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コールド・フィーバー

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(原題:Cold Fever 1995年/アイスランド・アメリカ合作 85分)
監督/フリドリック・トール・フリドリクソン 脚本/ジム・スターク、フリドリック・トール・フリドリクソン 製作/ジム・スターク 撮影/アリ・クリスティンソン 美術/アオルニ・パオッル・ヨハンソン 音楽/ヒルマル・オルン・ヒルマルソン 録音/Kjartan Kjartansson 編集/Steingrimur Karlsson
出演/永瀬正敏、リリ・テイラー、ギスリ・ハルドルソン、Laula Hughes、鈴木清順、ルーリク・ハラルドソン

概要とあらすじ
東京で平凡に暮らす若いサラリーマンが、客死した両親の供養のために訪れたアイスランドを旅するうちに、次第に変化していくさまをつづったロードムービー。監督はアイスランド映画界のリーダー的存在のフレドリック・トール・フリドリクソンで、「春にして君を想う」(91)「Movie Days」(94)と共に三部作を成す。製作はジム・ジャームッシュ監督の「ダウン・バイ・ロー」「ナイト・オン・ザ・プラネット」、アレクサンダー・ロックウェル監督の「イン・ザ・スープ」など、N.Y.インディーズ・シーンのプロデューサーとして活躍するジム・スターク。脚本は実話を基に、フリドリクソンとスタークが共同執筆。雄大で幻想的なアイスランドの大自然をとらえた撮影は「春にして君を想う」のアリ・クリスティンソン、音楽も同作のヒルマル・オルン・ヒルマルソン、美術はアオルニ・パオッル・ヨハンソンが担当。主演は「ミステリー・トレイン」に続いてスターク作品に出演となる永瀬正敏。共演は「ショート・カッツ」「プレタポルテ」のリリ・テイラー、「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」のフィッシャー・スティーヴンス、「春にして君を想う」のギスリ・ハルドルソン。また、主人公の祖父役に映画監督の鈴木清順がふんしている(当初、笠智衆の名が挙がっていた)。(映画.comより



地獄? 天国? アイスランド!

『馬々と人間たち』が圧倒的に面白かったので
同作でプロデューサーを務めた
フリドリック・トール・フリドリクソンがメガホンをとり、
しかも主演が永瀬正敏という、
『コールド・フィーバー』を観てみることにしたのです。
いやはや、知らない映画はいっぱいありますな。
そしてこれが、大当たり!
誰かに勧めたくなる逸品でした。

東京で働くサラリーマンの平田(永瀬正敏)
仕事の成績がよく、上司の評価も上々。
秋葉原での慰労会でいやいやカラオケ(サザン!)を歌わせられたり、
同僚と早朝の築地に行ったり、
一体どんな仕事をしているのかわからないけれど、
とにかく、寒いのが苦手な平田
休暇をとって常夏のハワイに行き、
ゴルフ三昧の日々を送る計画を立てて楽しみにしています。
ところが、鈴木清順扮する祖父から
7年前にアイスランドで客死した両親を弔いに行けと言われます。
当然、渋る平田。
自宅でパットの練習をしていると、
逸れたボールがリモコンのスイッチを押し、
生前の両親がアイスランドから送ってきたビデオレターが再生される

という演出には、おっとっとと思ったものの、
ま、とにかく平田はハワイ旅行をキャンセルして
アイスランド行きを決意するのです。

映画の中では、
平田の両親の死因は「不慮の事故」としか表現されませんが
なにやら1984年にアイスランドで地質調査を行なっていた
東京大学の調査隊3名が自動車事故で亡くなった事件

モチーフにしているそうです。

平田がアイスランドに到着すると
それまでスタンダードサイズだった画面が
シネマスコープへ
と広がります。
なんだか、日本は狭くて窮屈だと言われているようで
ちょっと癪に障るけれど、その通りなのでなにも言い返せません。
もちろんこの狭さは
平田の世界観の狭小さをも表現するためのもので、
効果は抜群です。

平田は、アイスランドに着いた途端に
観光ツアーのメンバーと間違われて、露天風呂に連れて行かれます。
平田の珍道中のはじまり、はじまり。
観光ツアーから抜け出してタクシーに乗り込んだら
運転手が立ち寄った家で謎のミサみたいなことを始めるわ、
荷台に大勢の男たちが乗った謎のトラックに拾われるわ、
「PIZZA」というプリントのシャツを着た謎の女が登場して、
凍り付いた車を売りつけるわ、
次から次へとおかしなことが起こりますが、
どれもこれも、なにやら霊的な示唆に満ちています。
平田はなにかに試練を与えられ、導かれているようです。
謎の女から車を買い取った平田をみて
ほかに方法がないのかなーなんてぼんやり考えていたのですが、
なんと、アイスランドには鉄道がないのであった!

「葬式コレクター」を自称する女性も不思議な存在でしたが
雪と氷に覆われたなにもない場所で車が故障し、
立ち往生してふて寝した平田が車中で目を覚ますと
突然「叫ぶ少女」が現れ、叫び声によって車を復活させるのです。
平田が精霊によって見守られていることは明らかです。

オフビートな災難に遭いながら旅を続ける平田の車に乗り込んできた、
パペットで会話するアメリカ人夫婦
立ち寄った食料品店の可愛い売り子を射殺して強盗を働き
まったくこの地に似つかわしくない暴力によって
突然、それまで観ていた世界が破壊されます。
このアメリカ人夫婦は、明らかに邪悪で悪魔的な存在です。

アメリカ人夫婦に脅されて車を奪われた平田でしたが
なぜかカウボーイ好きなホテルで知り合った老人の助けを借りて
両親が死んだ場所にやっとたどり着くことができるのです。
そこが河であることが重要な意味を持つのは
言うまでもありません。

死者を弔うというのは不思議なものです。
さまざまな宗教上の理由はともかくとして
それは死者のためというよりも、
生きている人間のために行なわれるのではないでしょうか。

苦難に満ちた旅を乗り越えた平田は
「自分探し」などという表現では軽すぎる、
なにかを手に入れたような気がします。

舞台がアイスランドとくれば、
もうひとりの主役となるのは大自然です。
冬のアイスランドで撮影されたのはこの作品が初めてだとか。
真っ白で壮大な景観は天国のようでもあるし、
気まぐれに間欠泉が吹き上がるさまは地獄のようでもあります。

どこかの名画座で上映されることがあったら
ぜひ駆けつけたい作品です。





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