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ストリート・オブ・ノー・リターン

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(原題:STREET OF NO RETURN 1989年/フランス・ポルトガル 88分)
監督/サミュエル・フラー 原作/デヴィッド・グーディス  脚本/ジャック・ブラル 、サミュエル・フラー 、撮影/ピエール=ウィリアム・グレン 、音楽/カール=ハインツ・シェーファー
出演/キース・キャラダイン、ヴァレンティナ・ヴァルガス、アンドレア・フェレオル、ビル・デューク

概要とあらすじ
黒人と白人の人種差別荒れ狂う港町の夜の闇、声を失なった元歌手の愛と復讐を描くアクション・メロドラマ。監督は「最前線物語」のサミュエル・フラー、脚本は米ミステリー作家デイヴィッド・グーディスの原作を基に、製作も兼ねるジャック・ブラルとフラーの共同、撮影は「アメリカの夜」のピエール・ウィリアム・グレン、音楽はカール・ハインツ・シェーファーが担当。出演はキース・キャラダイン、ヴァレンティナ・ヴァルガス、ビル・デュークほか。フラーの作詩した主題歌をキャラディン本人が歌っている。(MovieWalkerより



われわれの国は動物園です。

サミュエル・フラー監督作品のなかでも、
あまり評判がよくない『ストリート・オブ・ノー・リターン』
僕にとっては鮮烈な印象があった作品でした。

てなことをいいながら、本編の内容はほとんど覚えておらず、
もっぱら記憶に留めていたのは
黒人がいきなり頭を殴られるクローズアップの、
1秒にも満たないオープニングのショットだけですが、
それまで、こんなふうに始まる映画を観たことがなかったので
あのファースト・カットが本作のすべてを印象づけるものに
なってしまったのです。

いまになって考えてみれば、
『裸のキッス』と同じ導入の仕方ですが
いきなり、暴力的なクローズアップで始まって
観客を混乱に陥れる演出のこけおどし感が
ぼかぁもう、好きで好きでたまりません。
その後の黒人vs白人による暴動が
ロス暴動(1992)を予言しているかのようだということよりも
その映像的なケレン味に魅了されるのです。

モテモテ人気歌手マイケル(キース・キャラダイン)
キャバレーのダンサー、
シリア(ヴァレンティナ・ヴァルガス)に一目惚れ。
シリアはかつてマイケルのMVに
Tバックいっちょで馬に跨る女性役
出演したことがあったのですが、マイケルの記憶にはあらず。
いつものように、かりそめの恋かと思いきや、
マイケルの気持ちは本気だったのです。

ところがシリアは、
裏社会のドン、エディ(マルク・ド・ジョンジュ)の愛人で
逆恨みしたエディはマイケルの喉をかき切り、
マイケルは歌が歌えなくなってしまいます。
失意に沈んだマイケルは
「堕落したくないから」と口にしなかったはずの酒を
求め歩くアル中ホームレスとなって……という物語。

そういう悲恋の物語に
人種差別を表すモチーフが至る所に散りばめられているのが
サミュエル・フラー監督らしいところです。
冒頭の黒人vs白人の暴動はもとより、
逆に、仲のいいホームレス・コンビも黒人と白人です。
のちに登場する黒人の警察署長と
白人刑事たちとの軋轢
ではその立場を逆転させて、
より皮肉の度合いが強まっています。
また、この黒人の警察署長は
黒人同士の同族意識(=ブラザー)にも
与しないのも特徴的です。

また、壁に映る人影を利用した演出が
ノワールの雰囲気を引き立てます。
黒人の警察署長に圧力をかける姿の見えない警察長官は
フラー監督自身が演じている
んだとか。
三面鏡に映る登場人物を捕らえたショットや
壁をまたいで部屋から部屋へと横移動するカメラワークなど
トリッキーな演出も楽しめます。

立場が危うかった警察署長は
真実を筆談で訴えるマイケルを受け入れ、
エディ宅を急襲。
激しい銃撃戦のあと、マイケルは
ついに追い詰めたエディのキンタマに銃弾を撃ち込むのです。
そうこなくっちゃ!

DVDには、
メイキング映像とインタビューが収録されているのですが
メイキングでは、
常に葉巻をくわえている当時75〜6歳のフラー監督が
アクションシーンを自ら実演する姿が見られます。
インタビューでは、アメリカのことを
「われわれの国は動物園です」と揶揄し、
話が戦争に及ぶと、その口調は熱を帯びてきます。

映画監督になる前に、
新聞記者として社会の裏側を取材した経験と
自ら志願して挑んだ戦争体験が
フラー監督の映画表現の源になっているのは明らかです。
もっとも愚かで滑稽な諍いの象徴として
とくに人種差別をモチーフにしているのではないでしょうか。
かといって、フラ—監督は
いわゆる社会派の映画監督には当てはまらず、
あくまでエンターテイメン作品を撮り続けたところが
フラ—監督の独自性であり、
僕の好きなところでもありんす。





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