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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

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(原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) 2014年/アメリカ 120分)
監督/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ 製作/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ジョン・レッシャー、アーノン・ミルチャン、ジェームズ・W・スコッチドープル 脚本/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr.、アルマンド・ボー 撮影/エマニュエル・ルベツキ 美術/ケビン・トンプソン 衣装/アルバート・ウォルスキー 編集/ダグラス・クライズ、スティーブン・ミリオン 音楽/アントニオ・サンチェス
出演/マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、リンゼイ・ダンカン、メリット・ウェバー、ジェレミー・シェイモス、ビル・キャンプ、ダミアン・ヤング

概要とあらすじ
「バベル」「21グラム」など、シリアスな人間ドラマで高い評価を得ているメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督がダークファタジーに挑戦。第87回アカデミー賞では同年度最多タイの9部門でノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門を受賞した。「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡した俳優が再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む姿を、「バットマン」のマイケル・キートン主演で描いた。かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。(映画.comより



探せ! カットの切れ目を!

第87回アカデミー賞で
作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門に輝き、
そのほかにも数々の賞を受賞した
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
それはそれは話題作だろうと思っていたら
意外にも公開規模は小さめ。
あら、そうですか。

ジャズドラムにシンクロして現れる
ゴダールちっくなタイポグラフィ
が単純にかっこよく、
わくわくしていると、
どっかの尊師みたいに蓮華座して宙に浮かぶ
ブリーフいっちょのリーガン(マイケル・キートン)が。

ん? エスパーなの? ポアされちゃうの? と思いましたが
これまでのイニャリトゥ監督作品とはうってかわった
ファンタジックな演出に驚かされます。

とはいえ、本作の最大の見どころは
やっぱり上映時間120分を
すべてワンシーン・ワンカット(のように)みせる映像
でしょう。
このことだけは事前に知っていたので注目していましたが
一瞬の暗闇やドアが開く瞬間などで
カットを繫いでいる
のが一目瞭然なところもあったものの、
場所を移動しながらさまざまな登場人物たちが
フレームイン・アウトを繰り返す映像は圧巻です。
撮影を担当しているのは
『ゼロ・グラビティ』『トゥモロー・ワールド』などの
アルフォンソ・キュアロン監督作で有名な
エマニュエル・ルベツキ
ルベツキの技術あってこその本作といって
いいのではないでしょうか。

アルフォンソ・キュアロンは
積極的に長回しを使いたがる監督だし、
『ゼロ・グラビティ』や『トゥモロー・ワールド』での長回しには
リアルタイムで進行する映像の臨場感
最大限に表現することが目的だったはずですが
とくに長回しを自身の演出スタイルとしているわけではない
イニャリトゥ監督が
長回しを本作で採用した意図はなんでしょうか。

イニャリトゥ監督はインタビューで
「主人公がたどる迷路を観客にも通ってほしい」と語っていて
悩み苦しむリーガンと同じ心理状態を
観客にもたらそうというのが長回しの意図のようですが、
カットを割ることによって得られる、
モンタージュやカットバックなどの映画的表現を放棄してまで
全編ワンカット(のような)長回しを採用したのには
本作が舞台演劇の物語だからじゃないか、と
邪推してみたくなります。

舞台演劇はリアルタイムで芝居が進行するし、
カメラが部屋をパンするとそれまでいなかった人物が登場し、
時間がスリップしている演出は、まさに演劇的
だし、
舞台演劇を映画でやってみせたように思えるのです。
後半で登場するような、
あきらかに映画を見下している演劇評論家に対して
わざと演劇的なことをやったうえで映画にしかできない技巧を凝らし、
どうだ? 映画、すげえだろ? と言い返しているように
思えてなりません。

映画界に演劇界をも含めたショービズあるある
アカデミー会員たちにとっては
抱腹絶倒ネタだったのかもしれませんが
「ウディ・ハレルソンは『ハンガー・ゲーム』の撮影中だ」とか
ロバート・ダウニー・Jr.マイケル・ファスベンダーの名前を聞いて
オレにはわかるよ的笑いで鼻を鳴らすのもなんだかな〜だし、
いいかげんにジャスティン・ビーバーはほっといてやれよだし、
あまりノレませんでした。
「あっというまに○○○回再生されてるわ」っていうSNSの扱いも、
近年多くの作品で何度も聞いたセリフなので
古くさく感じました。

一度も栄光を手にしたことがない僕のようなものには
かつての栄光に囚われているようにみえるリーガンの心境は
なかなか理解できませんが
「こんなはずじゃなかった」とか
「本当はこうありたいのに」とかいう、
内的自己(=バードマン)と外的自己(=リーガン)
せめぎ合いとみれば思い当たることは多くあるし、
誰もがもつ承認欲求がSNSを通じて表現されていたと思います。
逆に、「ひとにどう思われようと構わない」という
マイク(エドワード・ノートン)は確かに自由ではあるけれど
傍迷惑でしかない狂人なのです。

カットの切れ目を探すってのも一興ですよ。





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