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少女ムシェット

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(原題:MOUCHETTE 1967年/フランス 80分)
監督/ロベール・ブレッソン 製作/アナトール・ドーマン 原作/ジョルジュ・ベルナノス 脚本/ロベール・ブレッソン 撮影/ギスラン・クロケ 音楽/クラウディオ・モンテヴェルディ 、ジャン・ウィエネル
出演/ナディーヌ・ノルティエ、ポール・エベール、マリア・カルディナール、ジャン=クロード・ギルベール、ジャン・ヴィムネ、マリーヌ・トリシェ

概要とあらすじ
フランスの片田舎に暮らす14歳のムシェット。アルコール中毒の父親と病気の母親に代わって家を切り盛りさせられている上に、学校では同級生や教師から酷い扱いを受けるばかりの薄幸の少女だ。ある雨の夜、森の中で密猟者と出会ったことがきっかけで、彼女の人生はさらに悲惨な破滅へと向かって転がり落ちていく……。ブレッソン監督が「バルタザールどこへ行く」に続いてアナトール・ドーマンと組み、ストイックでリアルな表現で語りきった絶望の物語。(映画.comより



野ウサギの絶望

ロベール・ブレッソン監督
自らの作品群を「映画」とは呼ばずに「シネマトグラフ」と称したり、
出演者に素人ばかりを採用し、「モデル」と呼んだりと、
独自の発想で映画表現に挑んだ巨匠です。
『少女ムシェット』
そのストイックな作風が
後世に多大な影響を与えたとされる作品ですが
あんまりアカデミックなアプローチをすると
バカがばれるので、自分なりの感想を。

それにしても、
ヒロインのムシェット(ナディーヌ・ノルティエ)
徹頭徹尾、不遇です。
アル中の父親と病床の母親がいる貧しい家庭で
ムシェットは乳飲み子の世話まで任されています。
さらに学校では音楽教師にちゃんと歌えと叱られ、
男子の子供じみたいじめもあったり、
八方ふさがりの鬱屈した生活を送っています。
ムシェットが鬱憤ばらしにやる事と言えば
土手に隠れて気に入らないやつに土を投げつけるくらいです。

本作で唯一、
ムシェットが心から楽しんでいるように見えるのは
遊園地のカートをぶつけ合うバンパー・カーに乗って
見知らぬ青年と視線を交わし合うとき
だけです。
その青年との淡い交歓も父親によって遮断されてしまいます。

激しい雨が降る森で彷徨うムシェットは
密猟者の男に助けられますが
密かな約束を交わしたのち、
彼女は密猟者に身体を預けます。
おそらく14歳のムシェットは初体験だったと思いますが
強引に迫られたにもかかわらず、密猟者を受け入れるのをみると
ムシェットが最も渇望していたのは
理解者
だということがわかります。
たとえそれが気の置けない密猟者であったとしても。

夜通し森で過ごしたムシェットが家に帰ると
母親は死んでしまいます。
だからといってさほど動揺していない、
というよりなにか人生を達観してしまっているようなムシェットが
ミルクを分けてもらうために町に出ると、
コーヒーとパンを振る舞ってくれたり、
母親の棺をくるむ布とムシェットのための衣裳を用意してくれたりする、
一見親切な隣人たちが登場しますが
みながムシェットを気遣っていたとしても
誰も本当には彼女の気持ちを理解してはいないのでした。
ムシェットが求めていたのは憐憫ではなく、
自分が必要とされることだったのではないでしょうか。

銃に撃たれてもがく野ウサギを
自分に重ねたかのようなムシェットは
母の棺をくるむはずの布を自分の身体に纏い、
何度も草むらを転がったあと、
ついに池に落ちてしまいます。

周囲の不理解に苛まれた少女ムシェットは
とことんまで不遇で、世を嫌い、死を選ぶのです。

銃声や、走り抜ける車など
直接には事柄を映さずに、音で状況を喚起させる演出が
特徴的でしたが
とかく思春期においては
大人という生きものが欺瞞に満ちているようにみえるものですが
だからといて、自ら命を絶ってしまっては
敵の思うつぼなんだよな、なんて思いつつ、
痛々しくも辛辣な作品です。





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