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マップ・トゥ・ザ・スターズ

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(原題:Maps to the Stars 2014年/カナダ・アメリカ・ドイツ・フランス合作 109分)
監督/デビッド・クローネンバーグ 製作/マーティン・カッツ、サイード・ベン・サイード 脚本/ブルース・ワグナー 撮影/ピーター・サシツキー 美術/キャロル・スピア 衣装/デニース・クローネンバーグ 編集/ロナルド・サンダース 音楽/ハワード・ショア
出演/ジュリアン・ムーア、ミア・ワシコウスカ、ジョン・キューザック、ロバート・パティンソン、オリビア・ウィリアムズ、エバン・バード、サラ・ガドン、ニーアム・ウィルソン、ドーン・グリーンハルグ

概要とあらすじ
「イースタン・プロミス」の鬼才デビッド・クローネンバーグが、「キッズ・オールライト」のジュリアン・ムーア、「イノセント・ガーデン」のミア・ワシコウスカ、「マルコビッチの穴」のジョン・キューザック、「トワイライト」シリーズのロバート・パティンソンら実力派キャストを迎え、ハリウッドでリムジン運転手として働いていた脚本家ブルース・ワーグナーの実体験をもとにハリウッドセレブの実態をシニカルに描いた人間ドラマ。セレブ相手のセラピストとしてテレビ番組も持つ父親ワイスを筆頭に、ドラッグ問題を乗り越えて有名子役として活躍する息子ベンジー、ステージママとして息子を献身的に支える母親クリスティーナら、典型的なハリウッドのセレブ一家であるワイス家。順風満帆な暮らしを送っているかに見える一家だったが、ある問題を起こしてフロリダの施設に入れられていた長女アガサが戻ってきたことにより、これまで隠し通してきた秘密が明らかになっていく。母親役を演じたジュリアン・ムーアが第67回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞。(映画.comより



水と火による結婚ごっこ

まあ、クローネンバーグだから
ややこしいのは当たり前かも知れないけれど
「ハリウッドの実像を暴く!」みたいな表現は違うんじゃないかなぁ
……という『マップ・トゥ・ザ・スターズ』です。

実際にハリウッドで運転手をしていたブルース・ワグナー
体験を元にして書かれた脚本で
確かにハリウッド・スターたちの実名がぽんぽん登場するし、
名声こそがすべてといわんばかりの登場人物たちが
おぞましいほどの虚栄心をみせつけるけれど
クローネンバーグの興味は別のところにあるような気がします。

本作の外観は、クローネンバーグ作品としては意外と「マトモ」で
明らかなキチガイやゼラチン質の小道具は登場しません。
美術や演出で倒錯した世界を描こうとはせず、
わりと現実にあるものをありのままに映し出しています。
裏を返せば、現実の世界こそが倒錯していると
言えなくもないのですが。

大女優だった母親からDVをうけながらも母親の幻を追い求め、
『愛と憎しみの伝説(1981)』を地でいくハバナを演じる
ジュリアン・ムーアは、垂れさがった醜い肢体を晒し、
屁までこいてみせます。
モデルにした実在の人物が目に浮かぶ子役のベンジー(エバン・バード)
誰の目にもあきらかに調子に乗ったクソガキで
まるで『寄生獣』のミギーみたいななで肩がむかつきます。
ペンジーの母親(オリビア・ウィリアムズ)は典型的なステージ・ママ、
父親(ジョン・キューザック)は新興宗教まがいのセラピストという、
バカ親です。
そこに、顔に火傷の傷跡があるアガサ(ミア・ワシコウスカ)
ふらっとやってきて(もちろん目的を持って)
ハリウッド界隈で保たれていた日常が乱されるというお話。

それでも、ハリウッドを中心とした
エンタメ業界のシステムを揶揄しているというよりは、
ハリウッドというイカれた場所をモチーフにして
人間が根源的に抱える欲望や業のようなもの
描こうとしているように思えます。

キャリー・フィッシャー(実物。レイア姫の面影なし)の紹介で
ハバナの秘書奴隷=小間使いになったアガサは
家族に対して自分が過去に犯した罪の贖罪もしくは復讐のために
計画的にハリウッドを訪れたようにみえますが
ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの
「クラリス・ダガード」(=ハバナの母親)と書かれた星印に跪いて
愛おしそうに撫でていたのをみると
むしろハバナに対して制裁を加えるために
現れたようにもみえます。
なにしろハバナの母親クラリスは焼死しているので
生き返ったクラリスの魂=アガサに火傷のあとがあるのは
当然のようにも思えます。

あまりにも象徴的な水と火の対比が示すものは
僕には明確にわかりませんが
相反するものだということは間違いなさそうです。
「盗んだ水」という映画が代表作のハバナの母親は焼死し、
ライバル女優の息子がプールで溺死したことで
ハバナは代役の座を手にします。
(ハバナの母親の亡霊は湯ぶねに浸かって現れるし)
アガサは火傷しているし、
アガサの母親はなぜかプールサイドで炎にまみれています。
(その後プールに蹴り落とされる母親は
 水と火のどちらとともつかない存在ということだろうか)
……やめよう。こういうのは、エラい人にまかせよう。

じつはアガサとペンジーは兄妹で
なんと両親も兄弟だったことが判明。
アガサとペンジーは幼いころからしていた「結婚ごっこ」のとおりに
両親から奪った結婚指輪を交換し、心中するのです。
なんとまあ、恐ろしい近親相姦でしょうか。
ハバナの母親に対する愛憎もレズ的近親相姦だし、
ここから思い当たるのは関係性の狭小さです。
ハリウッドを行き交うセレブたちは
世界中で名を知られる「スター」なわけですが
ハリウッドのなかではすぐに知り合いと出会うし、
コネとツテの非常に狭いコミュニティーのように感じます。
そのコミュニティーの狭さを象徴するのが
近親相姦から生まれて近親相姦へと至る
アガサとペンジー兄妹なのではないでしょうか。

クローネンバーグにしてはかなりオカルティックでした。





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