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キャビン

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(原題:The Cabin in the Woods 2012年アメリカ 96分)
監督/ドリュー・ゴダード 製作/ジョス・ウェドン 脚本/ジョス・ウェドン、ドリュー・ゴダード
出演/クリステン・コノリー、クリス・ヘムズワース、アンナ・ハッチソン、フラン・クランツ、リチャード・ジェンキンス、ブラッドリー・ウィットフォード

概要とあらすじ
「LOST」「クローバーフィールド HAKAISHA」の脚本で知られるドリュー・ゴダードが監督・脚本、「アベンジャーズ」のジョス・ウェドンが共同脚本・プロデュースを務めたスリラー。二転三転する展開が話題を呼び、全米でスマッシュヒットを記録した。女子大生のデイナは友人のジュールスに誘われ、仲間と5人で山奥にある別荘にやってくる。しかし、デイナたちの行動は謎の組織によりすべて監視されており、5人は事態のすべてをコントロールする組織が描いたシナリオどおりに動かされていた。そうとは知らないデイナらはさまざまな恐怖に襲われ、ひとりまたひとりと命を落としていくが……。(映画.comより)



もっと、あたいを裏切っておくれ

好きで好きで仕方がない女の子から
やっとの思いでデートのOKを貰い、
誘った映画が『悪魔の毒毒モンスター』と
『XYZマーダース』の2本立て。

案の定、その恋が成就することはなかった……
そんな甘酸っぱい経験を持つ僕は
ホラー映画が大好きなごく普通のキチガイです。

「あなたが今、考えた…その予想は、絶対に裏切られる」
というキャッチコピーが
期待のハードルを棒高跳びのバー並に高くする『キャビン』
そんなホラー好きの胸を高鳴らせ、心震わせ血を吹き出せ、
間違いなく2013年のマスト・ムービーなのです。
なんせ『キャビン』の大元ネタは
僕の大大大好きな『死霊のはらわた』だというではないか!
なにはなくとも『キャビン』を見逃すわけにはいくまいと
「打ち合わせ」と称して平日の映画館へ急いだのです。

結論から、申し上げますと……
なんにも知らずに観たかった!!!
ただのホラー映画だと思って観たかった!!!

ハズレの映画に出逢うリスクの一切を拒否して
映画を観に行く前に、ネットのレビューを読み漁り、
ちょっと内容に触れていると
ネタバレネタバレドウシテクレル
騒ぎ立てるバカがいますけれど
僕が言いたいのはそんなことではありません。
僕が『キャビン』についてあらかじめ得ていた情報とは
「ホラー映画の定番通りに起こる惨劇が
実は外部から操られたものだった」
という
予告編レベルの情報です。
自分の嗅覚を信じ、
「これは観たい!」と頭頂の毛が垂直に立ったときは
あえて予告編以上の情報は仕入れないようにしています。
んがっくくッ、しかし!
その予告編レベルの情報を持っているおかげで
『キャビン』の全体を成す構造を知ってしまっているのは
大誤算でした。

冒頭から、自動販売機でコーヒーを買う
ワイシャツ姿のふたりの男。
この時点で「あ、こいつらが操る側か」
わかってしまいました。
そして、それはその通りなのです!
まさか、この「操る側」から映画が始まるとは
思っていなかったので、かなり面食らいました。
(タイトルの出方はかっこよかったけど)
ここはぜひ! ここはぜひ!
定番通りのホラー映画としてスタートしてほしかった!
「操る側」を登場させるのは
いつもハッパでラリってるやつが
マイクロカメラを発見してからでいいではないか!

……僕は『キャビン』を観るにあたっての
心構えを間違っていたのかも知れません。
それなら謝ります。なんか、すんません。
でもさー「絶対に裏切られる」って言われたら
大どんでん返しがあると思うでしょ?
ところが、映画は「操る側」と「操られる側」が
並行して描かれ、「操る側」の動機は謎だけれども
観客は「操る側」の視点で観ていることになるので
「裏切られた」感がまったくないのです。
というより、こういう構成にしたこと自体が
監督には観客を裏切ろうとする意図がないことが伺われ、
単に「ホラー映画を題材にしたコメディ」として
観るほうが適切なような気がします。
「操る側」の描かれ方が、
もっと深刻で謎めいた管理システムのようであれば
隠された事実に前のめりになるのですが
この作品では「操る側」は
終始ジョークを飛ばす軽いノリの存在として描かれているので
最初からコメディとして接したほうがいいのかもしれません。
5人組が「キャビン」へ向かうトンネルの前で
一匹の鳥が見えないシステムの壁に当たって
墜ちるシーンがありますが
後半、バイクで崖を飛び越えようとするシーンの
伏線と言えば聞こえはいいが、
これこそネタバレではないのかと感じました。

ドリュー・ゴダード監督が脚本を務めた
『クローバーフィールド HAKAISHA』でも感じたことですが
アイデアに溢れるものの、演出の視点が達観しすぎていて
まさに『キャビン』での「操る側」の人間たちのように
登場人物を単に駒のように扱っているように感じるのです。
それゆえに観客は(少なくとも僕は)
登場人物たちと一緒に逃げ回ったり、怯えたり、
喜んだりすることができないのです。

「操る側」の動機については、
多くを語らないほうがいいのかも知れませんが
「神」に近いメタレベルの存在を持ってきたことは
正直あまり感心せず、それ自体に大きな意味があると言うよりも
落語の「下げ」のような感じで
捉えたほうがいいのかも知れません。
メタレベルの存在に生け贄として捧げるために
不幸な5人組が選ばれたのですが
そもそもそれがなぜホラー映画の定番に沿っていなければ
ならないのかは、よくわかりませんでした。
人類滅亡を阻止するために働く「操る側」の軽率さも
事態の深刻さを感じられません。
まあ、そのへんのご都合主義に言及するのは
野暮なことでしょう。

『死霊のはらわた』をはじめ、
いろんなホラー映画の引用が登場します。
Jホラーに対するリスペクトの高さも感じられました。
元ネタを見つけるのも楽しみ方のひとつではあるでしょうが、
タランティーノ作品のおびただしい引用と違って
なんとなく趣味のひけらかしに映るのは
僕だけでしょうか。
怪物たちがあふれ出し、血みどろになった
エレベーターホールの絵面は見事でしたが
先述したように、「操る側」と「操られる側」の
並行した描き方が物語のカタルシスを阻害したと
いうほかありません。
あ、最後に登場するリプリーはお楽しみ。

『スクリーム』のように
ホラー映画の定番を逆手に取ったホラー映画でもなく
『トゥルーマン・ショー』のように
監視社会の欺瞞を突きつけるでもなく
なんとも、見方が悩ましい作品でした。





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