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ロスト・リバー

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(原題:Lost River 2014年/アメリカ 95分)
監督・脚本/ライアン・ゴズリング 製作/デビッド・ランカスター、ミシェル・リトバク、マーク・プラット、アダム・シーゲル、ライアン・ゴズリング 撮影/ブノワ・デビエ 美術/ベス・マイクル 衣装/エリン・ベナッチ 編集/ニコ・ルーネン、バルディス・オスカードゥティル 音楽/ジョニー・ジュエル
出演/イアン・デ・カーステッカー、シアーシャ・ローナン、クリスティーナ・ヘンドリックス、マット・スミス、エバ・メンデス、レダ・カティブ、ベン・メンデルソーン

概要とあらすじ
「ドライヴ」「ブルーバレンタイン」など個性的な映画作家の作品で活躍する俳優ライアン・ゴズリングが初監督を務めたミステリアスなドラマ。経済が破綻し、ほとんどの住人がいなくなった街ロスト・リバーでクズ鉄集めをしながら生活しているボーンズは、街にまつわるある噂を耳にする。それは、貯水池を作るために街の一部を水の中に沈めたこと、そしてその貯水池にある物が沈んでしまったため、街に呪いがかけられ衰退したというものだった。ボーンズは噂の真偽を確かめるため街を探索するが、それを快く思わないギャングに目を付けられ……。主人公ボーンズを演じるのは、テレビシリーズ「エージェント・オブ・シールド」に出演するイアン・デ・カーステッカー。ボーンズの隣家の少女ラット役にシアーシャ・ローナン。(映画.comより



ゴズリングの熱い自己紹介ムービー

映画に限らず、デビュー作ってやつは
自分の表現したいものを
言い忘れることがないようにすべて詰め込んだ挙げ句に
全体のバランスを欠いてしまうというケースがあります。
ライアン・ゴズリングの初監督作『ロスト・リバー』
まさにそんな感じ。

全体的なイメージは
ニコラス・ウィンディング・レフンデヴィッド・リンチをミックスして
デレク・シアンフランス(『ブルーバレンタイン』)のリアリズムと
ギレルモ・デル・トロのファンタジーをトッピングしたような味わいで
オレ、こんなん好きなんすよ! という
ライアン・ゴズリングの鼻息の荒さが伝わってきます。
さらには自身も母子家庭だったゴズリングの自伝的要素も多分に含んだ
熱い自己紹介ムービーなのです。

ライアン・ゴズリングが
経済破綻して荒廃したデトロイトの町並みにインスパイアされたという
「ロスト・リバー」に暮らすボーンズ(イアン・デ・カーステッカー)
グラフィティだらけの廃墟を廻っては、集めた銅を売ってしのいでいます。
ところが、ほとんど住人がいなくなったこの街では
「この街の銅は全部オレのもんだー!」と喚く
ブリー(マット・スミス)というチンピラが
ギャングの親分気取りで街を牛耳ろうとしていたのです。
このブリーは、ひとの唇をハサミで切り取るような凶暴なキチガイなのですが
連れている子分はひとりだけだし、銃も持ってなさそうだし、
そもそもただのクズ拾いですから
小者感が半端ないのは残念なところ。
ま、クズ拾いを競い合うっていうのは
ディストピアっぽくて悪くないけれども。

かたや、ボーンズの母親ビリー(クリスティーナ・ヘンドリックス)
家のローンが払えず、
銀行の支配人(ベン・メンデルソーン)に相談を持ちかけると
怪しい仕事を紹介されます。
向かいの家が予告なしに取り壊されているのをみたビリーが
なんであんなに取り乱しているのか、よくわかりませんでしたが
とにかくビリーは仕方なしに支配人が紹介する仕事を
受けることにしたのです。
ハート型の鏡に映るビリーの暗いシルエット。

いやらしい支配人が紹介する仕事は
売春かなにかの性的サービスに違いないと思っていたら
なんと、見せ物小屋的スプラッターショー
(ま、あとで性的サービスらしきものは登場するけれど)
確かに怪しい仕事ではあるけれど、なんだか楽しそうじゃないか!!
人気ダンサーのキャット(エバ・メンデス)も面倒見がいいし、
なかなかいい職場じゃないか! 
ありがとう、支配人!(ちがうか)

確かに、
パリにあった『グラン・ギニョール』劇場に影響されたという
隠微でアンダーグラウンドな世界に足を踏み入れてしまった感はあるし、
こういう倒錯した世界観を表現したかったんだろうけど
血しぶきの量を除けばとても健全なショーにみえ、
ビリーが屈辱的な思いをするわけでもなく、
パフォーマーのひとりとして、
顔の皮剥ショー(ちゃんとタネがある)をやるだけなので
ビリーの転落してしまった感がいまいちピンときません。
ショーに出演することで得られる収入もよくわからないので
一度でもギャラを手渡しするシーンがほしかったところ。

スプラッターショーをやっているクラブのさらに奥には
「シェル」と呼ばれる人型のケースに入って
おそらくこれこそ性的サービスを行なうであろう部屋があり、
ついにビリーはその裏の仕事を引き受けるのですが
「シェル」の仕組みとか効果とかがさっぱり不明なのです。
これまた一度でも、他の女性が「シェル」に入って仕事しているところを
みせてくれれば、あんなことするのかと思えたのですが。

服を着たままバッグまで持ち込んで「シェル」に入るビリー。
そこへ初めての客として踊りながら現れた支配人。
あのヘンなダンスはリンチっぽさなんでしょうか。
ビリーに迫って「シェル」を開けようとする支配人と
開けさせまいとするビリー。
「ロックしました」「ロック解除しました」の、せめぎ合いって、なに?
開けるとどうなるのよ? そもそもなんのためにそこに入ってるのよ!

ビリー&ボーンズの隣に住むラット(シアーシャ・ローナン)
どうやら昔女優だったらしきおばあちゃんと一緒に暮らしています。
おばあちゃんは完全に過去に囚われてしまった存在。
ネズミを飼っているラットがいうには
かつて、この街は貯水池を作るために街の一部がそのまま水の中で眠っていて、
それ故「ロスト・リバー」と呼ばれている、と。
池なんだか川なんだか、まぎらわしくてイライラします
ともかく、この街がこんな窮状に陥っているのは
貯水池に沈められた街の呪いであって
水の底で眠っている街の一部を引き揚げるほかに
呪いを解く方法はないとのこと。

貯水池の底に沈む「恐竜館」にあった恐竜のディスプレイから
頭を切り取って持ち帰ったボーンズ。
ブリーを退治するものの、ラットの家には火が放たれ、
おばあちゃんは焼死してしまいます。
かたやビリーは「シェル」の中で隠し持っていたナイフで
支配人の「聞こえるほうの耳」を刺して逃げ帰ってきます。
ビリーとボーンズと幼い弟はラットとともに
恐竜の頭を屋根の上に乗せた車でついに街を出て行くのでした。

え、出ていくのかよ、と。
たしかに、この街にはいられないような状況になったかも知れないけれど
どうしてもこの街を離れられない事情があったはずなので
この4人がついに街を出ることになっても、あくまで逃避行であって
いまいち晴れ晴れしい気持ちにはなれません。

クライム・サスペンスからのファンタジーへの転換は
もっと面白くなりそうなだけに残念ですが
これからも監督をやりそうなライアン・ゴズリング。
たぶん次回作も観るでしょう。







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