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バッド・マイロ!

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(原題:Bad Milo! 2013年/アメリカ 85分)
監督/ジェイコブ・ボーン 製作/アデル・ロマンスキー、ガブリエル・コーワン、ジョン・スーツ 脚/ベンジャミン・ヘイズ、ジェイコブ・ボーン 撮影/ジェームズ・ラクストン 美術/リンジー・モラン 衣装/アンソニー・トラン 編集/デイブ・ノードストロム 音楽/テッド・メイサー
出演/ケン・マリーノ、ジリアン・ジェイコブス、パトリック・ウォーバートン、メアリー・ケイ・プレイス、スティーブン・ルート、ピーター・ストーメア

概要とあらすじ
平凡なサラリーマンの腸にストレスのためにできた腫瘍がモンスターとなり、尻から出現してストレスの原因となる相手を殺害するという奇想天外な設定で、アメリカでも話題をさらった異色のホラーコメディ。嫌味な上司や窓際への左遷、若すぎるボーイフレンドと付き合っている母親など、頭の痛い問題ばかりのダンカンは、ストレスが極限に達し、猛烈な腹痛に襲われるように。そのあまりの痛さに、腹痛のたびに気を失ってしまう。そして、ダンカンが腹痛を起こすのと時を同じくして、身近な場所で凶暴な動物の仕業かのような惨殺事件が相次ぐ。思い悩むダンカンはある日、催眠術師に助けを求めるが、そこで自分の腹痛と惨殺事件の思いもよらない関連を知ることになる。(映画.comより



誰もが腹にいちもつを抱えているのだ!

上映期間が短くて、あっさり見逃してしまった
『バッド・マイロ!』
ようやくDVDで観ることができました。

なにしろ、ケツからバケモンが出てくるお話ですから
荒唐無稽なB級映画だと思っていたのですが、
荒唐無稽なのは間違いなかったものの、
思いのほかグっとくる作品でした。

どう考えても低予算の本作は
CGを使わずに作られているそうですが
マイロの造形と動きは感情移入するに充分な出来で
最近観た園子温監督『ラブ&ピース』での
人形たちのあからさまな「モノ感」を思い出して
暗澹たる気持ちにもなりました。

お腹の調子が悪いダンカン(ケン・マリーノ)
職場でも私生活でもストレスを抱えています。
……ってこれ、多かれ少なかれ誰でもそうですよね。
国民をナメきっている極東の政治家でもないかぎり、
大体がみなストレスを感じているはず。
まさに「腹にいちもつを抱えている」わけです。

マイロが初登場するまでのエピソードは
正直かったるかったし、
オープニングから時系列を遡った構成も
それほど効果的だったとは思えないのですが
ケツから出てくるバケモンのマイロに託された象徴性
否応なく心打つのです。

ストレスを溜め込むと実際にお腹が痛くなったりしますが
ダンカンの肛門から出てくるマイロとは、
誰もが抱える負の感情のメタファ。
宿便のように腹に溜め込んでいる不満や憤りを
我慢できずに放出するとき、
それはそれは凶暴になります。

重要なのは、殺戮を果たしたマイロが
ダンカンの腸内に戻る
ということ。
いくらマイロが凶暴だからといって、斬り捨ててはいけないのです。
たとえ負の側面を担っていようとも
あくまでマイロはダンカンの一部なのであって
斬り捨てるのではなく、コントロールすることが大事なのです。
「アンダー・コントロール」と口で言うだけで
実際にはなんにもコントロールできていないんじゃ困りますが、
マイロをコントロールせず、解き放ってしまったとき、
それは必ずやテロリズムとなるでしょう。

それでも本作は、
父と息子の確執や自由奔放な母親、
『シャイニング』のパロディやSM仕様の地下室、
妻の妊娠とマイロとの類似性などを駆使して
テーマが深刻になるのを懸命にはぐらかそうとします。
なんとかバカバカしいコメディにしようとしているのですが
マイロが象徴するものが大きすぎて
少なくとも僕には、本作を軽く見積もることができません。

驚いたのは、
「今だけが大切だ」という言葉ですべての責任を放棄している父親も
腹の中にバケモノを飼っていた
こと。
いいかげんに見える父親も
いろんなことを腹に溜め込んでいたのですな。
どうせなら、ほかの登場人物たちの肛門からも
大小のマイロが出てくればよかったのに。

誰もが内部に抱えているはずの負の感情やわだかまりを
最高にくだらない形で表現した
希有な作品です。





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