" />

処女の泉

ill432.jpg



(原題:Jungfrukallan 1960年/スウェーデン 89分)
監督/イングマール・ベルイマン 原作/ウラ・イサクソン 脚本/ウラ・イサクソン 撮影/スベン・ニクビスト 音楽/エリック・ノードグレーン
出演/マックス・フォン・シドー、ビルギッタ・ペテルソン、ビルギッタ・ペテルスン、グンネル・リンドブロム

概要とあらすじ
スウェーデンが生んだ世界的巨匠イングマール・ベルイマンが、敬虔なキリスト教徒の娘に降りかかった悲劇と父親の復讐を通して“神の不在”を描いたドラマ。16世紀スウェーデンの田舎町。豪農のひとり娘カリンは、教会へ向かう途中で3人の羊飼いに出会う。貧しそうな3人に食事を施すカリンだったが、彼らはカリンを強姦した上に殺害してしまう。娘の悲劇を知ったカリンの父テーレは、復讐心から3人を惨殺するが……。2013年、デジタルリマスター版でリバイバル公開。(映画.comより



いま問われる復讐の正当性と罪

黒澤明の『羅生門』に影響を受けているといわれる
イングマール・ベルイマン監督『処女の泉』
『第七の封印』同様に、「神の無言」をテーマにした
寓話的作品です。

インゲリ(グンネル・リンドブロム)
息で火をおこすオープニングは単純にカッコイイのですが
すでにインゲリの悪魔的な側面を表現している、
というのは、観終わったあとで気づきました。

召使いのイングリは主人に逆らってばかりなうえに
父親が誰かわからない子供をお腹に宿している身重の状態で、
明らかに不浄の象徴です。
彼女は、敬虔なキリスト教徒の地主に仕えながら、
異教の神オーディンに祈りを捧げています。

比較的裕福な地主のテーレ(マックス・フォン・シドー)
その妻(ビルギッタ・ペテルスン)の娘、
カーリン(ビルギッタ・ペテルソン)
母が甘やかしすぎたせいか、わがままで奔放な少女です。
母と比べれば厳格な父テーレも
カーリンを溺愛しているのが見て取れます。

遠くの教会まで蝋燭を届けるように言付かったカーリンは、
イングリを伴って教会へ向かいます。
気楽な小旅行のようでしたが、
旅の途中で、イングリがオーディンの使いのような男に出会い、
それをきっかけにカーリンは
ひとりで森を抜けて教会へと向かうことになるのです。
イングリはカーリンの弁当用のパンにカエルを忍ばせて意地悪をするほど
何不自由なく幸福そうなカーリンに
嫉妬と劣情を抱いていたのですが
いざ自分がオーディンに託した呪いが現実になろうとすると
恐れおののくのです。
水車小屋に住む男は「3人の死人が北へ向かっておる」
預言めいたことを言い放ちます。

やがて、カーリンは3人の羊飼いの男たちと出会います。
そのうち一人は10歳くらいの少年です。
なんにもしらないお嬢様のカーリンは
男たちに昼食のパンを振る舞いますが、
男たちが彼女に声をかけた目的は食事などではなかったのです。

いまとなっては、
カーリンがレイプされるシーン
ソフトな表現なのかも知れませんが、
木の枝の間から覗き見るようなカメラワーク
おぞましさを静かに引き立てます。
日本公開時には、映倫によって
レイプシーンが丸ごと削除される
という事態を招いたそうですが
そんな逸話もうなずけるほど
ショッキングなシーンです。
(ただ、このシーンを削除してしまうと映画は台無しですが)
さらには、カーリンはレイプされた直後に撲殺され、
金目の衣服をはぎ取られて放置されるのですから
当時の観客が受けたショックは相当なものだったでしょう。

しかも、
娘の帰りが遅いのを心配していたテーレ一家に
そうとは知らずに加害者の3人が訪れ、
やはりそうとは知らないテーレは、
慈愛の念から一夜の宿と食事を振る舞う
のです。
どこまで残酷なシチュエーションでしょうか。
さらにさらに、3人のうちのひとりの男が
カーリンからはぎ取った服を
「汚れているけど、いいものだから」と
母親に売りつけようとする
のです。
その服をみた母親が、
カーリンのものだと気づかないわけがありません。

そして、事実を知った父親テーレによる復讐が始まります。
テーレは身を清めたあと、3人の寝込みを襲い、
復讐を遂げるのですが、
3人のうちで唯一、カーリン殺しに加担しておらず、
罪の意識に苦しんでいる少年までも殺してしまうのです。

朝になって、カーリンの遺体を発見したテーレは泣き叫び、
「神よ、みておられたはずだ!」
罪のない娘が陵辱され、それに復讐した自分を
傍観した神の真意を問うと、
彼女が横たわっていた場所から
水が湧き出てくる
のです。

これは、神が与えたなにかしらの応えなのでしょうか。
この湧き出る水の奇跡については
判断が難しいところです。
水を浴びるインゲリや、カーリンの額を水で濡らす母親をみれば
テーレに対する戒めではなく、
なにかを祝福しているのではないでしょうか。
そうだとすれば、あの状況で祝福とは
一体何を意味するのでしょうか。

復讐心は十分理解できるし、
それが罪深い行為なのも理解できます。
この感情と理性の間に生まれる葛藤が
解決することはないのかも知れません。





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ