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プリデスティネーション

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(原題:Predestination 2014年/オーストラリア 97分)
監督/マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ 製作/パディ・マクドナルド、ティム・マクガハン、マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ 原作/ロバート・A・ハインライン 脚本/マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ 撮影/ベン・ノット 美術/マシュー・プットランド 衣装/ウェンディ・コーク 編集/マット・ビラ 音楽/ピーター・スピエリッグ
出演/イーサン・ホーク、サラ・スヌーク、ノア・テイラー

概要とあらすじ
SF小説の大家ロバート・A・ハインラインによる短編小説「輪廻の蛇」を、イーサン・ホーク主演で映画化。時間と場所を自在に移動できる政府のエージェントが、凶悪な連続爆弾魔を追うためタイムトラベルを繰り返す姿を描いたSFサスペンス。1970年、ニューヨーク。ある流れ者によって不遇の道を歩まされたという青年の身の上話を聞いた酒場のバーテンダーは、自分が未来からやってきた時空警察のエージェントであることを明かす。青年の人生を狂わせた流れ者への復讐のチャンスを与えるため、バーテンダーは1963年にタイムスリップし、当時の青年をエージェントに勧誘するが……。監督は「デイブレイカー」でもホークとタッグを組んだピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟。(映画.comより



お前…ひとりでなにやってんの?

タイムトラベルものには必ずやつきまとう
パラドクスそのものを描いたような
『プリデスティネーション』
やっぱり論理的な矛盾や齟齬がないわけではないけれど、
小難しい理論を持ち出して正当性を補強しようとしないところが
好感が持てます。
本作を評して「ネタバレ厳禁映画」なんて言う人もいるようですが
公式サイトのストーリー解説では
そこそこ踏み込んだ紹介の仕方をしているので
とくにネタバレに考慮するつもりはありません。
ま、いつもそうだけど。

原作小説『輪廻の蛇(1959)』
文庫本でわずか23ページしかない短編だそうで
尺に足りるだけのエピソードをつけ加えなければならない映画化は
かなりチャレンジングだと思われます。

冒頭で、時限爆弾を解除しようとする男が登場。
ところがそこに邪魔をする者が現れ、
爆弾処理が中途半端になってしまった男は爆発の炎を浴び、
顔が火傷して苦しんでいると
邪魔に入ったように見えた別の男が
バイオリンケース仕様のタイムマシン
手が届くところまでそっと差し出します。
もちろん、この時点では
まったくなんのことやらわかりません。

多くの犠牲者を出し、世界を恐怖に陥れる
連続爆弾魔フィズル・ボマーの犯行を阻止しようとする
時空警察ともいうべき機関は
イーサン・ホーク扮するエージェントに捜査を任命。
時空捜査の途中で余計なパラレル・ワールドを作ったら
死刑だとイーサンに警告するのですが
すでに起こっている爆破テロを未然に防ぐだけで
大量のパラレル・ワールドが発生するはずなんですけど
まあ、それはいいや。

1970年に「ジャンプ」したイーサンは
客の入りが悪い店のバーテン。
そこへふらっと現れるのが、
恋愛告白記事を書いているジョン(サラ・スヌーク)
なんだか牽制し合うふたりは
いつしか1本のスコッチを賭けて
ジョンの身の上話へ
と至るのですが
たかがスコッチ1本のために
ジョンが赤裸々に自分の生い立ちを語る動機が不可解で、
展開としてはかなり強引だし、
あとから思えば、
バーテン・イーサンは
すべてを知ったうえでジョンを待ち構えていたわけで
わざわざ知らない振りをして、
ジョンの話の最後まで付き合わなくとも、
とっとと自分の目的を告げればいいのですが
ま、それじゃあ観客にはさっぱりなので仕方ありません。

それでも、ジョンの数奇な人生が興味深いとはいえ、
冒頭のトリッキーな展開からの
時系列に沿ったモノローグというのは
一体何が言いたいんだ? と不安になります。
この長〜いモノローグが
じつは本作の状況説明になっているのも
構成としてかなり冒険的ではないでしょうか。

この長い回想シーンの見どころは
やっぱりジョンに扮するサラ・スヌークでしょう。
回想の中では、ジョディ・フォスター風味の
かわいい女性ジェーンを素で(?)演じている彼女は
ジョンのときには見事に男の身振り手振りなのです。
特殊メイクや照明に工夫したそうですが
それも彼女の演技あってこそ。
まるでディカプリオとベニチオ・デル・トロを
足して2で割ったような雰囲気です。

「オレが少女だった頃……」
で始まるジョンの回想は
孤児院の玄関に置き去りにされたジェーンが
ちょっと変わった女の子で
数学や物理に長け、運動能力も抜群ということにはじまり、
やがて、宇宙飛行士の喜び組(処女限定)
オーディションへ。
謎の施設で行われる訓練シーンは
レトロ・フューチャーなデザインが秀逸です。
(余談ですが、面接シーンのやりとりの字幕で
 「役不足」という言葉の使い方が間違っているという指摘が
 某映画サイトのレビューにありましたが
 「宇宙旅行の目的は観光か?」と聞かれ、
 知力・体力ともに自信のあるジェーンが
 「それは私(のように能力が高い人間)には役不足ですね」
 と、謙遜ではなく自信満々に答えているので、
「役不足」の使い方は間違っていません)

とにかく、人付き合いができないまま成長したジェーンは
宇宙に行くプロジェクトをクビになったあと、
マナー教室に通ったりしているときに
運命の男性と出会い、処女を断捨離して妊娠。
ところが、相手の男が突然姿を消してしまい、
しかもジェーンの「フタナリ」が判明。
出産時に子宮を摘出したことから
ジェーンは男性になる手術を受けるのです。
このあたりの、ジェーンが男性にならなければならない根拠は
いまいちはっきりしませんでしたが、
そんなことより、やっとの思いでジェーンが産んだ赤ちゃんは
何者かの手によって奪われてしまうのです。

その後、男性になる努力をしたジェーンはジョンとなり、
自分の人生を翻弄した謎の男を殺したい
思うようになったのでした。
その身の上話を聞いたうえで
バーテン・イーサンは、じゃあ復讐を遂げさせてやると、
そのかわり自分の後釜になれよと、いうのでした。

そこで、ジェーンが怨みを抱く男に出会う寸前の時代まで
タイムスリップするのですが
ジェーンが心奪われて身体を許した因縁の相手は
ジョン、すなわちジェーン自身

ふたりの間にできた子供を奪って
孤児院の玄関前に置いたのはバーテン・イーサンなのです。
てことは、ジェーン=ジョンの子供は
ジェーン=ジョンなわけで、
バーの会話に出てきた「鶏が先か、卵が先か」状態なのです。

さらには、
バーテン・イーサンが追いかけていた連続爆弾魔は
バーテン・イーサンのパラレル別人格で
結果的にバーテン・イーサンはジェーン=ジョンなのです。
なにをいってるのかわからないかもしれませんが
結局、主要な登場人物はすべて同一人物ということです。

冒頭の爆破シーンで顔に火傷を負ったジェーン(サラ・スヌーク)は
皮膚を移植してイーサン・ホークの顔になったわけで
よくよく考えるとふたりの身長に差があったらまずいはずですが
(イーサン=179cm、サラ=165cm)
ふたりが同時に映るシーンではどちらかが座っていたり、
立って向き合うときには、
サラ・スヌークの足元が絶妙に隠されていました。

自分と自分がセックスして生まれた子供が
自分自身だったりするので
まるでマスターベーションで自分を産み出すようなものですが
確かに、ラストでなるほどねぇとは思うけれども
めくるめく一人相撲に
お前…さっきからひとりでなにやってんの? と言いたくなります。

やっぱねぇ、人生はやり直しがきかないのよ。





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