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オテサーネク 妄想の子供

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(原題:Otesanek 2000年/チェコ 132分)
監督・脚本・原作/ヤン・シュヴァンクマイエル 製作/ヤロミール・カリスタ 撮影/ユライ・ガルヴァーネク 美術/エヴァ・シュワンクマジェロヴァ、ヤン・シュバンクマイエル 音響/イヴォ・シュパリ 編集/マリエ・ゼマノヴァー アニメーション/ベドジック・グラッセ、マーティン・クブラーク
出演/ベロニカ・ジルコバ、ヤン・ハルトゥル、ヤロスラバ・クレチュメロバー、パベル・ノービ、クリスティーナ・アダムコバ、ズデニェク・コザーク、ダグマル・ストシーブルナー、イジィ・ニーブス、イトカ・スムトゥナー

概要とあらすじ
チェコの民話をベースに命を持った切り株人形の恐怖を描く寓話。監督・脚本・原案・美術は「悦楽共犯者」のヤン・シュヴァンクマイエル。出演は映画初出演のクリスティーナ・アダムツォヴァーほか。ホラーク(ヤン・ハルトゥル)とホラーク夫人(ヴェロニカ・ジルコヴァー)には子供がなく、二人は失意を抱えていた。ある日、夫人は赤ん坊の形に削った木の切り株をオティークと名付け、我が子としてかわいがるようになる…(映画.comより抜粋



純真なへそ曲がりによるおとぎ話

長編作品をちゃんと観るのはこれが初めてとなる
ヤン・シュヴァンクマイエル『オテサーネク 妄想の子供』です。

映画監督というより、映像作家といういい方のほうがしっくりくる
ヤン・シュヴァンクマイエル。
東欧、北欧の国のアニメーションには
独特の味わいがある作品が多いですが
なかでもヤン・シュヴァンクマイエルの作品は独特です。
かつて野田凪というアート・ディレクターが
シュヴァンクマイエルの世界観を拝借した仕事をしていて
(パロディだかオマージュだかパクったんだかしりませんが)
グロおしゃれなビジュアルは女子の間でも人気です。

シュヴァンクマイエルは「食」と「性」をグロテスクに描くことで有名ですが
チェコの民話「オテサーネク(食人木)」を下敷きにした本作は
彼にとってまさにもってこいの題材なんでしょう。

シュヴァンクマイエルが描く、料理と食べるという行為は
まったくもって美味しそうではありません。
本人曰く、「子供の頃から食べるということが好きではなかった」そうですが
あんなに口元にクローズアップされたら
どんなに最高の料理を食べていようとも
美味しそうに見えるわけがありません。
彼にとってあくまで食べるという行為は汚らわしいものであって
わりと子供じみたそもそも論で成り立っているような気がして
純真なへそ曲がりだといえるのではないでしょうか。
ま、多かれ少なかれ、表現者は
純真なへそ曲がりなのですが。

不妊に悩む
ホラーク(ヤン・ハルトゥル)ホラーク夫人(ヴェロニカ・ジルコヴァー)
ホラーク夫人が妊娠していないことがわかる、
おそらく何度目かの産婦人科の窓から通りを見下ろすホラークの目に映るのは
魚のように売られる赤ちゃん。
もちろん、幻ですが
ホラークは赤ちゃんを買えるものなら買いたいと思ったのでしょうか。

夫婦が2人揃って不妊症なのはあとになってわかりますが
妊娠しないことに気を病む夫人を元気づけようと
ホラークが人型っぽい木の根っこを夫人にみせたことで
状況は悪化します。
子宝ノイローゼの夫人は木の根っこを赤ん坊として溺愛するのです。
それでも夫人は、その木の根っこが
本物の赤ちゃんではないということは認識しているようで
妊娠中にお腹が大きくなるのを装うために
1か月ごとに大きくなるクッションまで用意するのです。
虚構とわかっていながら、
それを現実にしてしまおうとする夫人の倒錯ぶりが
痛々しくも狂っています。
それまで子供代わりに可愛がっていた黒猫も
邪魔者扱いするように。

狂った夫人の行動に困惑するホラークでしたが、
世間体を気にするあまり、
夫人の倒錯を隠すため、周囲に対して嘘に嘘を重ねていきます。

ついには、本当に
赤ちゃんのように動き、泣き喚くようになった木の根っこ。
ストップモーション・アニメが実に禍々しい。
しかも超大食い。
ホラーク夫婦は木の根っこに大量の食事を与えますが、
それでも飽きたらず、
黒猫、郵便配達人、役人のおばちゃんを食べちゃいます。

ひとり達観したようすの隣人の少女、
アルジュビェトカ(クリスティーナ・アダムコバ)
原作の絵本を辿りつつ、道先案内人を担っています。
最終的には、ホラーク夫妻も木の根っこに食べられ、
キャベツ畑を荒らした木の根っこは
絵本の通りに罰を受けるのか……というところで
ジ・エンド。

出産の不安、周囲の期待からくる重圧、育児の過酷さ……などなど
深読みしようと思えばいくらでも可能ですが
単にホラーとして観てもいいような気がします。





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