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アイム・ソー・エキサイテッド!

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(原題:Los amantes pasajeros 2013年/スペイン 90分)
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 製作/アグスティン・アルモドバル、エステル・ガルシア 撮影/ホセ・ルイス・アルカイネ 編集/ホセ・サルセド 音楽/アルベルト・イグレシアス
出演/アントニオ・デ・ラ・トーレ、ウーゴ・シルバ、ミゲル・アンヘル・シルベストル、ラヤ・マルティ、ハビエル・カマラ、カルロス・アレセス、ラウル・アレバロ、ホセ・マリア・ヤズピック、ギジェルモ・トレド、ホセ・ルイス・トリホ、ロラ・ドゥエニャス、セシリア・ロス、ブランカ・スアレス、アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス

概要とあらすじ
「トーク・トゥ・ハー」「ボルベール 帰郷」などでおなじみのスペインの名匠ペドロ・アルモドバルが、機体トラブルで空中旋回を続ける旅客機を舞台に、オネエキャラの3人の客室乗務員や、クセ者ぞろいの乗客たちが繰り広げる騒動を、ブラックな笑いも満載に描いたワンシチュエーションコメディ。スペインのマドリッドからメキシコ・シティへ向かう旅客機にトラブルが発生。緊迫する状況の中、3人のオネエの客室乗務員たちは、乗客を和ませようと歌って踊り、オリジナルカクテルを振る舞う。三角関係に悩む機長や、愛人と元カノが気になる元人気俳優、SMの女王に不祥事を働いた銀行頭取など、旅客機に乗り合わせた個性的な乗客たちの素性が次第に明らかになっていき……。アルモドバル作品常連の俳優が多数出演し、アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルスもカメオ出演。(映画.comより



オカマちゃんに学ぶ、全肯定の機嫌良さ

それにしても、
過激な題材のサスペンス『私が、生きる肌(2011)』の次が
ドタバタ・コメディの
『アイム・ソー・エキサイテッド!』という振り幅が凄いのです。
それでも、この2作に共通するのは
というか、アルモドバル作品のすべてに通底しているのは
性差の壁でしょう。
その壁が高々とそびえ立つ障害であることを強調したり、
そんなものは無意味だと軽々と超えてみせたり、
作品によってアプローチはさまざまですが
自身も同性愛者だと公言しているアルモドバル監督にとって
それは永遠に追い求めるテーマなのではないでしょうか。

あいかわらずのレトロでグラフィカルな
オープニング・タイトルで始まるこの作品は
機器の故障によって後戻りを余儀なくされた飛行機が
着陸する空港の滑走路を見つけるまでの
ワンシチュエーション
の物語です。
機内の密室劇に登場するのはくせ者ばかり。
とくにビジネスクラスの客室乗務員の男性3人が
3人ともオカマ
なのです。
いや、正確にいうと3人以外にも
機長がバイセクシャルで
副操縦士もノンケ気取りのオカマです。

オカマというのは不思議な存在で
よくよく考えると慇懃無礼だったりする言動も
オカマなら許せたりするものでしょう。
このオカマの客室乗務員3人も
どうしても憎めない愛らしさを湛えています。

そのおかげかどうか、
緊急事態にもかかわらず、乗務員は酒を飲むわ、
セックスのことばっかり考えてるわ、

デタラメなのですが
ギリギリのところで荒唐無稽な展開にはなりません。
(え? なってるって?)
ま、操縦席に乗客がずかずか入ってきたり、
エコノミーの乗客を薬で眠らせているなんていうのも
いくらなんでもあり得ないでしょうが
操縦席でのぐたぐたなやりとりを観ていると
『ダウンタウンのごっつええ感じ』の
「パイロット」のコント
を思い出さずにいられません。
おそらくはこのコントから派生した
日テレ・オンデマンドの「ザッサー」てのもありましたが
危機的状況の閉じられた空間での悪ふざけという点においては
当時の松本人志と同じ着眼点だと思います。
ま、映画製作におけるふたりの差は
比べるのがアルモドバルに失礼なほど開いているのですが……

とにかく、オカマちゃん特有の楽観的な態度
(将来を案じるより、今を楽しむべきとでもいうような
自己肯定的な振る舞い)によって
さまざまな事情を抱えた乗客たちも
自己肯定的になっていくのです。

オカマ搭乗員3人によるダンスシーン
乗客をリラックスさせるためといいながら
そのコンビネーションの仕上がり具合の高さや
ダンス終了後に拍手のひとつもないのが面白いし、
ひとりのオカマちゃんが口元につけて帰ってきたザーメンを
別のオカマちゃんがペロッとなめる
のも
(ごはんつぶじゃないんだから)
ゲスな笑いで最高でした。
つーか、結局みんなセックスし始めちゃうって
大らかすぎ!

冒頭で、アルモドバル作品常連の
アントニオ・バンデラスペネロペ・クルスが登場して
飛行機事故の原因を作りますが
この作品の華は、乗客のひとりの元愛人として登場する
ブランカ・スアレス
ゴージャスなカトパンみたいな顔立ちですが
「ペネロペ・クルスの再来」と言われているのも頷けるほどの
美しさでした。
(『私が、生きる肌』で、
 アントニオ・バンデラスの娘役で出演していたのですが
 これほどの輝きは感じなかったなぁ…)

ついに飛行機が空港に着陸するシーンでは
無人の空港を映し出す演出が独特でしたが
このコメディ映画を観終わって
なんだか清々しい気分になったのは
登場人物たちがみな上機嫌で終わったからです。
殺し屋や詐欺師など悪いことをしていたやつもいたけれど
誰一人として悪役や笑いものになったままの人間は存在せず、
それぞれの過ちや行き違いの
すべてを肯定して物語は終わるのです。
そこにアルモドバル監督の主張が
相まみえたような気がしました。

機嫌がいいってのは、周りも機嫌良くさせるものです。
見習わねばね。







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