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コックファイター

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(原題:Cockfighter 1974年/アメリカ 84分)
監督/モンテ・ヘルマン 製作/ロジャー・コーマン 原作/チャールズ・ウィルフォード 脚本/チャールズ・ウィルフォード 撮影/ネストール・アルメンドロス 編集/ルイス・ティーグ 音楽/マイケル・フランクス
出演/ウォーレン・オーツ、リチャード・B・シャル、ハリー・ディーン・スタントン、エド・ベグリー・Jr.、ローリー・バード、トロイ・ドナヒュー、パトリシア・ピアシー、ミリー・パーキンス、スティーブ・レイルズバック

概要とあらすじ
低予算映画の帝王ロジャー・コーマンが、闘鶏をテーマに1974年に製作した異色ロードムービー。主演は「ガルシアの首」の名優ウォーレン・オーツ。闘鶏トレーナーのフランクは、大口を叩いたにもかかわらず試合で大敗し、全国チャンピオンになるまで口を利かないという誓いを立てる。やがて最強の鶏「白い稲妻」を手に入れたフランクは猛特訓を開始するが……。「断崖」(71)の失敗でハリウッドから干されていたモンテ・ヘルマン監督に復活のチャンスを与えるためメガホンをとらせたが、本作もまた興行的に失敗してしまう。コーマン製作作品の中では数少ない赤字作品の1本となった伝説の1作。2013年、35mmニュープリント版で日本劇場初公開。(映画.comより



誰も観たがらなかった闘鶏映画

低予算の映画を大量に作り、
なおかつ利益にもこだわったロジャー・コーマン
携わった作品の中で赤字になったといわれる2本のうち、
ひとつが『コックファイター』
(もう1本はコーマン自身が監督した『侵入者(1962)』
公式サイトのコーマンの言葉を引用すると……

 製作時私は、誰も考えたことのない〈闘鶏の映画化〉という、
 全く新しい事を成し遂げようとしている高揚感に包まれた。
 そして公開後、何故それまで闘鶏映画がなかったのかが解った。
 誰も闘鶏の映画など観たくなかったのだ。
 一体何故こんな映画を公開するんだ?!


コーマンは、大コケした『コックファイター』に
他の映画のシーンを挿入したり、編集をいじったりして
なんとか客の気を引くように改ざんしたそうですが
それでも結果は変わらず、封印されていたという
いわくつきの一作です。

それにしても、この作品はなんともつかみ所がない。
闘鶏というものが映画のテーマにするには
地味すぎるというのは確かだけれど
ドキュメンタリーのような風合いを持つこの作品の
鶏が生死を賭けて戦うシーンなどは
観ようによっては鬼気迫る迫力を感じるほどで、
むしろそれよりも、
主人公フランク(ウォーレン・オーツ)
一切喋らないという設定が理解を拒むのです。

もともとフランクは口数が多い男でしたが
ジャック(ハリー・ディーン・スタントン)との勝負に敗れ、
「お前の欠点は軽口を叩くことだ」といわれたのをきっかけに
闘鶏の全国チャンピオンになるまでは
口をきかないと決めた
のでした。
子供じみたつまらない意地を張るもんだと思いますが
とにかくフランクは一切喋らず、
身振り手振りだけで周囲と会話するので
一体フランクが何を考えているのかわからないのです。

行く先々の大会に出場したり、
声をかけられればどこでも簡易のリングで勝負をして
賞金を稼ぐフランクの姿は
西部劇のようでもあるけれど、
メンコで遊んでいる子供のようでもあります。
(最近のガキはメンコで遊ばないか…)
車とトレーラーを賭けの対象にしてあっさり奪われ、
ついでに一緒にいた女まで渡しても
フランクにはまったく悲壮感がありません。
蓄財はおろか人生設計などどこ吹く風。
行き当たりばったりで勝負のスリルを楽しんでいるのです。

そんなフランクにも、
エリザベス(パトリシア・ピアシー)という婚約者がいて
彼との結婚を待ち望んでいるのですが
フランクの生き方に疑問を抱いています。
それはフランクのほうも承知の上で
全国チャンピオンが決定する大会を観に来てくれるよう
エリザベスに手紙をしたためます。
口うるさかったオレは喋るのをこんなに我慢してるし、
オレがチャンピオンになれば、彼女も理解してくれるはずだと
フランクは考えたんでしょうが
その考え方が根本的に間違ってると思うんだけど。

エリザベスが観に来た大会で
フランクは見事勝利するものの、
激しく殺し合う闘鶏と、鶏が死んでも大喜びのフランクをみて
エリザベスは愕然。そりゃそうだよね。
「鶏のほうがまだ感情があるわ」というエリザベスに
鶏の首を引きちぎって手渡すフランク!
ええっ! なぜ!?
ぎゃーっと叫んだエリザベスでしたが
鶏の首をハンカチに包んでバッグにしまうと
「ありがとう。これをみて自分の愚かさを戒めるわ。
 せいぜいメダルを抱いて眠るがいいわ」

と、捨て台詞を残して去っていくのです。

駆け寄ってきた相棒が「何の話だ?」と聞くと
チャンピオンになったフランクは喋らない封印を解き、
にんまりしながらひと言。
「愛の告白さ」

「愛の告白」???
エリザベスが鶏の首を持ち帰って
自分の愚かさを戒めると言ったのを
ふたりは一緒になれないけれど、あなたのことは忘れないわって
解釈したということか?
だとしたら、フランク……
超ポジティブ・シンキングーー!!

子供のようにひとつのことに夢中になって
それにすべてを賭ける男の魅力と哀しさ……
といったところでしょうか。
それで、周囲が悲しんだり迷惑がったり呆れたりしても
なにかを成し遂げられるならカッコいいけれど
……闘鶏じゃあねぇ。
金持ちにもなれそうがないし、
誰も喜びそうにはありませんな。





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