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ブルージャスミン

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(原題:Blue Jasmine 2013年/アメリカ 98分)
監督・脚本/ウッディ・アレン 製作/レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム、エドワード・ワルソン 撮影/ハビエル・アギーレサロベ 美術/サント・ロカスト 衣装/スージー・ベインジガー 編集/アリサ・レプセルター
出演/ケイト・ブランシェット、サリー・ホーキンス、アレック・ボールドウィン、ピーター・サースガード、ルイス・C・K、ボビー・カナベイル、アンドリュー・ダイス・クレイ、マイケル・スタールバーグ

概要とあらすじ
ウッディ・アレン監督が初タッグとなるケイト・ブランシェットを主演に、上流階級から転落したヒロインが再起をかけて奮闘し、苦悩する姿を描いたドラマ。ニューヨークの資産家ハルと結婚し、セレブリティとして裕福な生活を送っていたジャスミンは、ハルとの結婚生活が破綻したことで地位も資産も全て失ってしまう。サンフランシスコで庶民的な生活を送る妹ジンジャーのもとに身を寄せたものの、不慣れな仕事や生活に神経を擦り減らせ、次第に精神が不安定になっていく。それでも再び華やかな世界へと返り咲こうと躍起になるジャスミンだったが……。第86回アカデミー賞でブランシェットが主演女優賞を受賞。共演にアレック・ボールドウィン、サリー・ホーキンス、ピーター・サースガードら。(映画.comより



ケイト・ブランシェット祭!

このところ、ヨーロッパを転々としながら
映画作りを続けているウッディ・アレン監督の作品は
ウェルメイドな映画をさらっと撮っちゃってる感じがして
観る前から観たような気になるもんだから観ていないのですが、
どうやら、この『ブルージャスミン』
最近のウッディ・アレン作品とひと味違うと評判なので
観てみることにしたのです。
ウッディ・アレン作品では、『スリーパー(1973)』あたりの
初期のコメディが大好きなのですが
なにやら「ウッディ・アレンの初期の作品が好き」というと
映画通ぶってる
っていわれるそうですな。
だからといって「『ローマでアモーレ』が大好きっ」なんていうと
今度は「にわか」だと馬鹿にされたりする
んでしょうから
面倒くさいことこの上ないのです。
僕は、この手の卑屈な同族意識と排他主義には
まーったく興味がございませーんので、あしからず。

それにしても、各賞を総ナメにした
ジャスミンを演じるケイト・ブランシェットの演技が凄い。
投資家ハル(アレック・ボールドウィン)の妻として
裕福なセレブ生活を満喫していたジャスミンが
詐欺が発覚したハルが逮捕されたうえに獄中で自殺し、
自身も大量の負債を抱えた挙げ句に一文無しになって、
妹のジンジャー(サリー・ホーキンス)を頼るものの、
セレブ暮らしが抜けきらず……という
ジャスミンの転落人生を描いているのですが
ケイト・ブランシェットが本当にいけ好かない馬鹿女を
役が乗り移ったかのように演じています。
薄っぺらい愛想笑いや
追い詰められながらまだ見栄を張ろうとするときの揺れる表情、
最後には脂汗で顔をギラつかせ、脇汗までかいてみせます。
ほぼ出ずっぱりでこんな演技をみせるケイト・ブランシェットが
評価されるのは当然のことでしょう。

自分の名前まで偽って生活するジャスミンには
確固たる自分の考えのようなものはなく、
常に人からどう見られるか、どう羨まれるかを判断基準とした
浅ましい自尊心によって成り立っています。
ファッションブランドのイメージに翻弄されるすべての女性たちも
クレジットカードの色に誇りを持つすべての男性たちも
ジャスミンの廉価版です。
ジャスミンは、妹たちに対して
あたりまえのように自分の価値観を強要しますが
恐ろしいほど無教養で何も出来ない彼女が主張する価値観も
彼女のものですらありません。

終盤、ジャスミンが子守を任された妹の二人の息子に向かって
あいかわらず自分の話を延々と喋り続けるシーンで
じつは自分でも仕事を持ちたかったことを打ち明けますが
努力し、実績や経験を積むより先に
成果だけを欲しがる人間性だったことは否めません。

それでも、投資家の妻となって裕福な生活を謳歌していたように、
そのような薄っぺらい生き方が
それなりの成果を生んでいたことが
余計に彼女の生き方をねじ曲げています。
ま、投資家のハルにしても、
政治家志望のドワイト(ピーター・サースガード)にしても
女性を自分の宝飾品としか考えていないきらいはあるので
「そういう女」には、ちゃんと「そういう男」が
寄ってくるものです。


とはいえ、ジャスミンの妹・ジンジャーに代表される
非セレブな面々が
慎ましくも清らかな生活を営んでいるかというとそうでもなく、
こちらはこちらで下品極まりないのです。
宝くじで当たった大金をハルに預けて失敗し、
怨みを引きずっているジンジャーの元夫でさえ、
自分の会社を起業するという望みを捨て、
もっと資金を増やせるほうへと目がくらんだ結果、
破産してしまったのはやっぱり自業自得。
詐欺事件あるあるです。

精神的に崩壊しているジャスミンが独り言を言うたびに
ハルとの裕福な暮らしがフラッシュバックされながら
物語が進んでいった最後に、
ハルが逮捕され、ジャスミンの転落人生が始まった真相
明らかにされます。
その真相に驚くというよりは、
それでもなお過去の華やかな生活に固執しているジャスミンが
哀れにみえてきます。
そして、ジャスミンは
最後の最後まで一切改心することはなく、
嘘によって形作られた彼女の人生は
その嘘によって崩壊し、
まったく救いようのないかたちで終わるのです。

余談ですが、ハルの浮気相手の女性が
19歳の留学生だったりするのを思うと
どうしてもウッディ・アレンのプライベートとの関連を
邪推してしまいます。
有名な話なのでことさらここには書きませんが
現在、ウッディ・アレンがその問題の女性との間に
二人の養女がいるということは
ジャスミンとジンジャーの設定と重なります。

主人公を陥れるだけ陥れておいて
一切フォローせずに終わらせてしまう演出は
痛快かつ辛辣でした。






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