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ナイトクローラー

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(原題:Nightcrawler 2014年/アメリカ 118分)
監督/ダン・ギルロイ 製作/ジェニファー・フォックス、トニー・ギルロイ、ミシェル・リトバク、ジェイク・ギレンホール、デビッド・ランカスター 脚本/ダン・ギルロイ 撮影/ロバート・エルスウィット 美術/ケビン・カバナー 衣装/エイミー・ウェストコット 編集/ジョン・ギルロイ 音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演/ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストン

概要とあらすじ
「ブロークバック・マウンテン」のジェイク・ギレンホールが主演し、刺激的な映像を求めて夜のロサンゼルスを駆けめぐる報道パパラッチの姿を通し、視聴率至上主義のテレビ業界の裏側を浮き彫りにしたサスペンススリラー。まともな仕事にありつけず軽犯罪で日銭を稼ぐ男ルイスは、偶然通りかかった事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。早速ビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影していく。過激な映像で高額な報酬を得るようになったルイスは、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレートさせていき、ついに一線を越えてしまう。共演に「マイティ・ソー」シリーズのレネ・ルッソ。「ボーン・レガシー」などの脚本家として知られるダン・ギルロイがメガホンをとり、長編監督デビューを果たした。(映画.comより



誰もが密かに抱えるサイコパス成分

クセの強い作品に出続ける
ジェイク・ギレンホール『ナイトクローラー』

本作は、報道パパラッチを描いた作品だと聞いていたので
『ニュースの天才(2003)』のような
ジャーナリズムの欺瞞を問うような作品かと思っていて、
それは当たらずとも遠からずではあったのですが
センセーショナリズムにまみれたマスコミ報道の姿勢のあり方は
さほどクローズアップされず、
むしろサイコ・サスペンスの要素が強い作品です。

12キロもの減量の末に、
「痩せこけたハイエナ」の風貌を手に入れた
ジェイク・ギレンホール扮するルイスは
そもそもジャーナリストではなく、
うだつの上がらないコソ泥で
たまたま事故現場で撮影する報道パパラッチに遭遇し、
これは金になりそうだと考えて
見よう見まねで報道パパラッチを始めただけなので
ルイスにはジャーナリストとしての葛藤がありません。

それどころか、ルイスには倫理的な葛藤すらなく
よりよいアングルで撮影するために
交通事故の現場で死体の位置をずらしてしまう
「一線を越える」シーンで
それはだめだわと一線を越えたと感じるのは観客のほうで
おそらくルイス自身は一線を越えたつもりなどなく、
ただ単に、死体の位置をずらしたほうが
いい画が撮れて高く売れるからそうしただけなのではないでしょうか。
ゆえに、ルイスはサイコパスなのです。

自分の映像をテレビ局に買ってもらえた
→自分の映像のおかげでテレビ局は救われている、と
超前向きに増長したルイスは
番組ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ=監督の奥さん)を脅し、
ついには肉体関係まで持って翻弄します。
完全に売り手市場。
ニーナは一応拒否反応を見せはするものの、
結果的にルイスの要求をすべて受け入れてしまいます。
ルイス同様にニーナの判断基準も思想や倫理ではなく、
経済で動いているとわかります。

ルイスの言動は、あきらかに恫喝としか思えないのですが
言葉巧みに相手の弱みを突いてきて
ま、簡単に言うと超ゲス野郎です。
それは助手として雇ったジョー(ビル・パクストン)に対しても同じで、
仕事が欲しいジョーの足元をみて
いつまでたっても研修期間のままこき使います。

それほど頭がキレて、人を翻弄するのが上手いのに
報道パパラッチになるまえのルイスが
なんで、しみったれたコソ泥に甘んじていたのか
疑問ではありますが、そこは眼をつむるとして
ルイスがもともとの資質として
コソ泥なんだという設定
がおそらく重要で
ルイスが報道パパラッチに必要な機材や技術を知るのは
偶然出くわした報道パパラッチの車両を盗み見たからだし、
彼が放つ言葉や知識はネットで習得したものばかり。
報道パパラッチという仕事自体が積極的な盗撮だと
いえなくもないような気がしますが
とにかく、ルイスには自分の発想というものがなく、
受け売り=情報のコソ泥ばかりしているのです。

すっかり高慢になったルイスがテレビ局のスタジオで
現場リポーターからの「この映像は誰が撮ったんだ?」という声に
「オレだ。VPN(Video Production News)のルイスだ!」
リポーターに声が届かないことを知らずに叫ぶシーンで
ルイスが報道のド素人なことがわかるし、
取り調べを終えて警察署から出てきたルイスの左手首に巻かれているのが
冒頭のシーンで警備員から強奪した腕時計だということを強調するのは
なにをかいわんや。

If you want to win the lottery, you have to make the money to buy a ticket.
(宝くじを当てたいなら、宝くじを買う金を作れ)と
繰り返すルイスが上昇志向が強いのは確かで
ルイスがサイコパス・キャラクターなのは一目瞭然だとして
こういう頭のおかしいやつがいましたとさ、で
片付きそうにもありません。
記事の見出しだけ読んでわかったようなことをいう人、
自分の専門外のことでも持論を展開する人、
他人の落ち度に嬉々として群がる人、などなど
ネット上の覗き趣味&センセーショナリズム
揶揄しているように感じます。
そのような多くの人たちのサイコパス成分を
ひとりの人間に凝縮させたのがルイスのような気がします。
さりとて、それはネット特有のものではなく、
もともと誰もがそのような浅ましくも卑しい感覚を持っているからこそ、
誰もが自由に発言できるネット上で
禍々しく露呈しているのではないでしょうか。

カー・チェイスは迫力満点だし、
なによりもジェイク・ギレンホールの
完全にイっちゃってるギョロ眼に震えてください。





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2015/08/25 10:24 | 作曲♪心をこめて作曲します♪

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