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ショック集団

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(原題:SHOCK CORRIDOR 1963年/アメリカ 101分)
監督・製作・脚本/サミュエル・フラー 撮影/スタンリー・コルテス 編集/ジェローム・トムス 音楽/ポール・ダンラップ 美術/ユージン・ローリー
出演/ピーター・ブレック、コンスタンス・タワーズ、ジーン・エヴァンス、ハリー・ローデス、ジェームズ・ベスト

概要とあらすじ
精神病院で起った殺人事件の犯人を突き止めるために、新聞記者ジョニー(ピーター・ブレック)が1年間の訓練を受け、狂人として病院内に潜入して真実を探る。自分の恋人キャシー(コンスタンス・タワーズ)を妹と偽り、面会に来させて外部との連絡に使い、他の患者と接触して情報収集に励むのだが、彼らの狂気の姿と異常な環境の影響で、次第に自分自身の精神のバランスを崩していく……(映画.comより抜粋



生生流転の狂気と正気

サミュエル・フラー監督の作家性が凝縮した傑作、
『ショック集団』を初めて観たときのショックを
忘れることができません。
ジャーナリストから戦場体験を経て、
映画監督になったサミュエル・フラーの作品は
社会の病理、なかでも人種差別や同調圧力に対する
強烈な批判が特徴ですが、
敵と味方を取っ替えたり、価値を逆転させたり
露悪的な皮肉(ジョーク)がたっぷりなうえに
エンターテイメントとしても優れているのです。

ピューリッツァ賞を狙う新聞記者のジョニー(ピーター・ブレック)
精神病院内で起きた未解決の殺人事件を解明するために
狂人になりすまして精神病院に潜入し、
患者から犯人の手がかりを聞き出そうとする……
となれば、最終的にはジョニーが狂人となって
ミイラ取りがミイラになる物語だということは
容易に想像できます。
ジョニーの妹になりすます恋人の
キャシー(コンスタンス・タワーズ)
最初からその危険性を訴えますが
重要なのは結末ではなく、
その過程で描かれる狂気のモチーフなのです。
歌手を目指すキャシーが、生活のために
セクシーな衣裳を着てキャバレーのショーに出演していることも
本来の自分をひた隠しにして偽りの自分を演じる社会生活を
投影しているのではないでしょうか。

精神病院への潜入に成功したジョニーが
証言を得るべく目をつけている患者は3人。
一人目は、朝鮮戦争で捕虜となって洗脳され、
逆に共産圏のスパイとなったスチュアート(ジェームズ・ベスト)
その経験から精神を崩壊させた彼は
自分のことを南北戦争における南軍の将軍だと思い込んでいます。
全編モノクロの本作は、患者が正気に戻った瞬間だけ
カラーの映像に
なります。
スチュアートの脳裏に浮かぶのは
鎌倉の大仏や富士山といった日本の光景。
これはフラー監督が日本に滞在したときに撮影した映像だとか。
スチュアートは「白いズボン」という犯人の特徴を伝えると、
また狂気の世界に戻ってしまいます。

もっとも衝撃的な二人目は、
さまざまな迫害を受けた挙げ句に倒錯して
自分がKKK(クークラックスクラン)の一員だと思い込んでいる黒人。
白い三角巾を被り、
「ニガーを殺せ! この世界は白人のものだ!」と
叫ぶ黒人のトレント(ハリー・ローデス)
……
俳優はどんな気持ちで演じていたのでしょうか。
彼もまた一瞬正気に戻り、「看護人」というヒントを残すと
KKKの一員に舞い戻ります。

三人目は、原爆製造に関わった科学者の
ボーデン(ジーン・エバンス)

彼は、自分の研究が大量殺戮を引き起こしたことに苛まれ、
6歳児に退行してしまっています。
ついにジョニーは、ボーデンから犯人の名前を聞き出すのですが
すでにジョニーは
キャシーが本当の妹だと思い始めるほど精神崩壊の危機にあり、
せっかく聞き出した犯人の名前を思い出せません。
精神病院内の廊下で激しい雨に打たれる幻想の中、
のたうちまわるジョニー。

やっと思い出した犯人を取り押さえようと暴れるジョニーは
正気に戻っているはずですが、
その暴れるさまは狂人そのもの
なのです。
念願叶って、ピューリッツァ賞を受賞したときには
ジョニーは筋肉が硬直して廃人のようになっているのです。

さまざまな映像的技工が施され、
狂人の頭の中で鳴っている音楽が実際に聞こえてくるなど
狂気を表現するためのアイデアも見どころ。
本作の精神病院は、狂った現代社会を凝縮した場所なのです。





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