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スイートプールサイド

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(2014年/日本 103分)
監督・脚本/松居大悟 製作/高橋敏弘 原作/押見修造 撮影/塩谷大樹 照明/横堀和宏 美術/塚本周作 録音/鈴木肇 編集/西潟弘記 音楽/HAKASE-SUN
出演/須賀健太、刈谷友衣子、落合モトキ、荒井萌、太賀、井之脇海、谷村美月、木下隆行、利重剛、松田翔太

概要とあらすじ
「惡の華」で知られる押見修造による、思春期特有の毛の悩みを抱える少年少女の姿を描いた異色青春コミックを実写映画化。男子なのに毛が生えないことに悩む高校1年生の太田年彦は、同じ水泳部の毛深い女子・後藤綾子をうらやましく思っていた。そんなある日の放課後、綾子から毛深いことに対する悩みを相談され、「私の毛を剃ってくれない?」と依頼されたことから、年彦は綾子の腕の毛とスネ毛を毎週剃るという秘密の関係を結ぶ。やがて年彦は綾子に対して特別な感情を抱くようになるが……。「アフロ田中」「自分の事ばかりで情けなくなるよ」の新鋭・松居大悟監督がメガホンをとり、須賀健太と刈谷友衣子が主演。松居監督の「アフロ田中」に主演した松田翔太も出演している。(映画.comより



疾走する変態! 叫ぶ青春!

どうしたって『月光の囁き(1999)』が頭に浮かぶ、
変態青春映画『スイートプールサイド』

高校一年生になっても下の毛が生えず、
ツルツルなのを悩む太田年彦(須賀健太)
逆に、毛深いことに悩んでいる
同じ水泳部の後藤綾子(刈谷友衣子)から
「なんで太田くんは、そんなにツルツルなの?」からの
「私の毛を剃ってよ」と頼まれる……
という物語の発端は、
太田はもともとツルツルで、毛が生えないんだから
毛を剃ったことなどないはずで、
そんな太田に毛を剃って欲しいと願い出ること自体が
完全に論理が崩壊していますが
まあ、そんなことはどうでもいいのです。

高校一年生という設定は、若干遅いような気がしますが
とにかく、思春期の悩みを
体毛に凝縮させた
のが素晴らしいのです。
それでなくても、剃毛が好きな大人だっているんですから
体毛を剃るという行為はなかなかにエロティックです。

また、体毛が生える、生えないということが
とくに思春期の男女ではまったく価値観が逆なのも
効果的です。
ベクトルは真逆だけど同じ悩みを共有して、ふたりだけの秘密とし、
かつ、綾子の悩みを解消させてあげることができるのは
太田にとって、それはそれは喜びなのです。

太田が綾子の体毛を剃るのが、
人目に付かないどこかの一室ではなく、
すぐに見つかりそうな橋の下というのも不思議な設定です。
秘密の剃毛儀式は、セックスの匂いをぷんぷんさせながらも
あくまで「そういうことじゃない」という、
思春期独特のもどかしい建前からくる
ふたりの絶妙な距離感を演出しているように感じました。

もうちょっといいカミソリを使えよと思いましたが、
シェービング・クリームとともに剃り落とされる
体毛にクローズアップし、
「あん。」と声を漏らす綾子。

くだらないねぇ。ばかだねぇ。
剃った綾子の体毛を持ち帰ってコレクションしている太田は
体毛を自分の腕にこすりつけては悶絶し、
さらにはパクッと食べちゃいます。
……わかるよ。食べちゃうよな、そりゃ。
(えっ? おれ、変態?)

何度かふたりだけの儀式を重ねるうち、
ついに脇毛を剃って欲しいと願い出る綾子。
「後藤さん、それはダメだよ!」
危険を察知して固辞する太田。
なにがダメなんだか、
やっぱり「そういうことじゃない」の境界線を越えるのを
警戒しているのです。
そして、トドメとばかりに投入される禁断のスクール水着。

体毛を剃った綾子は水泳のタイムが伸び、
脇毛を剃ったおかげでクロールで泳げるように。
太田と綾子の剃毛関係は順調だったのですが
太田に気を寄せる同級生に剃毛現場を見られて、
剃毛関係が破綻。
さらに、水泳部の顧問二宮(落合モトキ)
恋敵として浮上します。
こいつ、『桐島、部活やめるってよ』あのパーマです。
また、お前か!!

バカバカしい青春エロ物語だった前半と打ってかわって、
綾子との関係が壊れてしまった太田が
鬱屈を溜め、暴走を始める
あたりから
ぐんぐんと映画の吸引力が増加します。
太田に毛を剃ってもらえなくなった綾子が
自分の腕の毛をハサミを使って剃ろうとして傷だらけになるのは
なぜ、カミソリを使わないのか、
まるでリスカしたみたいになんでそんなに傷だらけになるのか、
さっぱり理解できませんが
とにかく、完全に間違った方向へ暴走した太田は
ちょっとしたテロリスト的な高揚感まで覚え始め、
火傷で毛が生えなくなる薬品を手作りしたうえに
「もう毛なんかいらないんだ!」と自分の頭髪を引き抜こうとします。
「二宮先生が好きなの! 太田くんの毛は関係ないの!
と、元も子もないことを言う綾子。

「オレがこんなになったのは後藤さんのせいだ!
 責任とってよ! あそこの毛を剃らせてよ!
 お願い! お願い! お願い!」

完全に自分を見失った太田。
ところが綾子は、
「いいよ。剃らせてあげる。そろそろはみ出そうだったし。」
と、ちょうどよかった的に太田の望みを受け入れるのです。
カミソリとシェイビング・クリームを手にして、
パンツを引き揚げた綾子の足の間に跪いた太田。

「やっぱり、だめだ!
 ここはオレが手をつけちゃいけない場所だから!
 だって、後藤はオレのこと、好きじゃないんだろ!」
「そんなの関係ないじゃん!
 あとから好きになるかもしんないじゃん!
 剃ってくれたら好きになってあげるよ
好きになってあげるってなんだよ!
「剃るって言ったじゃん! 剃ってよ!

アソコの毛を剃るか剃らないかを巡る
わけのわからない言い争い

なぜか胸が熱くなります。
あくまで綾子は、恋愛と毛を剃ってもらうことは
別物と考えているのですが
もちろん太田はそんな風に割り切れません。
一体、どっちが変態なんだか。
やがてふたりの関係は逆転するのでした。
女はリアリスト、男はロマンチストなのね。

太田を演じる須賀健太
いかにもヘタレ顔と熱演が見事でした。
思春期のバカ(太田と綾子のふたりとも)が疾走する姿を
決して茶化すことなく描いた傑作です。

太田よ。もっと大人になった男はな、
自分のアソコの毛を剃るから! 逆にな!



↓いろいろ納得!!




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