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悪魔の追跡

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(原題:Race With the Devil 1975年/アメリカ 89分)
監督/ジャック・スターレット 脚本/リー・フロスト、ウェス・ビショップ 製作/ウェス・ビショップ 撮影/ロバート・ジェサップ 音楽/レナード・ローゼンマン 編集/アラン・ジェイコブス、ジョン・F・リンク
出演/ピーター・フォンダ、ウォーレン・オーツ、ロレッタ・スウィット、ララ・パーカー、R・G・アームストロング、クレイ・タナー、キャロル・ブロジェット

概要とあらすじ
キャンピング・カーで旅する4人の男女と悪魔崇拝集団の戦いを描く。製作総指揮はポール・マスランスキー、製作はウェス・ビショップ、監督は「クレオパトラ危機突破 ダイナマイト諜報機関」のジャック・スターレット、脚本はリー・フロストとウェス・ビショップの共同、撮影はロバート・ヴェサップ、音楽はレナード・ローゼンマンが各々担当。フランク(ウォーレン・オーツ)とロジャー(ピーター・フォンダ)は大の仲良しで、共同でモーターサイクル工場を経営していた。2人は、久しぶりに休暇を取り、それぞれ夫婦同伴で旅に出ることになった……(映画.comより抜粋



同調圧力から逃げろ!の村八分スリラー

『ザ・チャイルド(1976)』と並ぶ、
僕のトラウマ映画『悪魔の追跡』
ウン十年ぶりに観てみたら、
その魅力はまったく色褪せていませんでした。
『ザ・チャイルド』と本作の共通点を挙げるとすれば
それは、理不尽な同調圧力の恐怖です。
こんな映画を観たから、同調圧力を嫌悪しているのか、
同調圧力を嫌悪していたからこんな映画に惹かれるのか、
わかりませんが
どちらの作品にも、何とも言えない特別な恐怖感を
小学生の僕は感じていました。
昔はこんな映画をテレビの地上波で繰り返し放送していたのです。

「1970年代に到来したオカルト映画ブームの
 潮流に乗って制作されたB級映画」
というような
紹介の仕方が多くみられますが
はああ?? B級映画ぁ?? ふざけてもらっちゃ困ります。
僕にしてみれば、超S級映画であることを
今回観直してみて再確認いたしました。

オカルト映画ブームの潮流があったのは事実でしょうが
本作で描いているのはオカルティックな恐怖ではありません。
主人公たちを追い詰めるカルト集団は
KKK(クークラックスクラン)をモデルにしていると
いわれていますが
それは怪しげな悪魔崇拝の儀式を差すのではなく
無害な一般人に混ざって
誰が敵かわからないという不信感でしょう。
(KKKのシンパは、自分が一員であることを周囲に明かさず、
 写真撮影などの祭に、ズボンのポケットに手を入れて
 KKKを示す3本指を出して、自分が一員であることを
 さりげなく誇示するのは有名ですな)
いうなれば、本作は集団サイコ・スリラーなのです。

バイク工場を経営するフランク(ウォーレン・オーツ)
ロジャー(ピーター・フォンダ)
それぞれ妻のアリス(ロレッタ・スウィット)
ケリー(ララ・パーカー)を伴って
念願のバカンスへ出かけます。
フランクが大枚はたいて用意したキャンピングカーは
テレビにコンロ、シャワーまで完備した最新型。
親の金で遊んで、セックスばっかりしているバカガキが
殺戮の餌食になるのはホラー映画の常套句で、ざまあみろですが
本作の登場人物たちは、
長年しっかり働いて地道に事業を成功させ、
やっと手にした贅沢なバカンスを満喫しようとしているのです。

野営する場所を見つけた一行はキャンピングカーを止め、
フランクとロジャーが夜更けに酒を酌み交わしながら
お互いの友情を確かめ合っていると、
なにやら川の向こう岸にある木陰で火を焚く集団が。
ふたりが野次馬的に双眼鏡を持ち出して覗き見ると、
裸の女が輪になって踊っています。
おお、こりゃいいねえなんつってると
仮面をかぶった男が一人の女性の腹を刃物で刺すのです。
このあたりの、弛緩した状況から一転して
シャレにならない事態が勃発する流れが最高です。
そこに輪をかけて、キャンピングカーからアリスが
「なにやってんのー? もう寝なさいよー」と
大声を出したことで、主人公たちの存在が相手にばれてしまいます。
慌てて、こちらに迫ろうとするカルト集団。
慌てて逃げて、川の窪地で往生するキャンピングカー。
このへんの、間に合うの? 間に合わないの? という
サスペンス演出はよくあるけれど
それでも、いらいらハラハラどきどきします。

しかし、あくまで儀式を目撃したことは
きっかけでしかありません。
なんとか追っ手を振り払った一行が
殺人を目撃したと通報するために
警察に立ち寄ってからが本当の恐怖の始まりです。

いわずもがな、警察はヘラヘラしているだけで
カルト集団の息がかかっていて、
以降、登場する主人公たち以外の人間のすべては
敵なのですが
全員がカルト集団の一員とも限りません。
カルト集団の圧力に怯えて、
反抗できない人たちかも知れません。
それこそが同調圧力による村八分の怖さです。
本作では、主人公たちを追い詰めるカルト集団が
自分たちの信仰を説いたりすることは一切ありません。
彼らは何も主張せず、何も語らず、
ただただ襲ってくるのです。


カルト集団の嫌がらせは徐々にエスカレートして
あからさまな攻撃に移り、激しいカーチェイスへ。
ここは単純にアクションとしてスリル満点です。
彼らが仕掛けるトラップは次第に大がかりに。
それでも、なんとか先へ進む主人公たち。
ボロボロになっていくキャンピングカーが痛々しい。

ヘッドライトが壊れているため、
一行は仕方なく静かな場所で一夜を過ごすことに。
やれやれと一息つこうとしたところで
キャンピングカーは一瞬にして炎に取り囲まれるのです。
ストップモーションが緊迫感を煽り、
脱出不可能な絶望感とともに映画は終わります。
小学生の僕は、他人なんか絶対に信用しないと
心に固く誓いましたよ。

ロードムービーの一面がありながら
閉じ込められている感覚が持続します。
スピルバーグ監督の『激突!(1971)』と同じプロットですが
本作で迫り来る相手は個人ではなく、
社会全体なのです。

同調圧力の包囲網から抜け出す方法はあるのでしょうか。





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