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県警対組織暴力

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(1975年/日本 100分)
監督/深作欣二 脚本/笠原和夫 企画/日下部五朗 撮影/赤塚滋 美術/井川徳道 音楽/津島利章 録音/溝口正義 照明/中山治雄 編集/堀池幸三
出演/菅原文太、梅宮辰夫、佐野浅夫、山城新伍、汐路章、松方弘樹、遠藤太津朗、室田日出男、奈辺悟庄、成瀬正孝、曽根晴美、藤沢徹夫、田中邦衛、小田真士、成田三樹夫、川谷拓三、高並功、野口貴史、金子信雄、小松方正

概要とあらすじ
広島抗争事件を背景に一人の悪徳刑事を通して地方誓察の腐敗、捜査刑事とやくざの癒着ぶりを描く。昭和32年。大原組内紛による倉島市のやくざ抗争は、反主流派・三宅組長の射殺と、大原組長の逮捕で一応終止符を打った。三宅派の友安政市が組を解散後市会議員となってから市政の腐敗が目立ち、友安の可愛がる大阪の流れ者・川手勝美が組を結成して以来、大原組の留守を預る若衆頭・広谷賢次との小競合が頻繁に起こるようになった……(映画.comより抜粋



本当の敵はほかにいる

2014年から2015年へと年をまたぐ間に
多くの偉大な映画人たちが天寿を全うされました。
そのなかのひとり、菅原文太主演の
『県警対組織暴力』
『仁義なき戦い』から始まった東映実録映画路線の一本で
深作欣二と笠原和夫のイケイケコンビによる傑作です。

大ヒットした『山口組三代目(1973)』
『三代目襲名(1974)』の内容が
田岡一雄組長をヒーローのように描いているとして
兵庫県警から睨まれて、家宅捜索まで受けた東映は
三部作の3作目『山口組三代目 激突篇』の製作を断念。
「ヤクザ路線」から「警察路線」という新シリーズと銘打って
製作されたのが、この『県警対組織暴力』。
このあたりの経緯は、
春日太一『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』に詳しく、
東映とヤクザの密接な関係を題材に
エンターテイメントとして仕上げたのが
園子温『地獄でなぜ悪い(2013)』です。

「警察路線」というわりには、
警察をヒーロー扱いしたり、
法の正義を訴えたりするつもりはさらさらないようで
冒頭から刑事の久能(菅原文太)
チンピラから金を巻き上げ、殴り込みに送り出します。
かといって、汚職まみれの警察の実態を
告発しようとするわけでもなく、
「仁義の代わりに法律がものいうとるだけ」
というセリフがあるように
警察もヤクザも同類として描きます。
大原組若衆頭の広谷(松方弘樹)と盟友の久能は
スナックでわあわあと一緒に酒を飲みながら
なんでヤクザにならなかったのかと聞かれると
「ピストルを持ちたかったから」と答え、
警察になるかヤクザになるかは
就職先を選ぶくらいの違いしかないことを際だたせます。

ところが、本当に悪いのは現場の警官でもヤクザでもなく、
自らの手は汚すことなく暗躍している
政治家(金子信雄)資本家(小松方正)だったりするのが
『仁義なき戦い』と連なる、
笠原和夫の弱者に対する憐憫と愛情を感じます。
さらに、正義漢面した県警のエリート警部補、
海田(梅宮辰夫)が登場して事態を悪化させるのです。
終盤で、広谷率いる大原組と敵対する
川手(成田三樹夫)率いる川手組との抗争になりますが
ドスで切り落とされた首が階段を転げ落ちる!
 狭いアパートでの殺し合いに流れる「こんにちは赤ちゃん」!
単に、ヤクザ同士の抗争や警察とヤクザとの抗争ではなく、
政治家や県警に象徴される権力者と
虐げられる弱者たちの戦いになっているところが
善悪を超えた多義性をもたらしていると思います。

大勢の名優たちが登場していて、
アンコ(=刑務所内の女役)役の田中邦衛が笑えますが
有名なのは、菅原文太と山城新伍が
ヤクザ役の川谷拓三を取調室でボコボコにするシーン。

どうやら本当に殴っているそうで
迫力があるのは当たり前ですが
可笑しくも悲しく、これぞ拓ボンというべき魅力が満載です。

松方弘樹も終始殺気に満ちていて
警察署の目の前で、自分を狙っているチンピラが乗った車めがけて
何度も追突して脅かすシーンの笑顔が狂っています。

久能と篤い友情で結ばれていた広谷はついに暴発し、
人質を取って立てこもります。
苦しい立場のなか、久能は広谷を助けるために孤軍奮闘し、
広谷は自首の勧めに従ったかにみえたものの、
すでに壊れた信頼関係は戻ることなく、
県警の海田警部補を縦に逃亡を図ります。
苦渋の選択を迫られた久能は広谷を射殺するほかありませんでした。

警察とヤクザの癒着を禁止し、
威張り散らすだけで事態を悪化させた海田警部補は警察を退職し、
大阪の広域暴力団と繋がっている石油会社に再就職。
爽やかに朝のラジオ体操なんかやってます。
かたや、久能は左遷されて制服警官に格下げ。
派出所で通報を受けた久能は現場へ向かい、
逆恨みしたヤクザの車にはねられて
どしゃぶりの雨に打たれながら死んでしまいます。


信頼関係を失って疑心暗鬼になった弱者たちが
お互いを憎み、殺し合ってしまう……
結局、弱者同士が殺し合って喜ぶのは権力者たちです。
これじゃ、だめなんだ……
本当の敵はほかにいるんだ……

悲しくもやるせない名作です。





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