場へ。

結局、リンダとは破局。
カナダのボクシング協会に登録すらしていなかったエリオットは
姿を消すというエンディング。
その後、エリオットは
中国でドラマに出演しているという噂があったそうですが
ま、嘘でしょうね。





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