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カクタス・ジャック

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(原題:Matando Cabos 2004年/メキシコ 103分)
監督・脚本/アレファンドロ・ロサーノ
出演/トニー・ダルトン、クリストフ、ペドロ・アルメンダリス、アナ・クラウディア・タランコン

概要とあらすじ
メキシコで大ヒットを記録したクライム・アクション。街の権力者で、恋人の父親でもあるカボスの元を訪れたジャック。ところが彼の目の前で、カボスが気絶してしまう。ジャックは慌てて助けを呼びにいくが、その間にカボスに恨みを持つ清掃係のチーノが現われ、カボスのスーツや時計を奪って逃走。一方、チーノの息子ボッチャはカボスの誘拐を企んでおり……。監督・脚本はポスト・タランティーノとの呼び声高いアレファンドロ・ロサーノ。(映画.comより)



悪くない! すなわち、良くもない!

メキシコでは、
なんと5人にひとりが観たというほど大ヒットした作品。
タランティーノやガイ・リッチーのような映像・編集といえば
わかっていただけると思いますが
まさに「タランティーノ風」であり、「ガイ・リッチー風」でした。
メキシコなので「ロドリゲス風」かも知れません。

個人的にタランティーノやガイ・リッチーの作品は好きなんですが、
だからこそ「タラ&ガイ風」作品には評価が辛くなります。
日本でも「タラ&ガイ風」映画はいくつか観ましたが
どれもこれも、どうしようもない愚作ばかりでした。

物語は深刻な事態が進行しているのに
マンガのコマ割りのようなカット、テンポのいい編集、
ギターメインの音楽であくまでポップ&クールにみせ、
同じ時間を別の視点で繰り返しみせるすでにおなじみとなった手法で
作品世界を操る神となり、観客を手玉にとる……
真似したくなるんでしょうなー。気持ちはわかりますよ。
うん、わかる、わかる……でも、な…
見た目だけ真似してもダメ!!

手法はあくまで手法。
どういう手法を選択するかは動機によるのです。
「ここは、スピードを上げて緊迫感を出したい」
「意外なカットを入れて観客を混乱させたい」などの
動機がまず先にあって、「じゃあこの手法だ」となるのです。
映画に限ったことじゃありません。手法を手段と置き換えてもいいでしょう。
この世のあらゆる過ちは
目的と手段を取り違えることによって起こるのです!
と、断言してしまおう! そうしよう!

現実をいかにリアルに撮るかということに苦心する映画がある一方で
映画をアトラクション化してしまう「タラ&ガイ風」映画は
「映画は作り物。ならば作り物を楽しもうぜ」といっているようです。
みんな大好き「ねずみの国」と同じく、
作り物の世界の中にいる限りはできるだけ作り物を味わおうとするのです。
決して「あそこにもねずみがいたよ!」とか
「ねずみの中の人、暑いだろうな」なんて口にしてはなりませぬ。

こういう姿勢は、斜に構えていて、なんだかかっこよく映ります。
でも、みなさんもよくご存じでしょう?
「ねずみ」だけを真似ても「ねずみの国」にはならないことを!

脚本も監督自身が書いていますが、
(出演しているトニー・ダルトン、クリストフとの共作ですが)
脚本は斬新ではなくとも悪くないと思いました。
まったく思惑の違う2つのグループがそれぞれに手違いを重ね、
どんどんドツボにはまった挙げ句に巡り会うという大きな構造の中に
様々な因縁を絡みつつ細かなネタを挟み、
「そうくるか!」という(はずの)大団円。
よくあるといえば、よくあるけど悪くないと思いましたよ。

ただ、つなぎの画が悪い! タイミングが悪い!
「もうちょっと、スパッと(編集を)切ってくれ!」と何度思ったことか。
ですから、本当は「痛っ!」ってなるところが
全然痛そうに見えないのです。
髪の毛をつかんで、頭を床やテーブルに打ち付けるシーンが
やたらと多いのですがコントのように見えます。
笑うとこなんだろうな〜というシーンでも
「ね、面白いでしょ?」と言われているようでしらけてしまいます。

せっかくいい脚本だと思うのに
細かいディティールのいいかげんさで台無しになっています。
オープニングで中華料理屋が出てきますが
ウェイトレスは和服だし、なんか鉄板焼きみたいなの喰ってるし、
鉄板焼きを混ぜてるのが中華包丁だし……
中国と日本がごっちゃになっています(これ、わざとかな?)

「人食いトニー」と呼ばれる男がちっちゃいおっさんだったのは
笑ってほしいのか知らないけど(絶対笑わないけど)
この「人食いトニー」がバーで大人数を相手に喧嘩をしている間、
3人が店の外で待っているのが気持ちの悪い長さの尺で、いかにも手持ちぶさた。
やがて店から出てきたトニーは、とくに外見は乱れた様子もなく
喧嘩相手が指にはめていた指輪を口から吐き出すのですが……
いやいやいやいや、「人食いトニー」だよね!?
指を食いちぎったんだよね!?
トニーの口元は血まみれになってないと絶対にダメだよね!?

途中、チンピラが
「『タクシードライバー』の鏡の前でいきがるトラヴィス」という、
反吐が出るほど有名なシーンを真似していますが
……いまさら!? まだ使う!? そのお茶まだ出る!?
壁に『DOWN BY LAW』のポスターが貼ってあったりもしたけど
映画愛アピール? 登場人物のキャラと合ってると思えないから
そういうのダサイと思いますよ。

なぜか夜中にたった一人で芝の手入れをする作業員のために
ナイター照明を全開に灯したスタジアムに
そんなとこまで行けるか?っていう場所から
車が観客席にダイブしますが(CGかな?)
これも唐突で世界観が変わってしまうと思いました。

ラストにつながる部屋も
あんなに何重にも鍵がかけられていたドアが
一発であっさり開いちゃうし。
どうにも「都合のいい展開」「不自然な遠回り」が散見され、
いまいち乗り切れないのです。

そもそも、ことの発端となったのは
権力者が倒れているのを見つけた掃除夫が積年の恨みを晴らすため、
ここぞとばかりに権力者が身につけているものを
スーツから時計からカフスまで身ぐるみ剥いで
自分の身につけて嬉々として帰ってしまうことなのですが
掃除夫は明日から一体どうやって暮らしていくつもりだったんでしょうか……
ただの強盗として追われるだけなんだけど……

あれ? 脚本はよかったはずなんだけどな。
おかしいな……ま、そんな傑作でした!
おすすめです!





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