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ぼくの伯父さん

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(原題:MON ONCLE 1958年/フランス・イタリア 120分)
監督/ジャック・タチ 脚本/ジャック・タチ、ジャック・ラグランジュ 撮影/ジャン・ブールゴワン 音楽/アラン・ロマン、フランク・バルチェッリーニ
出演/ジャック・タチ、アラン・ベクール、ジャン=ピエール・ゾラ、ドミニク・マリ、アドリアンヌ・セルヴァンティ

概要とあらすじ
フランスの喜劇作家ジャック・タチの長編第3作にして彼の代表作となった傑作コメディ。プラスチック工場を経営するアルペル氏を父に持つ少年ジェラールは、あらゆるところが自動化された超近代的な家で暮らしている。しかしジェラールは堅苦しい自宅で過ごすより、母の弟であるユロ伯父さんと遊ぶのが大好きだった。一方、ジェラールの両親は気ままに生きるユロ氏の行く末を心配し、就職やお見合いをさせようとするのだが……。行く先々で騒動ばかり巻き起こすユロ伯父さんの日常を、近代化・効率化への風刺を交えながらユーモラスに描き、カンヌ国際映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞を受賞するなど国際的に高く評価された。14年、タチの監督作をデジタル復元版で上映する「ジャック・タチ映画祭」でリバイバル。(映画.comより



ユロだよ! バカヤロウ!

誰もが知っている名作といわれればいわれるほど
なかなか食指が伸びない僕ですが
そんなことではイカン! と重い腰を上げて観たのは
『ぼくの伯父さん』
その動機となったのは、僕の大好きな北野武作品、
とくに『菊次郎の夏』に強い影響を与えているという
町山智浩氏の解説を耳にしたからでした。
おれの薄っぺらさは、そうそう簡単には直らないのだよ。

『ぼくの伯父さん』は、ジャック・タチの長編第3作。
『ぼくの伯父さんの休暇』という続編のような作品もありますが、
これは日本で公開された順番によるもので
『ぼくの伯父さんの休暇』のほうが第2作にあたるようです。
ジャック・タチの一連の作品は
チャップリンとの比較も取り沙汰されたりしていますが
僕にはそんな立派な考察は到底不可能なので
いつものように観たまんまの感想を
つらつらと書き連ねる次第です。

オープニング・クレジットで、スタッフの名前が
工事現場の標識になっている
のからして、あらオシャレ。
60年前の映画とは思えません。
その後、石畳の道路のうえで
5匹の子犬が戯れたりションベンしたりしていると、
そのうち、一匹だけ赤いチェックの服(?)を着ている犬が
一件のモダンな屋敷に入っていきます。
それを門の外からのぞき見る残りの4匹の子犬。 
ま、なんともかわいらしいのですが
この作品では終始、犬の演技(?)が素晴らしいのです。

赤いチェックの子犬が入っていった屋敷は
機能的でモダン=殺風景な建築様式
どうやら完成したばかり。
この屋敷に住んでいる妻の兄が
ジャック・タチ扮するユロ伯父さんで
近所の人たちには愛されているけれど
ドジばかりで無職、呑気にフラフラしています。

ユロ伯父さんが住んでいるアパートの構造自体がへんてこ
あきらかに機能的ではないのですが
いわずもがな、それが妹夫婦が住むモダンな屋敷との
対比を表しています。
妹夫婦の屋敷は、とにかく自動化が行き渡っていますが
だからこその不自由さが際だち、
自動化および効率化=便利という安易な発想に傾倒する
現代文明への批判も窺えます。

クローズアップすることはほとんどなく、
少し引いてフィックスされたカメラワークは
客観的であるとともに冷ややかさも感じますが
完璧なまでに統制された構図が非常にスタイリッシュです。
とくに妹夫婦の屋敷を映し出すショットでは
画面を縦横に走る線が
美しいコンポジションを織りなしていると思います。
建物にふたつある丸窓が、いかにも目を連想させましたが
後半で、シルエットを使った遊びがみられます。

小ネタギャグを連発するような物語に
その都度ことごとく爆笑…するわけではありませんが
くだらなさとしつこさに感心します。
長々としたパーティーのシーンで
隣に住む独身女性がたばこの煙を大量に吐くギミックが
突然のシュールさでしたが
僕のお気に入りは、
プラスティック工場に務めるハイヒールを履いた女性が
いつも小走りで移動する姿
が、意味不明ながら
かわいくも可笑しい演出でした。

姉の夫の口利きで工場で働くことになったユロ伯父さんでしたが
ドジばっかりでついに左遷されることに。
それでもまったく反論するようすを見せないユロ伯父さんは
いわれるがままに土地を離れるのですが
いつもユロ伯父さんにしかなついていなかった息子のジェラールが
ラストで父親の手を初めて握る
のをみて
ほっこりしつつも、ユロ伯父さんのことを思うと
ちょっぴり悲しい。

ほとんどセリフをしゃべらないユロ伯父さんは
いたずら(ドジ)を繰り返す黒子のような存在
会話劇ではないところが
世界中に面白さが伝わる一因のように感じます。
ほっこりコメディには違いないけれど
映像的な面白さも満載で
名作と呼ばれるにふさわしい作品です。





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コメント

大変興味深く文章を見させていただきました。門の開閉と噴水はスイッチを間違えているのではなく、誰か来るときだけ噴水をつけて見栄を張っているのだと思いますよ。しかし、その後のパーティで露呈するように噴水が出ているかどうかなんて壊れて自分が水浸しになるまで誰も気にしていないのです。

2015/06/22 (月) 01:11:02 | URL | #- [ 編集 ]

Re: タイトルなし

とりあえず削除しました。

2015/06/26 (金) 16:53:17 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

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