" />

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド

ill555.jpg



(2015年/日本 88分)
監督/樋口真嗣 特撮監督/尾上克郎 原作/諫山創 脚本/渡辺雄介、町山智浩 製作/市川南、鈴木伸育 撮影/江原祥二 照明/杉本崇 美術/清水剛 編集/石田雄介 特殊造型プロデューサー/西村喜廣 音楽/鷺巣詩郎
出演/三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、松尾諭、渡部秀、水崎綾女、武田梨奈、石原さとみ、ピエール瀧、國村隼

概要とあらすじ
諫山創の大ヒットコミックを実写映画化した「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」2部作の後編。超大型巨人によって破壊された外壁の修復作戦に出発したエレンたち調査兵団は、巨人の襲撃によって窮地に陥る。エレンも深手を負った上に、仲間のアルミンをかばって巨人に飲み込まれてしまい、その場にいた誰もが絶望の淵に立たされる。しかしその時、謎の黒髪の巨人が現れ、他の巨人たちを駆逐しはじめる。監督は「のぼうの城」の樋口真嗣が務め、「ローレライ」「戦国自衛隊1549」「のぼうの城」など数々の作品で特撮技術を支えてきた尾上克郎が特撮監督として参加。主演は三浦春馬で、共演に長谷川博己、水原希子、本郷奏多ら。脚本を「GANTZ」シリーズの渡辺雄介と映画評論家の町山智浩が担当。(映画.comより



目をつむるどころか、覆っちゃうよ!

賛否両論(否多め)が乱れ飛んだ
『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の前篇は
原作と違う! という意見は脇に置くとして
特撮演出の楽しさのために
ドラマ演出の酷さにどれくらい目をつむれるか
、で
評価が分かれるんじゃないかと思っております。
かくいうワタクシは、
キモい巨人の群れと巨人化したエレン(三浦春馬)の
格闘シーン
は最高に楽しめたし、
ドラマ演出には辟易しながらも
まあ前篇だし、状況説明に追われるところもあるだろうから
仕方ないかもねと、
わりと優しく……というか、判断保留の状態でした。
で、この後篇です。

……なんということでしょう……
前篇の魅力だった特撮格闘シーンは大幅に減り、
にわかには信じがたいほどの酷い人間ドラマ演出が
大半を占めている
ではありませんか。
先に「ドラマ演出の酷さにどれくらい目をつむれるか」
なんていいましたが、
これじゃ目をつむるどころか、目を覆っちゃうよ!
しかも、そのほとんどが
ほんとに目をつむっていてもわかるくらいの
説明的演説セリフばかり。
政府(?)の思惑、反乱軍の意図、巨人の正体などなど
観客が謎だと感じる前に全部教えてくれるので
なるほど、そういうことか! という驚きはなく、
ふーん、そうなんだー(棒)……としか感じません。

トラックに乗って
土に埋まった不発弾を取りに行くという面々は
まるでピクニックにでも出かけるようなお気軽さ。
壁の外は巨人だらけだと思っていたのに
キモい巨人たちはひなたぼっこをしてるだけ
ちっとも襲ってきません。
ていうか、食いしん坊の女の子が
ミカサ(水原希子)にじゃがいもを差し出して、
遠慮したのかミカサが断って、うふふ♡みたいなくだり…
なにあれ?
とにかく、この5〜6人のクラスメイトたちだけで物語が進み
前篇の魅力のひとつでもあった群衆モブシーンがまったくなく
一般人は登場すらしないので
ものすごーく狭くて小さいお話になっています。

シキシマ(長谷川博己)率いる反乱軍と一緒にいたエレンと
再会するクラスメイトたち。
(その前に白い部屋のシャンパン問題とかあるけど、もういい!)
あいかわらず演説をぶるシキシマがすべてを説明し、
エレンをボコります。
その周りでクラスメイトたちは「どうしようか…」なんて
見ているだけなので
エレンとシキシマがミカサをめぐって痴話げんかしていると
思っていた僕は
いやいや、ケンカを止めに入ればいいじゃんと思っていたら、
どうやらクラスのみんなは
多くの犠牲者が出るシキシマの作戦を阻止しようと考えていたのでした。
目の前でエレンがボコられているのはどうでもいいのか……
で、力自慢の男子が
力任せにワーってやってドカーン。

いや、もう細かいことはすっとばそう。
前篇で登場した「理科室の標本みたいな巨人」の正体が
國村隼だった
というのは本作唯一の見どころ。
巨人エレン vs 巨人シキシマ vs 國村隼という
三つ巴の格闘シーンがクライマックスに用意されていたら
少しは楽しめたかもしれません。

大量の説明セリフがあるわりには
エレンとシキシマが兄弟だったことは
軽くしか扱わないし、
エレンと生き別れたあとのミカサが
どういう心情で生きてきたのかさっぱりわかりません。
とにかく、壁の上に立ったふたりは
生まれて初めて憧れの海を見るのです。
海、エラい近いな! というのはともかく
國村隼ひとりを倒せば政府がなくなるわけでも、
巨人がいなくなるわけでもなく、
本作が始まった時点から
状況は1ミリも変わっていない
のはどういうことか。
むしろ悪くなってないか?
元カノと一緒に海が見られたからいいのか?

どうやら本作は、
もともと1本の映画として作られるはずだったものを
「大人たち」の事情で前後篇に分けられたとのこと。
そのせいか、とくに後篇は
尺かせぎとしか思えないダレダレなシーンの連続ですが、
これ絶対に1本にできるはずだし、
1本にしていたら、もっとテンポアップして
もう少し出来のいいものになったような気がします。

本作は、映画評論家の町山智浩氏
初めて脚本家として参加したことも話題(&炎上)の
ひとつになりました。
映画公開以降、まるでスポークスマンのように
いろんな場所で本作について発言されていますが
いつも評論しているくせに自分でやったらこのありさまかよ、とか
このシーンはこういう意味があるとか説明するのが
いいわけがましい
、とか
ま、非難が集中しているのですが
僕はそこまで町山氏の責任を追及する気にはなれないし、
ちょっと的外れな批判かなと思います。
いわゆる有名税てやつなのかもしれませんが。
(念のためにつけ加えますが、
 町山氏を擁護するつもりもないし、
 ましてや「信者」などではありません)

また、評論家なんだから、
自分が脚本した本作を自分で評論してみろ
という意見にも
首をかしげてしまいます。
本作における町山氏はあくまで脚本家であって
評論家ではありません。

評論は客観的立場にいるひと(観客含む)によってなされるべきで
むしろ、自分が作り手として関わった作品に対しては
決して評論してはいけない
と思います。
(反省はしてもいいけど)
もちろん、評論家とは外部からケチをつけるだけで
自分ではなにもできないじゃないか、
などという意見は論外です。

もちろん、映画制作に関わった以上、
町山氏に責任がまったくないはずはありませんが
脚本にはもうひとり渡辺雄介氏が加わっているわけだし、
前篇の、武田梨奈の唐突なセックスシーン
脚本では「抱き合っている」としか書かれていないなどという
話を聞くと
大量の人間が関わる映画作りにおいて
自分の思い通りの作品を作るのはほとんど無理なんだなあと
思うばかりです。
ま、自分が考えていたものとは違ったとしても
出来上がった作品が素晴らしければそれでいいんでしょうけど。
もちろん、一観客である僕は
そんな裏事情などまったく考慮せずに感想を書くつもりですが
脚本と演出の関係を少しだけ垣間見ることが出来たのは
興味深い経験でした。

ハリウッドでは、編集権を持っているのは
プロデューサーの場合が多い、なんていう話も聞きますが
少なくとも本作において
アウトプットされた作品において批評されるべきは
樋口真嗣監督
だと思います。
樋口監督とて、すべて自分の思い通りだったとは
いえないでしょうが
矢面に立たされるのは監督であるべきなのではないでしょうか。

なんか、エンドロールのあとに
メタな含みを持たせるオマケがありましたけど
気にしないことにします。
町山氏には、いつか本作の制作過程の裏側をつづった
暴露本を書いてほしいですね。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

園子温 うつしみについて

はじめまして
映画うつしみについてお聞きしたいのですが
12人の女優が集まって荒木さんに写真を撮られる
シーンがありますが、この12人の女優名をご存知ですか?または手がかりとしてスティール本を探していますが出版されてますか?

2015/09/27 (日) 18:32:48 | URL | ミキ #y5Gzv1vg [ 編集 ]

Re: 園子温 うつしみについて

> ミキさん
コメントありがとうございます。
まさか、『進撃の巨人』の記事で『うつしみ』のことを聞かれるとは
思いませんでしたが
とにかく、ご質問のこと、僕はなんにも知りません。

2015/09/27 (日) 19:12:24 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ