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ヒーロー・ネバー・ダイ

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(原題:眞心英雄 A Hero Never Dies 1998年/香港 98分)
監督/ジョニー・トー 製作/ジョニー・トー、ワイ・カーファイ 脚本/セット・カムイェン、ヤウ・ナイホイ 撮影/チェン・シュウキョン 美術/ブルース・ユー 音楽/レイモンド・ウォン
出演/レオン・ライ、ラウ・チンワン、フィオナ・リョン、ヨーヨー・モン、ヘンリー・フォン

概要とあらすじ
後に「エグザイル 絆」「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」といった作品を送り出し、国際的にも高い評価を受ける香港のジョニー・トー監督が、1998年に手がけたノワールアクション。香港黒社会に生きる2人の殺し屋を中心に、男たちの裏切りや絆が交錯する様を描いた。冷静なジャックと豪放なチャウは、性格こそ正反対だが、ともに伝説の殺し屋として名をはせていた。2人は、香港闇社会の支配をめぐって対立する2大組織にそれぞれ雇われ、相手方のボスの首を狙っていたが、やがて激化する抗争が2人に過酷な運命をもたらす。ジャック役は「天使の涙」のレオン・ライ、チャウ役は「奪命金」のラウ・チンワン。日本では99年に劇場公開された。2014年にHDリマスター版でリバイバル上映。(映画.comより



数値化できない、生きるための何か

ジョニー・トー監督の作品は
金や名誉のように数字に換算できないものにも
価値があることを教えてくれます。
とりわけ、それは男女における愛ではなく、
男同士の友情や絆だったりすることが多いので
なおさら不可解ですが
理解できなくとも納得できることは
この世に多く存在するのです。

『ヒーロー・ネバー・ダイ』の主人公、
ジャック(レオン・ライ)チャウ(ラウ・チンワン)
それぞれ敵対する暴力団の若頭のような存在で
お互いをライバル視して競い合っていますが
それはすなわちお互いを認め合っているということで
その時点で相手に対する敬意は十分にあるのです。

その微妙な友情関係を表現するために
ふたりはわざわざ仲介者を介して電話でやりあったり、
無言で車をぶつけ合ったりします。

ついにバーで対峙しても、
コインを使ったワイングラスの壊し合いをやってみせたり、
いったい何をやってるんだと思いますが
つかず離れず張り合う姿はまるっきり子供です。

それでも、任侠の道に生きるふたりは
それぞれのボスを守るために戦わねばなりません。
やがて激しい銃撃戦の中で
ふたりが壁を挟んで撃ち合うというのは重要なのではないでしょうか。
ふたりの間には必ずや越えられない壁が存在するということであり、
もしも壁を挟まずに銃を構えて対面していたら
ふたりが撃ち合ったかどうかわかりません。

この銃撃戦でジャックは瀕死の状態に、
チャウは両脚を切断することに
なってしまいます。
その裏で、ふたりが守ってきたボスたちは手打ちをし、
一年前に取り決めたシマの配分に従って
組織を合併します。
このクズどもを守るために、
一年間で一体何人の人間が死んだことかと思えば
ふたりの卑劣漢のおぞましさに吐き気がします。

これだけでも、
ジャックとチャウが復讐を誓うには十分な動機ですが
さらにさらに追い打ちをかけます。
入院中のジャックを看病していたジャックの彼女は
ジャックを殺しに来た組織の刺客に気づき、
ジャックを連れて死体安置所へ逃げ込むものの
火を放たれて全身に大やけどを負ってしまいます。

かたやチャウの彼女はさらに逞しく、
チャウを養うために売春までやって金を稼ぎ、
バンコクから香港への密航の段取りまで手配します。

意識はあるものの車イスに乗って放心状態のチャウを連れて
ボスの元を訪れると邪魔者扱いされ、
追い返された挙げ句に車イスも壊されてしまいます。
それでも再度ボスの下へと向かう彼女。
チャウが乗った車イスを
細い身体で階段を引きずり挙げる姿
が本当に痛々しい。
そこでなんと、いらだったボスは
その彼女を撃ち殺してしまうのです。

こうして、とことんまで追い詰められた
ジャックとチャウが黙っているはずもありません。
チャウは身体を鍛え、近隣のビルの屋上から
ボスを狙撃するも失敗。
もう一度同じ場所からボスを狙撃しようとするのは
無理があるだろうと思いますが、
とにかくチャウは狙撃失敗によって
植物状態のようになってしまいます。

はっきりとは描かれないものの
ずっと若くいたい、ずっと夕陽を観ていたいという
全身やけどの彼女を安楽死させた(たぶん)ジャックは
車イスのチャウを伴って
最後のカタをつけるために
ボスたちがいる店へと現れるのですが
ここでも、ジャックとチャウの直接の交流は
まったく描かれません。

同じ目的に向かって力を合わせようと誓うシーンが
あってもおかしくないと思うのですが
ふたりが直接心を通わせるシーンは一切なく、
それでも納得し合っているという関係性で
押し切ってしまいます。
ふたりの友情を表す説明的なシーンを入れてしまうと
むしろ空疎になると考えたのでしょうか。
ふたりの絆を表現するのは
バーにキープしたワインにつけた連名のタグ
十分なのかもしれません。

全編で流れ続ける『上を向いて歩こう』
ファンタジックかつ幻想的で
赤・青・緑という照明の極彩色が
香港映画らしい作品です。





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