ブルー・リベンジ

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(原題:Blue Ruin 2013年/アメリカ・フランス合作 91分)
監督・脚本・撮影/ジェレミー・ソルニエ 製作/リチャード・ピート、ビンセント・サビーノ、アニシュ・サビアーニ 編集/ジュリア・ブロック 音楽/ブルック・ブレア、ウィル・ブレア 特殊メイク/トビー・セルズ
出演/メイコン・ブレア、エイミー・ハーグリーブス、デビン・ラトレイ、イブ・プラム、ケビン・コラック、デビッド・W・トンプソン

概要とあらすじ
両親を殺された男の孤独な復讐劇を緻密な演出と乾いたバイオレンス描写で描き、2013年・第66回カンヌ国際映画祭監督週間で国際批評家連盟賞を受賞したサスペンススリラー。ボロボロの青いセダンに寝泊まりするホームレスの男ドワイトは、ある日、顔見知りの警官から警察署に呼び出され、かつて自分の両親を殺した男が刑期満了を前に釈放されることを知らされる。ドワイトは復讐心だけを胸に、たったひとりで犯人のもとへと青いセダンを走らせる。07年のホラー映画「MURDER PARTY」のジェレミー・ソルニエが監督・脚本・撮影を手がけ、同作にも出演したメイコン・ブレアが寡黙な主人公を演じた。日本では、15年1~2月、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2015」上映作品。(映画.comより



やっぱり大事なのは熱意と発想

惹句で『わらの犬』やコーエン兄妹が
引き合いに出されるのも納得の
『ブルー・リベンジ』
ちっともスカッとしない、ブルーなリベンジものです。

「製作資金は監督のクレジットカード1枚という
 驚きの低予算作品」

ていわれていますが、それがどのくらいの低予算なのか
いまいちピンと来ないのはさておき、
脚本と撮影も務めるジェレミー・ソルニエ監督
15年間映画に関わってきたけれどパッとせず、
最後にもう一本だけ映画を作って転職するつもりだったそうですが
ところがその最後の作品になるはずの
『ブルー・リベンジ』がいろんなところで高評価。
一躍、引く手数多の存在になったのです。
まさに『ファイナルファンタジー』のひとりスクウェア状態。
これが最後だと思ってやると、吹っ切れるんでしょうか。
不思議なものです。

原題『Blue Ruin』の「Ruin」
破滅とか荒廃といった意味。
今回の場合は、邦題グッジョブなかんじですが
とにかく、前半はどこもかしこもブルーに覆われています。
主人公ドワイト(メイコン・ブレア)が乗っている
ボロボロのセダンやシャツ、
郵便ポストまで真っ青です。
ま、アメリカの郵便ポストはもともと青いんですが
とてもわかりやすくカラー・コーディネイトしています。

両親を殺された過去を持つドワイトは
上半身が全部おっぱいみたいな婦人警官から
犯人の男が司法取引によって
刑期満了を待たずに釈放された
ことを聞き、
復讐を決意します。
ホームレスのドワイトは金がなく、銃を買うこともできませんが
それでも出所祝いのパーティーで浮かれる
犯人家族の家に忍び込むのです。
ところがドワイトはもともと暴力的な人間ではなく、
それまで、復讐の炎を燃やしていたようにも見えません。
それでも、セリフでなにも語らないドワイトが
復讐を決行したのは
彼が後ろめたさを感じていたからではないでしょうか。
ドワイトは自分の役割を果たさなければならないという考えに
追い詰められていたように思います。

両親を殺害されたあと失踪したドワイトは
そのまま車中で生活するホームレスになってしまったのですが
その理由がはっきりとは語られないものの、
ドワイトの姉サム(エイミー・ハーグリーブス)
ドワイトから犯人殺害の事実を聞くと
「十分苦しませたでしょうね」というし、
「あんたがバカなら、許してあげる。でもあんたは、弱いだけ」
と、ドワイトを責める様子からすれば
彼は両親を殺された家族の長男に求められる重責に堪えかねて
逃亡したのではないでしょうか。

間に合うの? 見つかるんじゃないの? というような
たとえサスペンスの常套句でも
ドワイトが復讐に燃えるヒーローではなく、
グズグズでいまいち頼りないところが、
いつかヘマをやらかすんじゃないかと心配にさせ、
より効果的にヒヤヒヤドキドキさせてくれます。

笑うに笑えないコメディも秀逸で
復讐を遂げたドワイトが逃げる間際、
余計なことをしなきゃいいのに
犯人家族のリムジンのタイヤにナイフを指すと
ナイフを持った手が血で濡れてるもんだから
自分の手をざっくり切ってしまい、
なんとか自分の車に乗り込んだら鍵を落としていることが判明、
慌ててリムジンで逃走しようとするも
さっき自分でパンクさせてるからうまく走らないというシーンは
なにやってんだ感が満載です。

また、太ももに刺さったボーガンの矢を
自力で抜こうとするもののあまりの痛さに耐えかね、
結局病院に駆け込むトホホぶり。
でも、映画の世界じゃなかったら
実際はこんなもんでしょうね。

ブルー一辺倒だった画面は
いつしか暖かい色に覆われています。
高校時代の同級生(=ガンマニア)に助けを求め、
古いアルバムをめくるドワイトは
復讐を通じて自分の過去の思い出巡りをしているようです。

そもそもドワイトが復讐を果たしたかに思われた相手は
真犯人ではなく、その父親が犯人
そもそもの原因はドワイトの父親と犯人家族の母親が
不倫関係にあったことなのですが
かならず直接は無関係な人間が
巻き添えになって殺されてしまう
のが
なんともむなしいのです。
ドワイトは、復讐が無益なものであることを知っていますが
犯人家族が復讐の復讐を企てている以上、
それを阻止するほかに手はないのです。

ま、父親の罪をかぶって一番無難な息子が出頭するわ、
ソファーの下に自動小銃を隠してるわ、
犯人家族はロクな人間たちではないのですが、
悪党というよりもどうしようもないバカといった印象が強く、
復讐劇のむなしさがより身に染みるのです。

小振りな作品ではあるけれど、
やっぱり表現にとって大事なのは
熱意と発想ですな。





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2015.02.22 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画

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