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英国王のスピーチ

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(原題:The King's Speech 2010年/イギリス・オーストラリア合作 118分)
監督・脚本/トム・フーパー 脚本/デビッド・サイドラー
出演/コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター、ガイ・ピアース

概要とあらすじ
現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。きつ音障害を抱えた内気なジョージ6世(ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞した。(映画.comより)



いい嫁もらったな…(フッ…)

「吃音」(=どもり)は、
現在でも原因が特定されていない病気だそうで
舌がもつれたり、「噛ん」だりするのとは別物だそうです。
障害には違いないのですが、
本来なら、「どもり」はただ巧く話せないというだけなので
本人の知的能力に問題があるわけではないのに
「バカ」と見なされ、本人を精神的に苦しめる原因となります。
逆に言うと、会議や討論の席で
たいしたことは言っていないのに(もしくは嘘ばっかりついてるのに)
口が上手いだけで優位に立てる人もいるわけですね。

この作品では、ジョージ6世(コリン・ファース)の吃音は
幼少期の虐待が原因とされていますが
王族であるという特殊な身分が彼の精神的苦痛に拍車をかけているようです。
政治的な決断はすべて議会で行なわれ、
王族はまさに「国家の象徴」として存在するハリボテ状態にも拘わらず
国民に対する責任だけは重大。
そういった王室の存在意義もこの作品の中で語られています。

ジョージ6世は非常にキレやすい性格の持ち主に見えますが
おそらくは彼がいらついているのは自分自身に対してであって
「どもると思うと緊張する」→「緊張するからまたどもる」という
いらいらループの煉獄を彷徨っているのです。
彼にとって唯一の救いは
妻のエリザベス妃(ヘレナ・ボナム・カーター)の存在です。
最大の理解者である彼女は、ジョージ6世を
時に励まし、時に甘えさえて、支え見守り続けるのです。
「あなたのどもりが可愛いから」結婚を決めたとまで言うのです。
ああ、なんて素晴らしい! うらやましい!
うらやましすぎて、なんかイライラしてきた!

ジョージ6世のトレーナー役を務める
ライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)の飄々とした
キャラクターも見どころです。
ジョージ6世はローグに振り回され、反発しながら、
徐々に「王族」と「平民」という身分を超えた友情に到るのです。
ローグの家族達もちょっと変わり者の父親を
冷やかしながらも愛しているのが見て取れます。

この作品に深みを与えているのが
ジョージ6世の吃音治療と並行して、
ナチスの台頭から戦争へと向かう時代の緊張感が描かれていることです。
小さな物語と大きな物語がやがてクロスして迎える
クライマックスは見事です。
戦争を回避することまではできませんでしたが
本来なら王位を継ぐべきエドワード8世(ガイ・ピアース)
ヒトラーやムッソリーニとの親和性があったようで
エドワード8世が女に溺れて王位を投げ出さずにいたとしたら
歴史が変わっていたかもしれません。

この作品でエドワード8世は
遊び人で女ったらしのバカアニキとして描かれていますが、
どちらかというと「身分を捨ててまでも恋に生きる男」として
美しく描かれることが多いようです。
同じ事実でも見方によって随分と違うもんですな。
「恋に生きる」と言えば、かっこいいけど
それで満足を得られるのは当人達だけで
周りにとっては迷惑きわまりないのは間違いないし、
かといって、理不尽な因習に囚われて自由な意思を持てないのも
これまた困りものなわけでして。
はたまた、そうはいっても王族に生まれた以上は
思う存分に個人の自由を謳歌されたら、たまったもんじゃないし……

王族という身分が特異であるからこそ
外圧および内圧の中で生きる人間の苦しみを際だたせ、
吃音というコミュニケーション不全をモチーフに
真の心の安らぎをつかみ取る、そんなサクセスストーリーでした。
(王族にサクセスっつーのもアレだけど)

ちなみに、トム・フーパー監督『くたばれ! ユナイテッド』
リーズ・ユナイテッドを立て直したサッカー監督の実話に基づく作品で、
イングランドサッカーのファンには面白い作品ですよ。





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