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LIFE!

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(原題:The Secret Life of Walter Mitty 2013年/アメリカ 114分)
監督/ベン・スティラー 製作/サミュエル・ゴールドウィン・Jr.、ジョン・ゴールドウィン、スチュアート・コーンフェルド、ベン・スティラー 製作総指揮/ゴア・バービンスキー、メイヤー・ゴットリーブ、G・マック・ブラウン 原作/ジェームズ・サーバー 原案/スティーブ・コンラッド 脚本/スティーブ・コンラッド 撮影/スチュアート・ドライバーグ 美術/ジェフ・マン 衣装/サラ・エドワーズ 編集/グレッグ・ヘイデン 音楽/セオドア・シャピロ
出演/ベン・スティラー、ショーン・ペン、クリステン・ウィグ、シャーリー・マクレーン、アダム・スコット、パットン・オズワルト、キャスリン・ハーン

概要とあらすじ
ジェームズ・サーバーの短編小説をノーマン・Z・マクロード監督、ダニー・ケイ主演で映画化した「虹を掴む男」(1947)を、ベン・スティラーの監督・主演で新たに映画化。1936年の創刊から2007年に休刊されるまで、世界で幅広く読まれたアメリカのグラフ誌「LIFE」の写真管理部で働く臆病で不器用な男が、人生変える波乱万丈の旅に出る姿を描く。LIFE誌の写真管理者として毎日地下鉄に乗って通勤し、変化のない日々を過ごすウォルター・ミティ。彼の唯一の楽しみは、むなしい現実から逃避する刺激に満ちた空想をすることだった。そんなある日、LIFE誌の最終号の表紙を飾る大切な写真がないことに気付いたウォルターは、カメラマンを探すため一大決心をして一歩を踏み出す。(映画.comより



素直じゃなくてゴメンね

それなりに話題になった(であろう)
『虹を掴む男(1947)』のリメイク、『LIFE!』です。
あらかじめ『虹を掴む男』を見返していたのですが
(誰かオレを褒めてくれ)
出版社に勤める主人公のウォルター・ミティという男には
妄想癖があり、ミステリーに翻弄されるうちに
妄想と現実の境界が危うくなって……という
設定の骨子の部分しか受け継がれていません。
リメイクというよりはインスパイヤされましたという程度です。

もちろん、舞台が現代に置き換えられているので
さまざまなブラッシュアップが施されているのは当然ですが
根本的に違うと感じたのは
『虹を掴む男』のウォルターに妄想癖があるのは
鬱屈した現実からの逃避だったものが
『LIFE!』では、鬱屈した自己を解放するため妄想しているという点です。
どちらも逃避行動には違いないし、
『LIFE!』のウォルターも世知辛い現実に辟易しているのですが
『虹を掴む男』のウォルターが
本来は天真爛漫な性格を周囲に疎外されているのと比べて
『LIFE!』のウォルターは自ら殻に閉じこもって
鬱屈した現実を否応なく引き受けているように思えます。
それこそが、現代人(=『LIFE!』のウォルター)を
象徴しているとも言えるのですが。

家計簿にメモをとり、
その直後に出会い系サイトをチェックする冒頭のシーンは
出勤前に朝飯喰いながらそんなことするか?
と思わないではありませんが
ウォルター(ベン・スティラー)
金銭的なやりくりに苦慮しているうえにマメな性格で
さらには恋愛に飢えていることを
非常にコンパクトに説明してくれます。

ウォルターが出会い系サイトで「ウインク」を送ろうとする相手が
同僚のシェリル(クリステン・ウィグ)だというのは
なんともキモイのですが
「LIFE」が休刊となり、ネットメディア化されるように
インターネットを介した
バーチャルな(=妄想上の)コミュニケーションと
現実のコミュニケーションとの対比
が多く見られるなか、
ウォルターが欠けたネガフィルムを追い求めるように
ノスタルジックな一面も多くあるものの、
ヘリを使って海上の船に無線機を届けようとしたかと思えば
ヒマラヤの山の上で携帯で会話したり、
デジタル技術に対する安易な批判に陥っているわけではないのは
好感が持てました。

「世界を見よう、危険でも立ち向かおう。それが人生の目的だから」
というLIFE誌のスローガンに従うように物語は展開し、
グリーンランドを経てアイスランド〜アフガニスタンへと至る旅は
それはそれは爽快なのですが
ラストで、ウォルターがLIFE誌の最終号の表紙を飾るのをみて
微妙に違和感を感じました。

ウォルターが自己を解放していく姿は、単純に痛快だったものの、
この物語の発端には、裏方の献身的かつ職人的な技量が
世界を支えている
というテーマもあったはずで、
ウォルターがLIFE誌の表紙を飾ることが
彼ら裏方の仕事ぶりに対する評価だとするなら
結果的には、華々しい名声を得ることこそが
自己実現の到達点のようにみえて
巡り巡って、名前を知られることはないが
確実に必要とされる人々の価値を否定することになりはしないか、

と感じてしまいました。

そもそも、シェリルが
出会い系サイトのプロフィールに書き込んでいたように
冒険心溢れる男性像はマチズモにほかなりません。
それを体現するかのようなカメラマンのショーン(ショーン・ペン)
自由気ままで結構なことですが
周囲に迷惑をかけているのも明白で
ヒロイックな願望というのは、基本的に身勝手なものです。

業にまみれた僕がいうのもなんですが
現代人が抱える不満や鬱屈に共通するものがあるのは認めるけれど
自己実現や、ましてや幸せなんてものは人それぞれで
冒険したり、雑誌の表紙になったりすることが名誉だと
勝手に決めつけられたくないなー。
ていう、作品でした。
いや、評価はされたいんです。誰しも。うれしいし。
でも、その評価の結果が表紙かー、という、ね。

Blu-rayに収録されたメイキングを観れば
この作品が大変な苦労を伴って作られていることがわかるし、
僕のように、細かいことに引っかからない人は
壮大なロケーションで
ほぼほぼ実際にアクションを行なっているこの作品を
もっと素直を楽しめるでしょう。





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