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ツリー・オブ・ライフ

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(原題:The Tree of Life 2011年/アメリカ 138分)
監督・脚本/テレンス・マリック 製作/サラ・グリーン、ビル・ポーラッド、ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、グラント・ヒル 撮影/エマニュエル・ルベツキ 美術/ジャック・フィスク 編集/マーク・ヨシカワ 音楽/アレクサンドル・デプラ
出演/ブラッド・ピット、ショーン・ペン、ジェシカ・チャステイン、ハンター・マクラケン、ララミー・エップラー、タイ・シェリダン

概要とあらすじ
「天国の日々」「シン・レッド・ライン」のテレンス・マリック監督が、ブラッド・ピット、ショーン・ペンを主演に描くファンタジードラマ。1950年代半ば、オブライエン夫妻は中央テキサスの田舎町で幸せな結婚生活を送っていた。しかし夫婦の長男ジャックは、信仰にあつく男が成功するためには「力」が必要だと説く厳格な父と、子どもたちに深い愛情を注ぐ優しい母との間で葛藤(かっとう)する日々を送っていた。やがて大人になって成功したジャックは、自分の人生や生き方の根源となった少年時代に思いをはせる……。製作も務めたピットが厳格な父親に扮し、成長したジャックをペンが演じる。第64回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。(映画.comより



ミニマルからマキシマムへ至る私的宇宙

気に入るかどうかは別にして、
『ツリー・オブ・ライフ』
さほど難解な映画ではありません。
冒頭で旧約聖書のヨブ記38章4節~7節が引用され、
「世俗に生きるか、神に委ねるか」という言葉が繰り返されて
むしろしつこいくらいに
この作品が言わんとすることを訴えています。

ヨブ記は、正しい行ないに励み、信仰も篤いのに
それでも次々と不幸が訪れるのはなぜなのか
という、
神の存在意義を問いかけるものです。
その宗教観を映像化したのが本作というのは
間違いないでしょうが、
加えてテレンス・マリック監督の個人史でもあるようです。

どこまで実体験に基づいているのかはわかりませんが
ブラッド・ピットが演じる威圧的な父親は
監督自身の父親像だとか。
誰もが中流意識を持つようになった1950年代のアメリカで
音楽家になる夢に挫折した父親は
違う形でアメリカン・ドリームを実現させようと
奮闘するも思い通りには行かず、
自分が抱える鬱屈を子どもたちへ向けてしまいます。
父親は、彼なりに家族を愛し、
それとともに自己実現へ向けて戦っていたのですが
やがて家を失うまでになると、
それまで自分の目の前にあったささやかな幸せを
ないがしろにしていたことに気づくのです。

家を失ったことも不幸ですが
この家族に訪れる最大の不幸は、次男の死です。
それを機に、ジェシカ・チャステインが演じる母親は
ヨブのように信仰の意義を自問するようになるのですが
次男の死因はまったく語られません。
『町山智浩の映画塾』によれば、
次男の死因は自殺だそうです。
というのも、テレンス・マリック監督の弟も
自殺してしまったそうで、
やはり個人史を色濃く投影しているわけですが
長男(ショーン・ペン)
中年になったいまでも弟の死に囚われ、
そのことで責めるような発言をしたことを
父親に詫びているのも納得がいきます。
幼いときからギターを弾いていた次男は
音楽を諦めた父親の寵愛を受け、
それに答えるかのように音楽家の道を選んだのです。
次男に対する父親の過度な期待が
彼を自殺へと至らしめたのかも知れません。

さて、そのようなミニマルな家族の物語が
宇宙の起源から天地創造を経て生命誕生に至るまでの
マキシマムな宗教的世界観と対比され、
やがて神の存在を見いだすのですが
嫌が応にも『2001年宇宙の旅』と比較されます。
(数々のイメージは『2001年宇宙の旅』でも特殊効果を担った
 ダグラス・トランブルによるもの)

『2001年宇宙の旅』では、
登場人物が知らず知らずのうちに
神としかいいようのないものにたどり着いてしまうのですが
監督の個人史にヨブ記をあてがって
意図的にキリスト教的世界観を表現しようとするこの作品は
説教臭さとともに、傲慢とも受け取れるので
賛否が分かれるのは当然でしょうな。

長男=テレンス・マリック監督は
夢の中のような場所で過去の思い出と戯れます。
彼にとって美しい思い出は、次男が生きていた幼少時の記憶であり、
中年となったいまでは
憎んでいた父親の肩に手をかけてねぎらうことも
できるようになったのでしょう。

照明を使わずに自然光を用いた映像は美しく、
特殊映像も見応え十分でした。
観念的と思われそうなシーンも
むしろ説明的すぎるほどで
唐突に登場する恐竜にずっこけるかもしれないけれど
一見の価値あり、と思うぞよ。

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