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コレクター

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(原題:The Collector 1965年/アメリカ)
監督/ウィリアム・ワイラー 脚本/ジョン・コーン、スタンリー・マン 原作/ジョン・ファウルズ 製作/ジョン・コーン、ジャド・キンバーグ 撮影/ロバート・サーティース、ロバート・クラスカー 音楽/モーリス・ジャール
出演/テレンス・スタンプ、サマンサ・エッガー、モナ・ウォッシュボーン

概要とあらすじ
ジョン・ファウルズの原作をスタンリー・マンとジョン・コーンが共同で脚色、「噂の二人」のウィリアム・ワイラーが監督した心理サスペンス・ドラマ。撮影はロバート・サーティース、ロバート・クラスカー、音楽は「日曜日には鼠を殺せ」のモーリス・ジャールが担当した。出演はテレンス・スタンプ(カンヌ映画祭主演男優賞)、サマンサ・エッガー(同主演女優賞)、モナ・ウォッシュ・ボーンなど。銀行に勤めるフレディー(テレンス・スタンプ)は、蝶を集めることに熱中していた。その蝶をクロロフォルムで殺すとき、何もかも忘れてしまうという変わった男だった。ある時、フレディーは賭けで大金を手に入れた。彼は郊外に家を買い、調度品を揃えた。そして美術学校に通う魅力的なミランダ(サマンサ・エッガー)という娘を誘拐し、強制的に同棲生活を送ることを計画、実行した(映画.comより抜粋



話が通じない紳士的サイコ

大昔に繰り返し観た『コレクター』
久しぶりにDVDで見てみることにしました。
とにかく陰鬱な「嫌な映画」という印象が強く、
それは今観ても間違いなくその通りなのですが、
やっぱり時が経つと、微妙に感じ方が違うような気がします。
アメリカ映画ですが、どことなくイギリスっぽく感じるのは
主人公が紳士たるべく、いつもスーツを着ているからでしょうか。

夏休みの少年のように、
網で蝶々を捕まえて喜んでいるフレディ(テレンス・スタンプ)
偶然一軒の売りに出されている空き家を見つけ、
購入することにします。
その後、映画が始まってから10分も経たないうちに
美学生のミランダ(サマンサ・エッガー)を誘拐&拉致するのですが
その間、フレディが女性を誘拐しようと考える動機などは
一切語られません。
彼が蝶のコレクターだということはわかっているものの、
収集する対象が女性へと向かう心理はわかりませんからね。
おそらく随分と長い期間をかけて彼女のことをリサーチしたうえで
今で言うなら文字通りストーカー的にミランダのあとをつけ回し、
白昼堂々、クロロフォルムを使って眠らせたミランダを誘拐します。
そして屋敷の離れにある地下室へ閉じ込めるのです。
(その地下室はかつてのキリスト教徒が
 迫害から逃れるための場所だったとかなんとか)

フレディがいくら紳士的に振る舞おうとも
眼を覚ましたミランダがこの状況に納得するはずもなく、
このあと延々と、微妙な関係の二人芝居が続きます。
序盤で明かされなかったフレディにまつわる謎も徐々に明かされ、
銀行員のフレディは、蝶の採集を職場でからかわれるほど
鬱屈した生活を送っていたところ、
たまさかサッカーくじで大金を手にして、
あらゆる自由が利くようになったとのこと。
大金持ちのサイコパス。
これはタチが悪いですな。

フレディは完全なコミュ障とでもいえばいいんでしょうか、
人間関係や社会からの疎外感を
長い間溜め込んでいたのです。
ミランダが「きっと、みんなが私を捜しているわ!」といえば
「僕のことは誰も探してないよ」と返します。
いままで随分といじめられてきたのはわかるけれど、
フレディは基本的に超〜卑屈な男で
ミランダを愛しているといい、
ミランダにも自分を愛して欲しいと思っているくせに
ミランダがその愛情に答えるような素振りをみせると
「嘘だ! 逃げたいからだろ?」という具合で
話にならないのです。
フレディがミランダに自分の蝶コレクションを自慢げに披露するシーンで
枯れ葉に擬態した羽根を持つコノハチョウ
クローズアップしていましたが
これはフレディに好意を持っているかのように振る舞う
ミランダそのものかもしれません。
はたまた、誰にも見つけられないということの隠喩か。

ミランダのほうも、上品すぎるせいか
逃げられるスキはいっぱいありそうなのに実行できず、
雨の中、フレディの頭をスコップで叩いて
ついに反撃かと思われたものの、
一発殴って血を流したフレディをみて逆に心配してしまう始末。
これにはイライラします。
結局、雨に打たれて肺炎にでもなったのか、
体調を崩したミランダは
完全に逃げられる状況になったにもかかわらず
身体を動かすことができずに死んでしまいます。

そして、ミランダの遺体を庭の樹の根元に埋めたフィレディは
「ミランダがインテリすぎた」という理由で自分を納得させ、
次の獲物を狙っているところで、ジ・エンド。

いま振り返って観てみれば、
たとえ独りよがりだったとしても
フレディはミランダを愛しているといい、
紳士的に振る舞おうとしているのですから
それを逆手に取ったミランダが心理的な反撃に出て
拉致したものと拉致されたものとの
パワーバランスが行ったり来たりすれば
さらにとてつもなく恐ろしい作品になったような気がします。

とはいえ、話が通じない紳士的なサイコは
やっぱり気色悪いのでした。





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