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ハッピーボイス・キラー

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(原題:The Voices 2014年/アメリカ 103分)
監督/マルジャン・サトラピ 製作/マシュー・ローズ、アディ・シャンカール、ロイ・リー、スペンサー・シルナ 脚本/マイケル・R・ペリー 撮影/マキシム・アレクサンドル 美術/ウド・クラマー 編集/ステファン・ロシュ 音楽/オリビエ・ベルネ
出演/ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリック、ジャッキー・ウィーバー、アディ・シャンカール

概要とあらすじ
「ペルセポリス」「チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢」など独特の世界観で知られるイラン出身の女性監督マルジャン・サトラピが、「デンジャラス・ラン」のライアン・レイノルズを主演に迎え、キュートかつポップな感覚で描いたスリラー。不思議な魅力を持つ青年ジェリーは、バスタブ工場で働きながら代わり映えのない日常を送っていた。同僚の女性に恋心を抱いたジェリーは、精神科医の助けを借りながら彼女との距離を縮めようとするが、デートをすっぽかされたことで殺人事件を起こしてしまう。ジェリーはペットの邪悪な猫と慈悲深い犬に導かれながら狂気にとらわれていき、事態は予想外の展開を迎える。共演は「ピッチ・パーフェクト」のアナ・ケンドリック、「007 慰めの報酬」のジェマ・アータートン。(映画.comより



これがCPスリラー!(だそうな)

実現困難な脚本として
ブラックリストに載ったこともあるという
『ハッピーボイス・キラー』
監督は自伝的アニメ『ペルセポリス』が印象的な
マルジャン・サトラピです。

惹句には
「キュートでポップなスリラー」
(CP(キューピー)スリラーと名づけたらしい)とあって
たしかにそうなのかもしれないけれど
序盤はまったくスリラーの気配がありません。
バスタブ工場で働くジェリー(ライアン・レイノルズ)
明るく爽やかな性格ではあるけれど
さっぱりイケてない独身男。
なぜか、元ボーリング場に住んでいる彼は
犬と猫を飼っていて、
インテリアを見る限り一見裕福そうにも見えます。
ところが、彼にはちょっと変わったところがあって
飼っている犬猫と会話することが出来るのです。

イギリス出身の同僚フィオナ(ジェマ・アータートン)
ほのかな恋心を燃やすジェリーは、
家に帰れば、まっとうなことを言う犬と口汚い猫に
恋愛指南を受けたりしているのですが、
恋愛にまつわる駆け引きも
既視感のあるものばかりで、
このドクトルなんとかみたいな序盤は結構かったるい。
かろうじて、ジェリーが精神科医(ジャッキー・ウィーバー)
セラピーを受けていて
なにやら精神的に不安定な状況をもたらすような
重大な過去があるらしいということが
退屈な序盤をやりすごす支えになっています。

そうこうするうちに、
やっと最初の殺人シーンが。
車ではねてしまった鹿の「殺してくれ」という声を聞いたジェリーが
鹿の喉をかき切るのをみたフィオナが
恐怖に駆られて逃げるのを弁解しながら追いかるジェリー。
ジェリーがつまずいた拍子にフィオナをナイフで刺してしまうという
グズグズ感がナイス。
ところがその後、ジェリーは
「ごめんね、ごめんね」と呟きながら、
フィオナを繰り返しメッタ刺し
にするのです。
このシーンで、完全にジェリーの狂気が露見するのですが
彼がフィオナを殺すのは鹿を殺したのと同様に
「苦しんでいる相手にトドメを刺すこと=楽にしてあげること」
と考えているフシがあります。
それは言わずもがな、
養父の虐待に怯えていたジェリーの母親が
死を選んだものの死にきれず、
幼いジェリーが母親から「殺してくれ」と頼まれた過去
起因しているのでした。

ジェリーはいわゆる統合失調症
妄想の中であらゆるものと会話してしまうのですが
それだけならまだしも、
フィオナの死体を部屋に持ち帰ったジェリーが
死体を細かく切り刻んで大量のタッパーに詰め、
そのわりには、頭部だけはキレイに首チョンパして
冷蔵庫の中に保管する
……というのは
ま、れっきとしたキチガイです。
(切り刻んだ人肉をタッパーに詰めるというのは
 処分する気もないわけで
 一体どうしたいのか不思議です。食うのか?)

その後、やはり同僚のリサ(アナ・ケンドリック)
ジェリーに殺されるハメになり、
首チョンパされてフィオナと一緒に冷蔵庫に入れられて、
ジェリーに話しかけてくるのですが
ふたりの生首が揃うことで状況に変化があるかといえば
そうでもありません。
なにしろ、すでにジェリーのサイコパスな性格が
前傾化してきているので
ジェリーの狂気をサスペンスとして表現すればするほど
生首が喋るというポップさが空々しくなってきます。

かといって、ジェリーの狂気が
どんどんエスカレートしていくかといえばそうでもなく、
いや、エスカレートしているのかもしれないけれど
とうとうこんなことに……という感慨がまったく浮かばず、
倒錯した表現によって現実をあぶり出したいのか、
はたまたその逆なのか

どっちつかずな印象になってしまいました。
そりゃあ、実現困難ブラックリストにも載るわ。

ジェリーの部屋は
じつは血みどろの汚い部屋で
きれいに整えられていたかにみえたのは
ジェリーの脳内映像だったりするのですが
それならもっとあからさまな差をつけてほしかったし、
逆に、ジェリーが妄想の世界で生きているのならば
喋る生首たちをもっと有効活用しほしかったところ。

笑わせたいのか怖がらせたいのか
よくわからんがなんかスゴイ! ってのが一番ですが
コメディ部分とシリアス部分がはっきりと分かれてしまい、
ただただ困惑するだけだったし、
テンポが悪いのでダレる時間も長く、
とんでもない脚本のわりには演出が真っ当すぎて、
ちょっぴり残念でした。





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