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ウィズネイルと僕

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(監督:Withnail and I 1987年/イギリス 107分)
監督・脚本/ブルース・ロビンソン 製作/ポール・ヘラー 撮影/ピーター・ハナン 編集/アラン・ストラッチャン 音楽/デビッド・ダンダス、リック・ウェントワース
出演/リチャード・E・グラント、ポール・マッギャン、リチャード・グリフィス、ラルフ・ブラウン

概要とあらすじ
俳優でもあり、「キリング・フィールド」(1984)の脚本や「ラム・ダイアリー」(2011)の監督としても知られるブルース・ロビンソンが88年に発表した初監督作で、自身の経験をもとに手がけた半自伝的作品。「ザ・ビートルズ」のジョージ・ハリスンがプロデューサーに名を連ねている。1960年代後半のロンドン。売れない役者の僕は、同じ境遇のウィズネイルと貧乏暮しをともにし、酒やドラッグをあおりながら語り合う日々を送っていた。そんな毎日に嫌気がさした僕は、ウィズネイルの叔父モンティが所有している田舎のコテージで素敵な休日を過ごそうと目論むが……。日本では91年に東京・吉祥寺バウスシアターで限定的に公開されたのみで、その後もビデオやDVDは未発売だった。14年5月のバウスシアター閉館に伴い、同館のクロージング作品の1本としてリバイバル。(映画.comより



あいつらは、かつての自分

グズグズダラダラしてるばっかりで
こいつらイライラするなあと思いながら観終わって
しばらくすると、
あれ? あいつらは
自分のことだったんじゃないかとじわじわ思い始め、
急に愛おしくなってくる『ウィズネイルと僕』です。

世の中には、10代の頃から自分の人生設計を立てて
現実的な目標に向かって着実に年を重ねる人もいるんでしょうが
そういう人には、本作の
ウィズネイル(リチャード・E・グラント)
「僕」(ポール・マッギャン)のような人間は
ただのクズにしかみえないでしょう。
いや、間違いなくこいつらはクズです。
それでも僕は
自分の人生をコントロールして生きているつもりの人間よりは
このふたりの肩を持ちます。

夢だ希望だなんていえば
途端に陳腐で青臭くなりますが、
ともに売れない俳優のウィズネイルと「僕」が持っている財産は
夢と希望だけ
です。
食器も洗わず、酒とドラッグに溺れて
自堕落な生活を繰り返すふたりは
夢と希望という貯蓄を食いつぶしていて、
その残高を直視することから逃避
しています。
何も手にしていない若者の生活は当然ながら困窮していますが、
逆に言うとそれは気軽でもあって、
なおさら彼らが人生に真顔になるのを猶予します。
それでも、ふたり揃って30歳前の彼ら
いよいよ人生の決断の時を迫られているのです。

ウィズネイルと「僕」は
腐れ縁の親友といったところで
やっかいだけど心強く、かけがえのない存在ですが
同じ境遇の友人がすぐそばにいるのも
彼らが人生の決断を先延ばしにする原因になってます。
「あいつだってまだ頑張ってる」とか
「あいつよりは自分のほうがまだまし」とか、
ついつい依存したり、比較したりしてしまうものでしょう。

それでも少し現実的にものを考えられる「僕」と違って
ウィズネイルのほうは徹底的にクズです。
異常なほどプライドが高いウィズネイルは
常に高慢な態度を見せ、
目先の快楽に逃避するくせに、
バーでからまれたりしたときにはゾッとするほどヘタレで
肥大した自尊心を持つ小心者です。

実際にはゲイではないけれど
ゲイ・カップルのようにいつも一緒のウィズネイルと「僕」に
女性の存在が登場しないのは特徴的で、
彼らはなんのあてもなくツルんでじゃれ合っているだけの小僧で
だからこそ、彼らの自閉症的側面が際だちます。
恋敵として登場するのがゲイの伯父さんなのが
話をややこしくさせますが
ウィズネイルは身勝手な嘘によって
図らずもゲイの伯父さんを傷つけてしまう結果に。

なにか行動を起こすと必ず雨が降るふたりの現実
すでに八方ふさがりのように思えます。
やがて、わずかなチャンスをつかんだ「僕」は
髪を短く切って、あからさまに自分を変身させ、
ウィズネイルとの心地よいじゃれあいと訣別するのでした。

ついにひとりになったウィズネイルは
「ハムレット」のセリフを諳んじてみせます。
このあと、彼は役者の道を突き進むでしょうか。
それとも役者を諦め、違う道を進むでしょうか。

ウィズネイルが自分で選択した人生なら
どちらにしろ、正解なのではないでしょうか。





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