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Mommy マミー

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(原題:Mommy 2014年/カナダ 134分)
監督・脚本・編集・衣裳/グザビエ・ドラン 製作/ナンシー・グラン、グザビエ・ドラン 撮影/アンドレ・ターピン 美術/コロンブ・ラビ 音楽/ノイア
出演/アンヌ・ドルバル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリビエ・ピロン、パトリック・ユアール、アレクサンドル・ゴイエット

概要とあらすじ
「わたしはロランス」「トム・アット・ザ・ファーム」などで世界の映画界から熱視線を浴びるカナダの俊英グザビエ・ドランの監督第5作。2014年・第64回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、大御所ジャン=リュック・ゴダールの「さらば、愛の言葉よ」と並んで審査員特別賞を受賞した。15歳の息子スティーヴを育てる、気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、普段は知的で純朴だが、一度スイッチが入ると攻撃的な性格になってしまう。そんな息子との生活に右往左往していたダイアンだが、隣家に住む引きこもりがちな女性教師カイラと親しくなったことから、少しずつ日々に変化が訪れる。精神的ストレスから吃音に苦しみ休職中だったカイラも、スティーブの家庭教師を買って出ることで快方に向かっていくが……。(映画.comより



四角四面の三角野郎(たち)による八木節オマージュ

やっと26歳になった(2015年現在)と聞いて
改めて驚きとともに癪に障るグザビエ・ドランの最新作、
『Mommy マミー』

LGBTなど、社会のマイノリティに対する
慈愛の念を隠さないグザビエ・ドランが本作で扱うのは
ADHD(多動性障害)。
「発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、
 精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、
 施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律」という、
S-14法案が制定されたとするSFちっくな設定は
発達障がい児とその子を育てる親との間から倫理や責任を排除して
愛情だけで繫がれていることにするためのギミック
です。
あなたの子供が手に負えないなら、いつだって捨てていいよ、と。
責任は問われませんよ、というわけ。

まず目を惹くのが、ほぼ正方形に切り取られた画面でしょう。
いまでいうならInstagramっぽくてあらおしゃれ♡
なんていってる場合ではなく、
これがまあ、なんとも窮屈。
人間の目が横に並んでいることを思い知らされます。
覗き見しているような感覚にも陥りますが
これ、出来事は必ずカメラのど真ん中に捉えなければならないので
撮影するのも窮屈だったでしょうね。

画面が正方形のまま進行する本作をみていると、
このこけおどし感満載な画面サイズにはどんな意図があるんだろうと
考えざるを得ません。
こりゃあ、グザビエくんのインタビューでも読まんといかんな……
なんて思いながら観ていると
中盤で、登場人物たちに希望の兆しがみえ始めると
ADHDのスティーブ(アントワン=オリビエ・ピロン)が
画面を両手で押し広げ、全画面になる
のです。

「ハァ〜 またも出ました三角野郎が〜 四角四面の櫓の上で〜♪」
というのは、八木節
そう! 本作はまさに四角四面(=堅苦しい世の中)の画面の中で、
三角野郎(=トラブルメイカー)たちが生きるさまを描いた
八木節オマージュなのです!(ちがう!)

つまりは、この窮屈な正方形の画面は
登場人物たちの窮屈さ=生きづらさの表現というわけ。
全画面になったとたん、観ているこっちも
本当にほっとして晴れやかな気分になったので
視覚的効果があったのは間違いないのですが……
な〜んか、いけ好かない。
多幸感に溢れていたのもつかの間、登場人物に再び試練が訪れると、
画面はすーっと元の正方形へと縮む……

この奇をてらった手法がむしろ説明的に使われていることがわかり、
あざとさが際だって、う〜ん、いけ好かない。
どうせなら最後まで正方形の画面のままで終わってくれたほうが
よかったかな、という気がしますが
こういうところがグザビエくんらしさではあります。

ADHDのスティーブとその母親ダイアン(アンヌ・ドルバル)
端から見ればどう考えてもDQN親子。
ダイアンは46歳にもなって若作りに励み、
安っぽいアクセサリーをじゃらじゃらつけているようなビッチです。
前半のダイアン&スティーブ親子の傍若無人っぷりは
腹の底からむかつきます。

スティーブの蛮行は発達障害による症状なんでしょうが
わがまま言い放題だし、黒人差別はするし、
病気じゃなくてバカでクズなだけだろ? と思ってしまいます。
実際、こういう症状をみせる発達障害のひとがいたとして
なかなかすぐに病気なんだとは思えないでしょう。
これまた、スティーブの顔が絵に描いたように腹が立つ顔
憎たらしくてたまりません。
(ところで、本作を観に映画館へと行く途中、
 出会い頭に女性とぶつかって、女性が持っていたスマホを吹き飛ばしたあと、
 「いつも女がよけてもらえると思ったら大間違いだ!」と
 大声で宙を罵りながら悠々と去っていく
 スーツ姿のでかい男性に遭遇しましたが
 あいつも発達障害なんだろうか…それとも、ただのバカなんだろうか…)

とにかく、
どう考えても感情移入などできそうになかったのですが
吃音症のカイラ(スザンヌ・クレマン)が親子と関わりを持ち、
お互いが助け合いながら弱点を克服していくうちに
いつしか自然と彼ら3人を応援し、労る気持ちが芽生えてきます。
いやはや、この脚本の流れは見事だと思いました。

スティーブとダイアンの関係は
あからさまに近親相姦的ではありますが、
母親と息子の関係というのは、
少なからず近親相姦的な一面を内在しているのではないでしょうか。
最終的に苦渋の決断を強いられたダイアンは
S-14法案を利用してスティーブを施設に入れてしまいますが
ダイアンは自分からスティーブを遠ざけるためというよりも、
スティーブから自分を遠ざける=子離れするために
最終手段に至ったように思えてなりません。

まったく、グザビエ・ドランという若造は
なんでこんなに人間の感情の機微を理解しているんでしょう。
ほんとに癪に障るぜ。
まさか八木節まで知っていたとは。(ちがうって!)







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