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デビルズ・ノット

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(原題:Devil's Knot 2013年/アメリカ 114分)
監督/アトム・エゴヤン 原作/マラ・レベリット 脚本/ポール・ハリス・ボードマン、スコット・デリクソン 撮影/ポール・サロシー 美術/フィリップ・バーカー 編集/スーザン・シプトン 音楽/マイケル・ダナ
出演/コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、デイン・デハーン、アレッサンドロ・ニボラ、ブルース・グリーンウッド、エイミー・ライアン、ミレイユ・イーノス、ジェームズ・ハムリック

概要とあらすじ
1993年にアメリカで実際に起こった未解決事件で、逮捕された3人の少年に対する史上最悪の冤罪事件とも言われる「ウェスト・メンフィス3事件」を、関係者の視点からスリリングに描いた群像劇。「スウィート ヒアアフター」「アララトの聖母」などで知られるカナダの名匠アトム・エゴヤンがメガホンをとり、「英国王のスピーチ」のコリン・ファースと「ウォーク・ザ・ライン 君につづく道」のリース・ウィザースプーンが主演した。93年初夏、米アーカンソー州ウェスト・メンフィスで、児童たちが無残に殺される猟奇殺人事件が発生する。事件当日の不審者目撃情報が相次ぐものの、いずれも決め手に欠け、押し寄せたメディアによって報道は過熱。小さな田舎町の住民たちは、次第にパニックに陥っていく。やがて警察は16~18歳の若者3人を犯人と断定し、逮捕するが、そこに不自然さを感じた私立探偵のロン・ラックスは独自に調査を開始。一方、被害者のひとりの母親パムも、裁判を通して浮上したさまざまな矛盾に動揺していた。(映画.comより



現代の魔女狩りによる究極の理不尽

現実でも映画の中でも、
理不尽な状況に出くわすと居ても立ってもいられなくなるのですが
『デビルズ・ノット』のような冤罪は
究極的に理不尽な状況でしょうね。

アメリカでは「ウエスト・メンフィス3」と呼ばれる
全米史上最悪の1993年の冤罪事件を題材にした本作には
『パラダイス・ロスト』という、
事件の真相を追ったドキュメンタリーがまずはあって、
(僕は未見ですが)
それによってこの事件が社会問題にまで発展したという
経緯があるのです。
映画秘宝2014年12月号の特集記事を参照しつつ、
本作の感想を書きなぐろうというわけですが
あくまで本作は、明らかにこの事件の容疑者たちが冤罪だという
前提にたってつくられたフィクションであって、
演出による印象操作が発生する危険性は否めません。
とはいえ、この事件にまつわる事実のなかに
もしかしたら、やっぱりこいつら3人が真犯人じゃないの?と
思わせるような事実がまったく登場しない
のは
現実の裁判と同じなので
この冤罪事件にまつわる出来事を
とてもわかりやすくダイジェストでみせてくれている
再現ドラマのような仕様になっております。

3人の子供を殺したとされる容疑者3人には
物的証拠も状況証拠もなく、
悪魔主義者でヘビメタ好きだから
あいつらはに違いない
という印象でしかないのです。
事件の真相とはまったく関係ないのに、
「なんでいつも黒い服装をしてるんだ?」なんて
問いただされます。しかも裁判で。
どう考えても、彼らが子供を殺したことを
実証するにはこと足らないのですが、
悪魔主義者でヘビメタが好きなような人間なら
子供を殺してもさもありなんという憶測と
こいつらを犯人にして事件を終わらせたいという希望的観測のみで
裁判が進んでしまうのが恐ろしい。
法と権力を後ろ盾に
当時の裁判長と警察が自らの非を認めたくなかったのも
あるでしょう。

被害者の親たちが、キリスト教原理主義者であることが
さりげなく強調されていましたが、
これはまったく魔女狩りそのものであって、
このような冤罪事件でもっとも恐ろしいのは、
不可解な理由で殺人犯とされた3人が被った理不尽だけではなく、
真犯人が闇に葬られてしまうということではないでしょうか。

本作で描かれるのは3人に実刑が下されるまでの出来事。
その後、彼らを支援する運動が高まり、
何度も再審請求するものの、
アーカーソン州の裁判所は再審請求を退けるという鬼畜ぶり。
鬼畜裁判長が引退して
2010年にようやく再審請求が受理されたのですが、
ここで「アンフォード・プリー」という司法取引が持ちかけられます。
これは「無罪を主張しながら有罪答弁を行なうことで
執行猶予を受ける」という……
聞いてもいまいち理屈がよくわからない取引なのですが
要するに「裁判をやり直さない代わりに自由にしてやる」という
(↑映画秘宝2014年12月号より岡本敦史氏)
クソ茶番なのですね。

投獄されていた少年たち、
ダミアン・エコールズ、ジェイソン・ボールドウィン、
ジェシー・ミスケリー・Jr
のうち、
ジェイソンが一度はこの司法取引を拒否するものの、
結果的には受け入れて
3人は2011年に18年ぶりで自由の身となるのですが
10代の少年だった3人はすでに30代半ばになっていたのでした。
完全に無罪だと認められたわけでもなく、
しかも真犯人は闇の中。

その後、裁判所も警察もアテにならないってことで
映画監督ピーター・ジャクソンが中心となって
支援者たちが独自に始めた事件の再捜査のようすを描いたドキュメンタリー
『ウエスト・オブ・メンフィス 自由への闘い(2012)』では、
いろんな新事実が解明されているそうで
ぜひ押さえておきたい一本です。





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