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ガタカ

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(原題:Gattaca 1997年/アメリカ 106分)
監督・脚本/アンドリュー・ニコル 製作/ダニー・デビート、マイケル・シャンバーグ、ステイシー・シェア 撮影/スワボミール・イジャック 美術/ヤン・ロールフス 音楽/マイケル・ナイマン 編集/リサ・ゼノ・チャージン
出演/イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、ゴア・ビダル、ザンダー・バークレイ、アラン・アーキン、ローレン・ディーン、ローレン・ディーン、アーネスト・ボーグナイン、イライアス・コティーズ、マーヤ・ルドルフ、ウナ・デーモン、エリザベス・デニィ

概要とあらすじ
遺伝子が全てを決定する未来社会を舞台に人間の尊厳を問うサスペンスタッチのSFドラマ。監督・脚本は本作がデビューとなるアンドリュー・ニコル。製作は「マチルダ」など俳優・監督として知られ、自身の製作会社ジャージー・フィルムズで「危険な動物たち」などを手掛けるダニー・デヴィート、同社の共同設立者であるマイケル・シャンバーグとステイシー・シェール。撮影は「トリコロール 青の愛」(共同脚本も)などクシシュトフ・キェシロフスキ監督とのコンビが有名で近年アメリカに進出したスワヴォミル・イジャック。音楽は「キャリントン」のマイケル・ナイマン…(映画.comより抜粋



薄っぺらい現実否認と「夢」みたいなやつ

なんで見ようと思ったのか、記憶が定かでない
『ガタカ』
観終わったいまも、いったいこれはなんだろう……
という気持ちで一杯です。

「ガタカ」というのは
本作に登場する、宇宙飛行士を養成する会社の社名ですが
Wikipediaによると
「DNAの基本塩基であるguanine(グアニン)、adenine(アデニン)、
 thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字である。」

とのこと。……そうなんですか。

そのガタカ社で
なにをやっているのかさっぱりわからないけれど
とにかくモニタに向かってキーボードを叩いている
ヴィンセント(イーサン・ホーク)
指紋(&血液)を偽装していたりするショットがあるので
なにかしら裏があるんだろうなとは思うものの、
ヴィンセントの正体にさほど疑問を持たないうちに
いきなり回想シーンへと移り、
物語のあらましをぜーんぶ説明してくれる
のです。
この構成にあっけにとられつつ観ていると、
どうやらこの近未来では
普通にセックスして産まれた子供は
生きていくうえでなにかと障害を持つ「不適正者」で
遺伝子操作によってもろもろ整えられた子供は
「適性者」である
という、
科学的根拠(?)に基づいた優性思想に支配されているのです。

で、ヴィンセントは「不適正者」で
30歳くらいで寿命を向かえるだろうと予測されています。
ヴィンセントの両親は、
その後「適性な」弟アントン(ローレン・ディーン)を産み、
ヴィンセントは体力的に優れているアントンとの関係に
劣等感を育むようになるのですが
もうこの時点で、本作が
優性思想や人間の可能性を阻害する社会的な圧力に対して
批判的である
と宣言しているようなもので
それ以降の物語は、その主張をただただ証明していくだけとなり、
どうにもこうにもノレないのです。
近未来が全体主義的管理社会として悲観的に描かれるのは
よくあることですが
それにしてもこの構成は観客の興味を削ぐばかりで、
ピンときません。

「適性者」しか採用されない宇宙飛行士を夢見るヴィンセントは
ブローカーを通じて、半身不随となった元水泳選手の
ジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ)と契約を交わし、
ジェロームになりすまして「適性者」となるわけですが、
どうやら高額な費用が必要な取引のための金を
ヴィンセントが掃除夫のバイトで捻出したというのも不可解で
具体的に金を受け渡すシーンもないので、
どれほど思い切ったことなのかを実感できません。
さらには、ヴィンセントがジェロームになりすます過程で
視力が弱いヴィンセントが手術をすると傷が残ってバレるから
コンタクトレンズにするといいながら、
身長差は足の骨を手術をして補う
のです。
遺伝子ではバレるのにコンタクトレンズはバレないとか、
眼の手術はバレるけど、足の骨を伸ばすのはOKとか、
まったくデタラメなご都合主義に混乱します。
しかも、この社会では顔で人間を判別しないもよう。
なんだかなー。

遺伝子ブローカーが登場するのは最初だけで
契約を交わしたあとのヴィンセントとジェロームは
あからさまにブロマンスの香りを漂わせ、
ジェロームはせっせとおしっこを溜めたり、
体毛をストックしたりしているのですが、
いまいち、ジェロームがなにをしたいのかわかりません。
どうやら、元エリート水泳選手である彼は
エリートであるにもかかわらず
銀メダルしか取れなかったことで絶望し、
自暴自棄になって自殺を図ったようですが
ジェロームが自分の個を没してまで
ヴィンセントに託そうとしているものがよくわからない
のです。
(ところで、またまたWikipediaによると
 ジェロームのミドルネーム「ユージーン」は
 ギリシャ語でeuは「良い」、geneは「生まれ」という意味で、
 すなわち「良い遺伝子」という意味になり、
 「優生学」はeugenicsというんだそうな)

で、ガタカ社内で殺人事件が起こり、
警察が捜査に乗り出してヴィンセントが犯人に疑われるわけですが、
この一連のくだりもいまいちぼんやりしていて、
こちとら観客に、ヴィンセントを犯人と思わせたいのかなんなのか、
はっきりしません。
さらには、捜査を担当する若手の刑事が
ヴィンセントの弟アントン
だったりして、
今度は兄弟の因縁めいたものが浮上してきます。

かつて、ヴィンセントとアントンは
海での競泳でやりあっていたことが
ジェロームが元水泳選手だということとリンクしているのですが
だからといって、まったく感慨はありません。
むしろ、ヴィンセントとジェロームのブロマンス的な関係と
兄弟の間の確執が中途半端にない交ぜに
なってしまい、
焦点が定まらなくなってしまいました。

やっぱり、この映画は最初のほうで、
出生で人生の可能性を限定されたくないよね〜
という主張を明確にし過ぎたために
テーマをなぞるような物語になってしまったのではないでしょうか。
単純に、観ていてちっともワクワクしないのです。
本作は、遺伝子によって人類が分類されるという
デフォルメされた設定ですが
少なからず出生によって生き様を限定されているという事実は
現実に存在するし、
(親の経済的状況、出生場所、人種、先天的障害などなど)
わざわざ近未来SF的な状況を設定せずとも
現実を直視したほうがより一層、本作のいわんとすることを
表現できたのではないかと思います。

宇宙船に乗って木星へと旅立つヴィンセントが
宇宙服ではなく、スーツ姿
だったりするのも
意図があるのかないのかわかりませんが受け入れがたく、
どうにもピンとこない作品でした。
な〜んか、夢を持とうよ的な?

遺伝子で全てがわかるならむしろ教えてほしいよ。
無駄な努力しなくていいんだから。





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