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ソニはご機嫌ななめ

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(原題:Our Sunhi 2013年/韓国 88分)
監督・脚本/ホン・サンス 撮影/パク・ホンニョル 編集/ハム・ソンウォン 音楽/チョン・ヨンジン
出演/チョン・ユミ、イ・ソンギュン、キム・サンジュン、チョン・ジェヨン

概要とあらすじ
ヨーロッパでも高い評価を獲得している韓国の映画作家ホン・サンスが、1人の女子大生と彼女を取り巻く3人の男たちによって繰り広げられる恋愛関係を描き、2013年・第66回ロカルノ国際映画祭で監督賞を受賞した作品。女子大生のソニは、アメリカ留学の推薦状をもらうためチェ教授に会いに大学にやってくるが、そこで元彼のムンス、先輩の映画監督ジェハクに出会う。それぞれソニに気のある3人の男たちは、各々の人生訓をソニに語って聞かせるが……。主人公ソニ役は、「よく知りもしないくせに」「教授とわたし、そして映画」「3人のアンヌ」と近年のホン・サンス作品に欠かせない女優になっているチョン・ユミ。ソニを取り巻く3人の男を、イ・ソンギュン、キム・サンジュン、チョン・ジェヨンが演じた。(映画.comより



ホン・サンス印の焼酎で今日もへべれけ

いつもの俳優たちが登場し、
いつものようにさえない映画監督たちが
タバコをパカパカ吸いながら酒を飲んでくだを巻きつつ、
恋愛模様が繰り広げられる
『ソニはご機嫌ななめ』

ホン・サンス監督作品をつまらないと感じたり、
さっぱりわからないと思う人がいるのは理解できないわけではありません。
でも、僕は大好き。もう、大好き。
たしかに、いつも同じようなシチュエーションで
同じプロットのバリエーションのようで
ものすごく既視感を憶えるんだけれども
むしろ毎回同じことをやるからこそ、
ああ今回はこういうケースか、と面白がれるのです。

じゃあ、なにが面白いのかといわれれば
あたかも放し飼いの動物を観察するような視線、だと思っています。
同じ登場人物を同じ設定で何度も繰り返し描いて、
今度はこいつとこいつをくっつけてみようというように
恋愛のバリエーションを試行するさまが楽しいのです。
当然、正解が出ることなどないのでしょう。
ホン・サンス監督作品には、非現実的なものは登場しません。
それは僕たちの日常そのものですが
なにも劇的な事が起きない日常だったとしても
喜んだり、悲しんだりしているのはなぜか。
それは、日常にも人間の情動を左右するなにかが十分にあるからでしょう。
有り体に言えば、人の家を覗く感じ?
でも、他人事だと笑っているうちに
これは自分のことじゃないかと思えてくるあたりが
ホン・サンス監督作品の魅力であり、普遍性なのです。
そんなふうに考えると、
おなじみの唐突なズームは十分違和感があるけれど
(そしてそれがまた面白いのだけれど)
あれは観客サービスじゃないかとさえ思えてきます。

長い間音信不通だったソニ(チョン・ユミ)
かつて在籍していた大学にふらりとやってきます。
アメリカの大学に留学しようとしている彼女の目的は、
ドンヒョン教授(キム・サンジュン)に推薦状を書いてもらうこと。
ドンヒョン教授に依頼を済ませたソニは
かつての恋人ムンス(イ・ソンギュン)と酒を飲むうち、
ムンスが焼けぼっくいについた火をメラメラ燃やしはじめます。

ソニにあしらわれたムンスは、
先輩監督のジェハク(チョン・ジェヨン)のもとをほろ酔いで訪れ、
またしても酒を飲むのです。
本作の飲酒シーンは基本的に長〜いワンカットです。
あの韓国焼酎の緑の瓶がテーブルに並ぶのは
ホン・サンス監督作品の基本仕様です。

かつての恋人であるムンスを軽くあしらったかと思うと、
ドンヒョン教授といい感じになり、
かと思えば、ジェハクとチューするソニ。
この、ソニ+3人の男たちによる会話が
絶妙にループしていく
さまは
これぞまさにホン・サンス節。
夢オチのような作品もあるけれど
本作の場合は、巧みに現実がクロスフェードしています。

ソニのことを3人の男たちが口を揃えて
「内向的だけど、頭が良くてセンスがある。
 突然ヘンなことをするけど、勇気がある。
 なにより、今まで会った女性の仲で一番カワイイ」

というのは、そのとおりなわけですが
ソニはいまいち納得がいかないようす。
映画監督を目指しているであろうソニが
アメリカに留学してまで勉強しようとするのは
人生の決断を引き伸ばしているにすぎず、
かと思えば目の前の男に気があるようなそぶりをみせてしまうソニは
ものすごく依存体質で優柔不断なのです。
そんな依存心と独立心がいっしょくたになっているから、
他人の目から見たソニは支離滅裂な存在なのです。

トイレに行ったのを機にすれちがうのは
『教授とわたし、そして映画』と同じ。
ソニがトイレに行った隙に、ついに3人の男が一堂に会すのです。
すべての真相を知っているものはひとりもいない、
でもちょっとずつ真相を知っているという
なんともいえない気まずさと
男たちの不思議な連帯感。


紛う事なき、ホン・サンス作品です。





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