" />

ラブバトル

ill440.jpg



(原題:Mes seances de lutte 2013年/フランス 99分)
監督・脚本/ジャック・ドワイヨン 製作/ダニエル・マルケ、ジャック・ドワイヨン 撮影/ロラン・シャレ 編集/マリー・ダ・コスタ
出演/サラ・フォレスティエ、ジェームス・ティエレ

概要とあらすじ
1996年の「ポネット」が日本のミニシアターで記録的なロングランヒットととなったジャック・ドワイヨン監督が、ポール・セザンヌの名画「愛の争い(愛の闘い)」に着想を得て、ある男女の葛藤と愛の交歓を描いた作品。父親の葬儀のため田舎を訪れた女性が、財産分与をめぐるトラブルによって、過去のトラウマに苦しめられるようになる。かつて思いを寄せていた男性と再会を果たした彼女は、現実から逃れるため風変りなセラピーに熱中。ふたりは怒りを解放するため衝突を繰り返し、その行為をエスカレートさせていく。日本では「ポネット」以来19年ぶりとなるドワイヨン監督の劇場公開作品となった。(映画.comより



愛に抗い、愛を求める取っ組み合い

なんせ19年前だから、
女の子が可愛かったよねってくらいしか憶えていない
『ポネット(1997)』以来、久々の日本公開となった
ジャック・ドワイヨン監督作『ラブバトル』
ああ、いわゆるフランス映画ってこうだったよなと
懐かしい気分にもなる男と女の会話劇ではあるものの、
本作の男女がとるコミュニケーションの手段は
「取っ組み合い」なのです。

父親が死んで、遺産分配手続きのために帰省した
女(サラ・フォレスティエ)と、
家主の留守中に住み込みで屋敷の補修を行なっている
男(ジェームス・ティエレ=チャップリンの孫!)
どうやら肉体関係を持ちそうになった過去があるようで
久しぶりに男と再会した女が
「なぜ、あのとき私を抱かなかったのか」
繰り返し男を皮肉たっぷりに責めたてます。
(本作は役名がない)

いつも不機嫌で怒ってばかりいる女は、
男を罵ったかと思えば誘惑するような態度もみせますが
男はなかなか誘いに乗りません。
女は死んだ父親の愛情を十分に受けられなかったことに
激しい怒りと憎しみを持っていますが
男に対して父親への愛憎を重ねているのはあきらかで
かつての一夜の出来事について
男が「勃起してたけど、そんな気になれなかった」というのは
近親相姦の危うい関係をも想像させます。

どう考えてもお互い愛し合ってるはずなのに
なかなか心を開かない二人が編み出したコミュニケーションが
「取っ組み合い」。
相手のなにをどうすれば勝負がつくのか
さっぱりわかりませんが
腕を取り合ったり、突き飛ばしたりを繰り返します。
相手が「痛いよ!」っていうと、攻撃をやめてみたり
まるで子供がじゃれ合ってるようで笑っちゃいますが
執拗に続けられる「取っ組み合い」をみていると
一体、おまえらはなにをやってるんだと思う反面、
徐々に胸が締め付けられてきます。
「恋愛は、惚れたほうが負け」なんて申しますが、
どうしようもなく相手を求めてしまうのに
決してそれを認めたくないもの同士が
もがき苦しんでいるように見えてくるのです。
これは、自分を覆い尽くすであろう愛の侵略に抗う戦いなのです。

ラスト近くで、ちょっとそれらしいところもあるけれど
本作で描かれているのは
決してSM的な性愛ではありません。
愛する相手を受け入れることや自分を解放することへの恐れ、
それでも押さえ込むことができない愛の苦しみを
「取っ組み合い」という行為で
デフォルメしているのではないでしょうか。
すべてワンシーンワンカットの「取っ組み合い」
アドリブなのか、殺陣がついているのかと思いながらみていましたが
どうやらドワイヨン監督が
すべて細かく演出している
そうで、恐れ入ります。
サラ・フォレスティエの少女のような肢体が
痛々しくも美しく、かつエロティックで
時折みせるアクロバティックな身体の絡み合い
美的な楽しみに溢れています。

女がカメラ目線でファイティング・ポーズをとったあと、
ついに一線を越えてセックスに望む二人が
森の中の水たまりで泥まみれに成ながら求め合うシーン
なんでわざわざそんな場所で? と思わないではないけれど
完璧な構図はひたすら美しく、神聖さすら感じます。

バカバカしいように思えて
じつは誰しも経験したことがあろうはずの
恋愛の苦しみや痛みが感じられる作品でした。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ