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愛おしき隣人

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(原題:You, The Living 2007年/スウェーデン・フランス・ドイツ・デンマーク・ノルウェー・日本合作 94分)
監督・脚本/ロイ・アンダーソン 撮影/グスタフ・ダニエルソン 美術/マグヌス・レンフォルス、エリン・セゲルステット 音楽/ベニー・アンダーソン
出演/ジェシカ・ランバーグ、エリザベート・ヘランダー、ビヨルン・イングランド、レイフ・ラーソン、オリー・オルソン、ケマル・セナー、ホカン・アンサー、ビルギッタ・ペルソン、グンナイ・イバルソン、エリック・ベックマン

概要とあらすじ
ロックスターとの結婚を夢見る少女、世界で一番ついてない夫婦、誰からも愛されたことのない男、「誰も私を理解してくれない!」と泣き叫びながら歌う女、困窮した家計を静かに嘆く精神科医……北欧の町を舞台に、一生懸命に生きながらも恵まれない人々の日常をユーモラスに描く。監督は前作「散歩する惑星」(2000)でカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞したスウェーデンのロイ・アンダーソン。(映画.comより



最後に訪れるどうしようもない絶望

ロイ・アンダーソン監督
「リビング・トリロジー」と呼ばれる三部作を
3〜1〜2というデタラメな順番で観ているワタクシ。
我ながら情けなくなりますが
今回は、2の『愛おしき隣人』です。

『散歩する惑星』『さよなら、人類』と同様に
監督自前のスタジオ24で撮影された全編セットによる映像
とても既視感を感じます。
あいかわらず、さまざまなエピソードのスケッチがコラージュされ、
ほかの2作のシーンとシャッフルしても
問題がなさそうな気さえします。

やはりあいかわらず、
シニカルな笑いが散りばめられていますが
三部作の中で、
じつはもっとも人類に対するラブリーな視線に
満ちているのではないかと思いながら観ていましたが、
それもラストシーンですべて覆されてしまいました。

「誰も私を理解してくれない!」と泣き喚く女には
心底苛立ちましたが
基本的に、本作に登場する人物たちはみな同様に
現状に不満を感じています。
些細な夫婦げんかも、銀行に騙されたチューバ吹きも
ことごとく間の悪い精神科医も
みな一様に現実の生活にうんざりしています。
そんな現実から逃れるように
自分が死刑囚になるようすや
ロックスターと結婚して、みんなから祝福される夢をみます。

登場するバーはいつも閉店間際で
バーテンが「明日があるから」とラストオーダーを促します。
自分ではどうすることもできない現実に悲痛な叫びをあげ、
決して報われることがない未来を嘆いても
今日はこれでおしまい、明日になればいいことがあるさ……
というような、ささやかな気休めによって
なんとか精神の均衡を保っているのでしょう。
ていうか、そうでも思わないと
やってらんないですよね、人生なんて。

高慢ちきで口うるさい客の頭を
バリカンで刈ってしまう床屋のシーン
は爆笑でしたが
いろいろとうまくいかないことや悲しいことが
誰にでもあるけれど、
「明日があるから」と自分を慰めて
少しでも明日がマシになればいいね、という
ほっこりした結末になると思っていたのですが
ラスト近くなると、なにやら空を見上げる人々。
その人々の視線の先には
隊を成して飛来する大量の爆撃機があったのでした。

なんという絶望でしょうか。
「明日があるから」と思っていた人々に対して
「明日なんかないよ」というのです。
それともあの爆撃機は
いつかわかないけど必ずやってくる「死」のメタファでしょうか。

ひきこもごもな人生を描きつつ、
最後ですべてをくつがえす辛辣さ。
三部作の中でもっともダークな作品でした。





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