" />

チャッピー

ill476.jpg



(原題:Chappie 2015年/アメリカ 120分)
監督/ニール・ブロムカンプ 製作/ニール・ブロムカンプ、サイモン・キンバーグ 製作総指揮/ベン・ワイスブレン 脚本/ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル 撮影/トレント・オパロック 美術/ジュールス・クック 編集/ジュリアン・クラーク、マーク・ゴールドブラット 音楽/ハンス・ジマー
出演/シャルト・コプリー、デブ・パテル、ニンジャ、ヨーランディ・ビッサー、ホセ・パブロ・カンティージョ、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー、ブランドン・オーレ

概要とあらすじ
「第9地区」「エリジウム」のニール・ブロムカンプ監督が、「第9地区」同様に南アフリカ・ヨハネスブルグを舞台に設定し、成長する人工知能を搭載したロボットをめぐる物語を描いたオリジナルのSF作品。2016年、南アフリカのヨハネスブルグでは、テトラバール社の開発した警察ロボットが配備されて注目を集めていた。ロボット開発者のディオンは、自ら考え、感じる人工知能(AI)を独自開発し、スクラップ寸前の1台のロボットに密かにAIをインストールしようとする。しかし、その矢先にストリートギャングに誘拐されてしまい、AIをインストールして起動したロボットは、ギャングの下でチャッピーと名付けられ、ギャングとしての生き方を学び、成長していく。そして、ディオンのライバルでもある科学者ヴィンセントにチャッピーのことが知られ、その存在を危険視するヴィンセントによって、チャッピーは追い詰められていく。ブロムカンプ監督の盟友シャルト・コプリーが、モーションキャプチャーによってチャッピーを演じた。デブ・パテル、シガニー・ウィーバー、ヒュー・ジャックマンが共演。(映画.comより



意識? 心? いやさ「テンション」!

TOHOシネマズ新宿にて、
この『チャッピー』初めてのIMAXで観て参りました。

なにしろIMAXがどういうものなのかわかっていなかったので
なんとなく少し前目の観やすそうな席を予約したのですが
いざ入場すると、視界をすべて覆い尽くすほどの大スクリーンに驚嘆。
とある3D映画でパニクったトラウマが抜け切れていない僕は
3Dなどもってのほか、動きの激しい映像や大迫力すぎる映像をみると
精神的に不安定なってしまうので、これはまずいと思いました。
クソしょーもないなんとかウサギのアニメが始まっただけで
手のひらがじっとりと汗ばみ、不安感が押し寄せてきたのです。
それに、IMAXはたしかに大迫力なのかも知れないけれど
こんな大画面で映像と字幕を追おうとすると、あんた、
目の前にいる女の子のおっぱいと太ももを
交互に素早く見つめるくらい視線の移動が必要じゃないか!

無理! というわけで、最後列の席に移動して
心安らかに鑑賞したのですが
IMAX特有の迫力みたいなのはとくに感じられず。
ボク、普通の映画館でいいっす。

さて、『チャッピー』。
『ロボコップ』とか『機動警察パトレイバー』とか
いろいろ言われております。
人工知能(A.I.)が「自我」や「心」を持ち始めるという物語
枚挙に暇がないほど作られているので
そもそもの発想に目新しさはありません。
それはありきたりということではなく、
A.I.をモチーフにすると
自ずから「自我」や「心」というものを定義することになるのですから
何度も繰り返しアプローチされるのではないでしょうか。

注目すべきは、本作の時代設定が2016年だということ。
少なくともニール・ブロムカンプ監督
人工知能が意識を持つようになるのは遠い未来ではなく、
すぐにでも実現してしまうところまできていると
考えているのでしょう。
ドローンに怯えている場合ではないのです。

警察ロボットを開発・製造する兵器会社「テトラバール」に勤務する
設計者ディオン(デブ・パテル)
個人的に研究していた画期的なA.I.の開発に成功。
そのA.I.とは人間と同じように感情や美意識を持つというもの。
喜び勇んで会社のCEOブラッドリー(シガニー・ウィーバー)に報告するも
兵器に絵を描かせてどうすんのよと一蹴されます。
それでも大発明を諦めきれないディオンは
廃棄寸前だったロボット22号に
自分の発明したA.I.をインストールしようと
会社から盗み出したところでギャングに襲われてしまうのです。

ロボットよりこっちが見物じゃないのと思うほど
このギャングが強烈キャラ。
実名(というか芸名というか)そのままで登場する
ニンジャとヨーランディの夫婦は
「ZEF(ゼフ)」と呼ばれる南アフリカ共和国の白人たち(アフリカーンズ)の
カルチャーを体現しているおふたりだそうで
ヒップホップとコアなパンクを混ぜ合わせたような出で立ち、
しかも可愛いもの好きという奇天烈さ。

実物の彼らはDIE ANTWOORDというミュージシャンで、
俳優ですらないというのですから驚きです。

ギャングの大ボスから命と引き替えに大金を要求された彼らが
そもそもディオンを襲おうと考えたのは
「テレビはリモコン押したら電源切れるじゃん?
 ロボットだって機械だからあいつらのリモコンを手に入れて
 電源をオフにしちゃえばいいのよ!」
「なるほど! それしかないな!」

という、バカまるだしの発想。
怒鳴り散らすしか能がないニンジャはどうしようもないバカですが
あまりにストレートなバカゆえに巧みな策略を考えたりはできません。
そのせいか、わりと素直なところもあるのです。

脅されたディオンが
しぶしぶ自分のA.I.をロボットにインストールすると
ロボットは生まれたての赤ちゃんのように無垢な存在へとなります。
いままでの自我を持つA.I.ものでは
機能や解析力が高度に発達した末に
いつしか「自我」らしきものが生まれるという流れが多いような気がしますが
本作では最初に「自我」があって、あとから知識を身につけるのです。
「自我」を持つことが人間だとするなら
最初の時点でこのロボット=チャッピーは
すでに人間だ
とも言えるのではないでしょうか。

ロボットが自我を持ったことよりも
ヨーランディに母性があったことのほうにびっくり
しましたが
それはともかく、
ニンジャの指導の下でチャッピーはギャングとして成長していきます。
チャッピーは、犯罪はいけない、人を殺してはいけないという
ディオンとの約束を守っているのですが
「死」がなにかを知らなかったはずのチャッピーが
人を殺してはいけないという言葉にすんなり従ったり、
そもそも約束というものは守らなければならないということも
知らないはずなので、
微妙に首をかしげたくなるところがないではありません。

マッチョなキリスト教徒という皮肉たっぷりなキャラ、
ムーア(ヒュー・ジャックマン)の妬みから
警察ロボットはすべて無力化され、街はギャングが溢れて大混乱。
つーか、この会社のセキュリティ、緩すぎないか?
ニンジャのアジトで迎えるクライマックスの爆撃やアクションは
最後列の席でも迫力満点。
まさか、あんなにバカだったニンジャの勇敢な姿に
感動するとは思わなかったぜ。
あいかわらず、カタカナで「テンション」と書かれた
バカみたいなスウェット履いてたけど。


テトラバール社に乗り込んだチャッピーが
ムーアを思い切り懲らしめるシーンは痛快です。
「お前は悪いやつだ!」とさんざんボコボコにしたうえで
「でも、ボクは許す」と立ち去るチャッピーは
そこいらの人間より上等です。

最後は、銃で撃たれたディオンと
バッテリーが切れる寸前のチャッピーの「意識」を
別のロボットにコピー
します。
さらには死んでしまったヨーランディの「意識」も
なぜか本人にそっくりなマスク付きのロボットに転送して
シ・エンド。

ヨーランディの「意識」は、USBに入っていたわけですが
てことはですよ、
あのUSBさえあれば何体でもヨーランディ(ロボ)を
作ることが可能
なわけで
今度は「個」というものが問題になりゃしませんか?
また、「死」というものも無効化されるので
命を巡る倫理的な問題も浮かび上がりそうです。

元生身の人間のディオンとヨーランディのふたりには
今後、ものすごい葛藤が待ち受けていそうだけど
ロボットとアクションとバイオレンスに興奮し、
ちょっぴりホロッとさせてくれたりもする
楽しい映画です。



↓かっこいいバカ夫婦








にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ