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さよなら歌舞伎町

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(2014年/日本 135分)
監督/廣木隆一 脚本/荒井晴彦、中野太 製作/久保忠佳、藤岡修 撮影/鍋島淳裕 照明/豊見山明長 録音/西條博介 編集/菊池純一
出演/染谷将太、前田敦子、イ・ウヌ、ロイ、樋井明日香、我妻三輪子、忍成修吾、大森南朋、田口トモロヲ、村上淳、河井青葉、宮崎吐夢、松重豊池、南果歩

概要とあらすじ
話題作に引く手あまたの染谷将太と、「もらとりあむタマ子」が高い評価を受けた前田敦子が初共演したオリジナル作品。廣木隆一監督がメガホンをとり、脚本を廣木監督の「ヴァイブレータ」「やわらかい生活」も手がけたベテラン脚本家の荒井晴彦と、「戦争と一人の女」の中野太が担当。自らを一流ホテルマンだと偽る、しがないラブホテル店長の徹と、ミュージシャンを目指す沙耶のカップルを中心に、新宿歌舞伎町のラブホテルに集う5組の男女の人生が交錯する1日を描いた群像劇。イ・ウヌ、忍成修吾、大森南朋、田口トモロヲ、村上淳、松重豊、南果歩ら、いずれも実力派の俳優たちが共演している(映画.comより



エンドロールのあとで(やっと)感動!

歌舞伎町のラブホテルを舞台にした
いわゆるグランドホテル方式の
『さよなら歌舞伎町』
それにしても、メインビジュアルで革ジャンを着た前田敦子
まったく意志を持たない人形のような呆けた表情は
これでいいんだろうか……

グランドホテル方式とは、
その名の通り『グランド・ホテル(1932)』に端を発した
群像劇の形式で、身近なところでは
タランティーノなどによるオムニバス『フォー・ルームス(1995)』
三谷幸喜監督の『THE 有頂天ホテル(2006)』
典型的な例。
しかもラブホテルは、セックスを目的にしたホテルであり、
さらにはそこを訪れる客は
基本的に自宅ではセックスできない事情を抱えているわけで
まさに秘め事が行なわれるべくして行なわれる場所なのです。
廣木隆一監督はこの作品のタイトルを
『ラブホテル』にしたかったそうですが
相米慎二監督の作品(1985)に同名のものがあるため、
『さよなら歌舞伎町』としたのだとか。(映画秘宝2015年3月号)

舞台となる場所が場所だけに
すわ、前田敦子がついに脱ぐのか
一部のファンの間で期待(懸念?)されていたようですが
脱ぐどころかキスシーンもありません。
別に、なんでもおっぱいを出せばいいってもんじゃありませんが
ラブホテルの店長・徹(染谷将太)沙耶(前田敦子)
倦怠期を迎えるほど長く同棲生活を送っている恋人同士だし、
ミュージシャンとしてデビューしたい沙耶は
プロデューサー(大森南朋)と枕営業までするのですから
まったく裸を見せないのはいくらなんでも不自然です。
一部の報道によれば、事務所から露出NGがあったそうですが
せめて、冒頭のシーンで
下着姿の沙耶が歯を磨きながら部屋をぶらつくなりしてくれれば
長い同棲生活で弛緩した恋愛関係が描けたのではないでしょうか。
沙耶は下着姿どころか、いつでもおでかけできるような服装で
朝の9:00過ぎからベランダでギターをつま弾いている始末。
そんなバンドマンいるわけねーだろ!

かろうじて服を着たままの駅弁はみせたものの、
映画の世界観を特徴づけるはずの冒頭シーンにおいて
前田敦子の露出NGは大きな損傷だと思います。

お台場の一流ホテルに勤めているという徹が
大久保から新宿へ向けてチャリンコで出勤している時点で
嘘だと解りそうなもん
だろと思うし、
チャリンコの後ろに乗っていた沙耶が
携帯が鳴ってチャリンコを降りるといま来た方向へ逆戻りするのは
いったいお前らはどこへ向かってるんだと思いましたが
それはともかく、
徹が勤め先のラブホテルに到着してから
再びチャリンコに乗って外出するまでの長回し

映画的な楽しみに溢れています。

鎧を着た前田敦子を嘲うかのように
見事なぬぎっぷりと迫真の演技を見せてくれるのが
韓国人デリヘル嬢ヘナに扮するイ・ウヌ
フェラから素股までやってのけます。
イ・ウヌはキム・ギドク監督『メビウス』
強烈なキャラクターを一人二役でこなす姿が記憶に新しいので
また客のちんこを切っちゃうんじゃないか
ヒヤヒヤしました。
本作の中で、ヘナのエピソードに
もっとも長い時間を割いているのではないでしょうか。
湯船に浸かりながらの6分間の長回しも見どころか。
ヘナの源氏名は
店名の「ジューシー・フルーツ」にちなんでイリア
懐かし〜! と思う人は40オーバー間違いなし。

その後、徹の妹(樋井明日香)
AV嬢として撮影にやってきたり、
家出少女(我妻三輪子)
騙して風俗で働かせようとするチンピラ(忍成修吾)
登場します。
とくに、松重豊と南果歩の駆け落ち逃亡犯のコンビ
この二人だけの物語を観てみたいと思うほど
魅力的なキャラクターでした。
最後に登場する河井青葉と宮崎吐夢の
刑事同士の不倫カップル
もナイスでした。

ま、いろいろな事情を抱えたいろいろな人たちが
ラブホテルに集まってくるのですが
場の軸となるべき店長の徹までもが
いっしょになって思い悩み、右往左往する
ので
いまひとつ物語に求心力がありません。
また、画面に時刻が表示されるものの、
それぞれのエピソードはそれほど絡み合わないので
一日のうちに起こっている出来事だと思えません。

関係のない登場人物たちが
廊下やロビーでさりげなくすれ違ったりしても
よかったんじゃないでしょうか。
(スケジュール調整とかが難しいのかもしれないけれど)

店長の徹が「おれは本当はこんなところにいる人間じゃない」
鬱屈に火をつけるスイッチもよくわかりませんでしたが
登場人物たちが聞かれもしない自分の生い立ちを
とうとうと語り始める
のもいただけません。
やたらと「ありがとう」「よかったね」と
気持ちを口にするのにいらだちましたが、
刑事同士の不倫カップルがSMプレイで使った
紫のふさふさが付いた手錠で南果歩を捕まえようとするシーンでも
「それ、おもちゃの手錠だよ」と
見ればわかることを(しかも笑いどころを)
わざわざ説明してしまう
のは
興醒めでしかありません。

また、大久保のヘイトスピーチが登場するのはいいとしても
塩竈市出身の徹の妹が東日本大震災をこれまた長々と語り、
前田敦子が枕営業をしている部屋を「311」号室
とするのは、
説教臭いのか、ふざけているのか、
どちらにせよあまり気持ちのいいものではありません。
東日本大震災をエピソードとして盛り込むなら
徹に「初体験はAVか?」と聞かれた妹が
「地元の彼氏だよ。津波で流されちゃったけどね」という
終盤のセリフのみに留めておくほうが
グッとくるんじゃないでしょうか。

全体的にどうしようもなくつまらないわけではありませんが
細かいところが気になって、つまづいてしまいました。
よくよく考えると、
じつは彼女がデリヘル嬢、じつは彼女が枕営業、
じつは妹がAV女優……という3つのエピソードは
発想として全部同じじゃん
とも思ったりして、
いまひとつ話運びがスムーズに感じられず、
もうちょっと面白くできたんじゃないの?
てなところで。

あ、エンドロールのあとに
この作品で唯一感動するシーンが。






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