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クーキー

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(原題:Kuky se vraci 2010年/チェコ 95分)
監督・製作・脚本/ヤン・スベラーク 撮影/ウラジミール・スムットニー 音楽/ミハル・ノビンスキ
出演/オンジェイ・スベラーク、ズディニェク・スベラーク、オールドリッチ・カイザー

概要とあらすじ
「コーリャ 愛のプラハ」で第69回アカデミー外国語映画賞を受賞したチェコのヤン・スベラーク監督が、捨てられたテディベアが繰り広げる不思議な冒険を、パペットやミニチュア、VFXを駆使して描いた作品。身体の弱い男の子オンドラは、テディベアのクーキーとずっと一緒に遊んできた。ところがある日、オンドラの母親が古くなったクーキーを捨ててしまう。遠く離れたゴミ捨て場へと運ばれたクーキーは、ショベルカーに潰されそうになった瞬間、突然動き出して森の中へと逃げ込む。次々と現われる邪魔者たちに行く手を阻まれながらも、オンドラの元を目指すクーキーだったが……。本国チェコで大ヒットを記録し、チェコ版アカデミー賞といわれるチェコ・ライオン賞で4冠に輝いた。(映画.comより



喘息少年、成長のデスロード

『トイ・ストーリー』的というのは、
違うかもしれないけれど
ともかく、ぬいぐるみが活躍する『クーキー』です。

ストップモーションでも3Dアニメではなく、全編パペット
しかも屋外ロケってすごくないですか?
つい最近、本作と同じように
ゴミとして捨てられたおもちゃや人形が登場した
『ラブ&ピース』なんてのもありましたが……
比較するのはよしましょう。
通常の倍に当たる1秒48フレームで撮影されたという映像は
パペットとは思えない動きをしたと思えば、
いかにもパペットらしいちゃっちい動き方をしたりもします。
このチープさは意識して残されているそうで
人形遊びの感覚を残しているぶん、
むしろ感情移入しやすいのではないでしょうか。

オンドラ(オンジェイ・スベラーク=監督の実の息子)
喘息持ちで、
空気の汚れを気にしてオンドラの部屋を掃除する母親は、
洗濯できないぬいぐるみのクーキー
捨ててしまいます。
ところが、オンドラにとってクーキーは大事な友達。
……なのですが、母親がいうように
小学校高学年と見受けられる男の子のオンドラが
ぬいぐるみを可愛がっているというのも
やっぱり、ちょっと心配です。
しかも、オンドラは空想癖があるようで
ゴミ箱から取り戻したクーキーをベッドの下に隠すと
空想の中でクーキーを冒険させるようになるのです。

ゴミ集積場から逃げ出したクーキーは森の中へ。
その村の村長ヘルゴット(ズディニェク・スベラーク)
助けられます。
そこではなんらかの神たちがいて、
ヘルゴットもあきらかに木の根っこみたいな風貌ですが
どいつもこいつも陰鬱でグロテスクなのは
さすがチェコ。

しかも、登場人物(?)たちの体には
小さな虫が這っていたりします。

村長ヘルゴットはそこそこ高齢なようで
目が悪くなっているのですが
クーキーを助けたからには
やっぱり人徳があるんだろうと思っていると
わりとすぐにやっかい払いをしたがる冷淡さも兼ね備えています。
「家に帰るには太陽のほうへ進め」なんて、
クーキーにいうのですが
朝と夕方では太陽の向きが違うのでクーキーは困惑します。
ていうか、その前に
切り株の中に落ちていた携帯電話を使って
オンドラに電話するクーキーでしたが……
なんで電話番号を知ってるのよ?

さて、神々が暮らす村には
アヌシュカという邪悪な顔つきの若造がいて
村長の座を狙っているのです。
次期村長になるためには
現村長であるヘルゴットでは頼りないというところを
ほかの神々に証明して見せなければならなず、
飼い犬の救出作戦を企てます。
その後は、トラックに巣を作った鳥の
卵を奪還する争い
へと話が逸れたりするのですが
とにかく、アヌシュカとヘルゴット&クーキーの
カーチェイスはなかなか迫力満点です。
まさに『クーキー 怒りのデスロード』!!
アヌシュカがニトロ的なものを
エンジンに注入するシーンまであります。
ま、そもそもなぜ森の神々が車を使うのか……みたいな疑問が
頭をかすめたりしないわけではありませんが
なんと、ガソリンで走るミニカーには
約1000万円もかかっているとか!

スピードを出すと雪が降るという設定も
ファンタジックで面白い。

基本的に、森の中で繰り広げられる物語のなかでは
クーキーはよそ者であり、巻き込まれた立場なので
クーキーを主体とした冒険譚とは言いがたい面もありますが
自然の森のなかでうごめく虫、鳥、獣、
そしてパペットたちの立ち振る舞い

魅力的でした。

そんな空想の中で遊んでいるうちに
高熱を出してしまったオンドラ。
オンドラの病状を象徴するように
「つめもの」を焼かれてぺったんこになるクーキー。
オンドラにとって、クーキーが特別な存在だと知った母親が
一週間に一度、クーキーを除菌しては冷凍するという現実が
さっきまでクーキーに感情移入していたこちらとしては
やたらと生々しかったりしますが
あいかわらず空想と現実の狭間で生きているオンドラが
村長ヘルゴットのモデルとしたのは
犬を飼っている浮浪者
で、
その浮浪者が道で倒れたとき、
オンドラはあれほど大事にしていたクーキーを
浮浪者=村長に手渡す
のです。
オンドラが成長するためには
自らクーキーと別れる必要があったのでしょう。

オンドラが、空想の中で遊ぶ子供から
大人になるための一歩を踏み出した瞬間でもあり、
オンドラが浮浪者たちを現実離れした存在だと
感じていたことがわかります。
(見下しているわけではなく)
村長ヘルゴットが老人で
クーキーが、文字通り右も左もわからない若者(子供)という構図からは
世代交代と、知識と経験の継承という側面も窺えます。
前世代を完全否定する存在がアヌシュカでしょうか。

楽しい映画っすよ。







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