" />

ハッシュパピー バスタブ島の少女

bosw.jpg



(原題:Beasts of the Southern Wild 2012年/アメリカ 93分)
監督/ベン・ザイトリン 脚本/ベン・ザイトリン、ルーシー・アリバー
出演/クワベンジャネ・ウォレス、ドワイト・ヘンリー

概要とあらすじ
新人監督のベン・ザイトリンが弱冠29歳で手がけ、低予算のインディペンデント作品ながらも、サンダンス映画祭やカンヌ映画祭で受賞を果たして脚光を浴び、第85回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされたドラマ。米ルイジアナ州の湿地帯に、世間から隔絶された「バスタブ」と呼ばれる小さなコミュニティーがあった。少女ハッシュパピーは毎日がお祭り騒ぎのようなバスタブで気ままに生きていたが、ある日、大嵐が襲来したことをきっかけにバスタブは崩壊。さらに、父親のウィンクが重い病気にかかっていることを知ったハッシュパピーは、音信不通になって久しい母親を探しに外の世界へ足を踏み出していく。ハッシュパピー役はオーディションで選ばれた撮影時6歳の少女クワベンジャネ・ウォレスが務め、史上最年少でのアカデミー主演女優賞ノミネートを果たした。(映画.comより)



ヒグマドン、襲来か!

たとえば、『魔女と呼ばれた少女』のように
過酷な現実を題材にしながらも、ドキュメンタリーに留まることなく
ファンタジーの要素を加えることで
より普遍的なテーマを喚起させる……
どうやら僕はそんな映画が好きなようでして
賞レースのゆくえなどに興味はなく
予告編で感じた好感を頼りに映画館へと足を運んだのでした。

賞レースの結果が映画館へ足を運ぶ動機にはなり得ないものの
映画賞に名を連ねるということは
作品がそれなりの水準を満たしているのは事実だろうし
ずるい言い方ですが、ある種の保険にはなるのです。
ま、これはとんでもない愚作かもしれないと思いながら
恐る恐る映画館へ行くのも、これまた楽しいのですが。

ルイジアナ州の湿地帯にあるとされる「バスタブ」と呼ばれる集落は
アメリカ南部で過酷な生活を送るマイノリティーたちの現状を
総合して抽象化された架空の集落です。
なかでもハリケーン・カトリーナによるニューオリンズの被害は
大きく影響を与えているのではないでしょうか。

前半はとにかくカメラの手ぶれが強烈
しかもピントもままならないカットが多くあり船酔い寸前。
水没する集落だけにね! なんて
うまいこと言われても知ったこっちゃなく
映っているものに集中できません。
「ドキュメンタリー・タッチ」なんて言い方も食傷気味ですが
ここはちゃんと観たいと思うシーンでも
カメラはゆらゆらと揺れ続けているのです。
これにはまいった。

手ぶれに耐えているうちに物語は進み、
100年に一度の大嵐がくるということで「バスタブ」は騒然。
退去を決断するものが多くいるなか
ウインク(ドワイト・ヘンリー)
その娘ハッシュパピー(クワベンジャネ・ウォレス)の家族と
わずかな仲間たちは「バスタブ」に留まることを固持するのです。
自分の生き方はそうやすやすと変えないぞという
誇りのようなものを感じさせはするものの、
彼らの暮らしぶりを見るにつけ、彼らの居場所が
「バスタブ」でなければならない動機がはっきりとしません。
いかにもあり合わせのもので作られた住まいは
どう見ても、どこかから「バスタブ」に流れ着いた彼らが
仮に住み着いているようにしか見えず
「バスタブ」に対する彼らの執着が理解できないのです。
彼らが「ここがオレの根城だ!」と言い張る
ガード下のホームレスのように映るのは僕だけでしょうか。

ハッシュパピーに扮する
クワベンジャネ・ウォレスの可愛いさは文句なし。
ただの人形のような可愛さではなく、
困難に立ち向かおうとする強さが可愛いのです。
強制的に保護されたハッシュパピーが
なんだか女の子らしいおべべを着せられていたシーンでは
やっぱり彼女の魅力は半減していました。
(アカデミー賞表彰式でのクワベンジャネちゃんが
 髪の毛をストレートにしていたのは、もっとがっかりするけど)

ウインクに扮するドワイト・ヘンリーも
普段はパン屋を営む素人役者だそうですが、迫真の演技でした。
ウインクの育児法は、一見厳しそうに見えて
ハッシュパピーを「ボス」と呼ぶなど
娘に対する敬意も持ち合わせています。
ウインクはハッシュパピーに一人で生きていくための心構えを
教え込もうとしているようですが
おそらくは、病院で診断を受ける前から
自分の死が近いことを悟っていたのでしょう。

遙か昔から氷河に閉じ込められていた「オーロックス」という巨大な動物が
環境の変化によって生き返り、
やがて訪れる世界の終わりを象徴するように
「バスタブ」へとやってくるのですが、
オーロックスに託された作品の意図がどうもはっきりしません。
オーロックスはハッシュパピーの空想の産物だと考えられるので
「バスタブ」へ向かってくるのはいいとしても
ウインクの死と共に到着するオーロックスが死神の使いには思えず
また、ハッシュパピーと対峙した瞬間に大人しくなってしまうのも
いまひとつ性格を描ききれていない感じがします。
オーロックスの数が3〜4頭というのも中途半端で
大群か1頭であるべきではないでしょうか。

この作品に対して、宮崎アニメの影響を示唆する意見があるようですが
確かにハッシュパピーは『ポニョ』のようでもあるし、
オーロックスは『ナウシカ』のオーム、もしくは
『もののけ姫』のオッコト主のようでもあります。

僕は映画を観ているとき、その映画と全く関係のないことが
つぎつぎと頭に浮かび、それをかき消すのに忙しかったりするのですが
オーロックスを見て、なぜか
新井英樹のマンガ『ザ・ワールド・イズ・マイン』が頭に浮かびました。
あれ映画化したらヒグマドンはせめてこれくらいのクオリティーがないとな〜しらけるよな〜でもどうせ予算ないんだろうな〜監督は誰がいいかな〜園子温じゃ勝手に自分の話にしそうだしな〜三池かな〜いや〜ちょっと軽くなっちゃうかな〜いやいやいまそんなこと考えなくていいから(映画に集中取り戻す)

て、感じでした。(なにが、でした。だよ)





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ