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サンドラの週末

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(原題:Deux jours, une nuit 2014年/ベルギー・フランス・イタリア合作 95分)
監督/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ 製作/ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ、ドゥニ・フロイド 脚本/ジャン=ピエール・ダルデンヌ
リュック・ダルデンヌ 撮影/アラン・マルクーン 美術/イゴール・ガブリエル 衣装/マイラ・ラマダン・レビ 編集/マリー=エレーヌ・ドゾ
出演/マリオン・コティヤール、ファブリツィオ・ロンジョーネ、オリビエ・グルメ、モルガン・マリンヌ、ピリ・グロワーヌ、シモン・コードリ

概要とあらすじ
パルムドールを受賞した「ロゼッタ」「ある子供」など、カンヌ国際映画祭の常連として知られるベルギーのジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が、オスカー女優のマリオン・コティヤールを主演に迎えた一作。体調不良で休職していたサンドラは、ようやく復職の目途が立つ。そんな矢先のある金曜日、会社が職員へのボーナス支給のために1人解雇しなくてはならず、サンドラを解雇すると通告してくる。同僚のとりなしで、週明けの月曜日に職員たちによる投票を行い、ボーナスをあきらめてサンドラを再び迎えることに賛成する者が多ければ、そのまま復職できることになる。それを知ったサンドラは週末、同僚たちを説得してまわるが……。(映画.comより



当たり前のことを当たり前にできない

ダルデンヌ兄妹
世知辛い現代ではどこにでも転がっていそうな
リストラのエピソードを描いた
『サンドラの週末』

どうやら鬱病でしばらく休職していたサンドラ(マリオン・コティヤール)
体調が回復したから職場復帰しようとしていた金曜日、
職場で一方的な投票が行なわれ、
サンドラは電話で解雇通告を受けます。
サンドラを復職させるか、
または職員がそれぞれ1000ユーロ(約13万円)のボーナスを受け取るか
、という
かなりタチの悪い選択基準によって
投票が行なわれたのでした。
失業すると生活が困窮するサンドラは、主任の扇動が投票結果に影響したとして、
月曜日に再投票することを社長に直談判し、
それまでの2日間、同僚たちの家を周って
自分の復職に投票してくれるよう説得する
、というもの。

このご時世、会社の経営者も相当厳しい状況なのは
誰しも知っていることですが
とはいえ、残りの職員へのボーナスと引き替えに
ひとりの職員に解雇を迫るというのはかなり悪質。
この会社の経営者(と主任のクズ)は
職員の解雇をまるで設備をひとつ捨てるくらいにしか認識しておらず、
職員に対する給与をただのコストとしか考えていないわけですが
じつは経営者というのは、職員の生活を背負っているのですから
たとえ職員を解雇する必要に迫られたとしても
該当する職員と十分な話し合いをし、保証を与えるべきでしょう。
本来ならサンドラに、ボーナスを出すからやめてくれと
持ちかけるのが筋
というもの。
さりとて、本作で描かれるリストラより
現実のリストラのほうがもっと理不尽なのかもしれません。

でも本作は、そのような経済至上主義がまかりとおる現代のあり方に
一石を投じようというものではないように思います。
もちろん社会システムにも問題は大ありなのですが、
それよりももう少し人間の根源的な生き様のほうに重点が置かれています。

サンドラが説得にあたる同僚たちの反応は
想像を超えるものではありません。
もっと心を掻きむしられるような事態が待ち受けていると思っていましたが
基本的に「悪いと思うけど、うちも大変なんだ」という反応が続きます。
ひとりだけ、
「何しに来やがった! お前のせいでオレの金が奪われるんだぞ!」と
サンドラに殴りかかるキチガイ
がいましたが
あんなバカは頭から灯油をかけて焼き殺すか、
チンコを切り取って口に押し込んで窒息死させればいいので例外です。

サンドラの同僚たちは、サンドラの解雇と引き替えにボーナスを得るので
たとえサンドラが復職してボーナスをもらえなくなっても
そもそも一銭も(1ユーロも)損はしない
のですが
もらえるはずだったものがもらえなくなるという状況が
彼らに損をしたかのような錯覚を起こさせます。
しかも、たとえそれが彼らにとって損失であったとしても
当然ながらサンドラの落ち度によるものではないにもかかわらず、
サンドラのせいで自分たちが損をしたと思わせてしまうあたりに
この取引の悪質さが際だっています。

なんだか、当たり前のことばかり言っているような気がしてきました。
だけど、なかなか
当たり前のことを当たり前にできないのも事実でしょ?
自分が報酬を得るのは自分の努力のおかげかもしれないけれど、
誰かの取り分を搾取した結果だと想像してみるのは
無益ではないのではないでしょうか。
決してモラルの問題ではなく。
人間は絶対にひとりでは生きられないのだから。

本作は非常に楽観的ですが
個人が変わらなきゃ、社会は変わらないのですから
よりよい社会を目指すなら利己的な考えは捨てるべきでしょう。
やり方は簡単、「もし自分がその立場なら?」と想像するだけ。
当たり前だけど。

↓参考まで
日本の貧困対策がどれほど貧困かよく分かる数字
http://blogos.com/article/49904/

宮台真司(社会学者)×すずきかん(東京都選出 参議院議員)対談がおもしろい
http://matome.naver.jp/odai/2137428997721217301

なぜかこの予告編には劇判が入っているけど
本編はラジオから流れる曲を除いて劇判はありません。




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