" />

ルビー・スパークス

ill371.jpg



(原題: Ruby Sparks 2012年/アメリカ 104分)
監督/ジョナサン・デイトン、バレリー・ファリス 脚本/ゾーイ・カザン 撮影/マシュー・リバティーク 美術/ジュディ・ベッカー 衣装/ナンシー・スタイナー 編集/パメラ・マーティン 音楽/ニック・ウラタ
出演/ポール・ダノ、ゾーイ・カザン、アントニオ・バンデラス、アネット・ベニング、スティーブ・クーガン、エリオット・グールド、クリス・メッシーナ、アリア・ショウカット、アーシフ・マンドビ、トニ・トラックス、デボラ・アン・ウォール

概要とあらすじ
「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン&バレリー・ファリスが同作以来6年ぶりに手がけた監督作。スランプ中の若手作家と現実世界に出現した小説のヒロインが繰り広げる恋を描いたラブストーリー。脚本を執筆し、タイトルロールを演じたのは、映画監督エリア・カザンの孫娘ゾーイ・カザン。19歳で天才作家として華々しくデビューしたものの、その後10年間にわたりスランプに陥っているカルヴィンは、夢で見た理想の女の子ルビー・スパークスを主人公に小説を書き始める。するとある日、目の前にルビーが現れ、カルヴィンと一緒に生活を始める。しかし、ルビーが自分の想像の産物であることを隠そうと、カルヴィンは周囲と距離を置き、そのことに寂しさを覚えたルビーは、新しい仲間たちと交流を広げていく。そうして次第に関係がぎこちなっていく2人だったが……。(映画.comより



いちゃつく監督と俳優によるイラつくラブコメ

今日、知り合いから試供品の缶入りドリンクを2本もらいました。
まだ飲んでいないので味はわかりませんが
驚くことに、ラベルには
「恋のエナジー・ドリンク」というコピーが。
「恋のエナジー・ドリンク」……
おまえは恋のエナジーを注入せよということか。
たしかに、今の僕は深刻な恋愛不足に陥っているけれど
恋のエナジーを胃に流し込めばステキな相手と出会えるなら
誰も苦労はしないはず。
本当にこれを飲めば、たちどころに恋のエナジーが増すのだろうか。
「ラブ式会社 僕」のラブ価は右肩上がりになるのだろうか。
そもそも、恋のエナジーってなんだよ……

というわけで、『ルビー・スパークス』です。
コンビで監督を務める
ジョナサン・デイトンとバレリー・ファリスは夫婦であり、
主演のポール・ダノと、
主人公の恋人役であり脚本も務めるゾーイ・カザン
実生活でも恋人同士という、
どいつもこいつも公私混同でいちゃついている
非常にいけ好かない作品です。


冒頭からしばらくはかなり急ぎ足で、
状況説明に逐われているようにせっついた展開です。
あまりにも性急なので、
この作品の構造を示唆するセラピーのシーンが
ぼんやりしてしまっているのは残念なところ。
もちろん、ぼんやりしているからこそ、
それ以降の本編をその気になって楽しめるとも言えるのですが。

十代で書いた小説がベストセラーになった
作家のカルヴィン(ポール・ダノ)
第2作目の筆がなかなか進まず、羨望と嘲笑を同時に受けながら
恋愛トラウマを抱えてセラピーを受けるうちに
自分とだらしない飼い犬のことを好きになってくれる相手を
想像してレポートを書けとセラピストからいわれます。
そのレポートの内容がこの作品の本編で、
夢の中で出会った女性を思い描いてレポートを書き始めると
ノリノリで筆が進み、
ついにはその女性が実体化しちゃったというお話。

これはまあ、
突然知らない女の子と一つ屋根の下で暮らすことになったとか、
好きな女の子と義理の兄妹になっちゃったとか、
登場人物が接近せざるを得ない状況に置く
ありがちなラブコメ漫画
のようです。
しかも相手は自分が思い描く理想的な女性で
実体化=自我化と捉えれば
対象が人形なら『ラースと、その彼女』『空気人形』だし
パソコンのOSなら『her 世界でひとつの彼女』といったところか。

ルビー(ゾーイ・カザン)が登場してからの中盤は、
うれしはずかしラブコメ漫画的な展開が続き、
だんだんイライラしてきます
パーティーで別の男とプールに入る一件から緊張感が漂い始め、
ふたりの密月に陰りが見え始めます。
カルヴィンが書いた原稿のとおりに変化するルビーを
意のままに操るためにカルヴィンが文章を書き加えると
ルビーは悲痛な叫びをあげながら
フランス語を喋ったり、指を鳴らしたりさせられるのですが
このシーンで、カルヴィンが操作できているのは知識や動作だけで
ルビーが操られていることを自覚しているのは
それまでの設定から逸脱しているといわざるをえません。
ま、自我が芽生えた人工知能が反乱を起こしているようなものと思えば
わからなくもないけれど、
都合良く破綻した設定にしらけてしまったのは事実です。

恋愛対象に自分の理想を求め、
自分の意に沿わないと勝手に失望する
のは現実の恋愛でも同じこと。
そんな恋愛の身勝手さをデフォルメしたのが
本作というわけでしょう。
また逆に、
父親の死後、モート(アントニオ・バンデラス)と暮らし始めた母親が
モートの趣味に合わせて服装から生き方まで変えてしまったように
相手の望みに沿うように自分を変えてしまうのも
さもありなん。
カルヴィンがタイプライターを使って原稿を書いていたのをみて
なんでいまどき?と思っていましたが
ルビーを「解放」したカルヴィンが
タイプライターからラップトップに変えた
のを見ると
過去に対する固執(=デビュー作の評価に対する重圧)との訣別
表しているのでしょう。

恋愛シミュレーションゲームの果てに
第2作を書き上げたカルヴィンは
ラストシーンで今度こそ現実の女性と出会いますが
その女性がやっぱりゾーイ・カザンなのは、
いかがなものか。
ここはまるっきり別人でないとだめでしょう。
なんだか最後までいちゃついているところを
見せられたような気分でした。

さてと。
「恋のエナジー・ドリンク」でも飲むとするか……





にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ 
↑お気に召したらクリックしていただけますと、もんどりうって喜びます。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

分かりやすい

おはようございます。

これは、あるあると頷きながらの鑑賞でした。
こういったことは、日頃の生活でも気をつけないと、と思った作品です。
私的にはホラーでした。

2014/12/18 (木) 06:00:56 | URL | ぷっちん #Drcz0VvE [ 編集 ]

Re: 分かりやすい

> ぷっちんさん
あるあるですか!w 実在しないものに翻弄されるんですから、たしかにホラーですねえ。
恋はサイコ・ホラー!

2014/12/18 (木) 07:58:25 | URL | のほうず #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | ホーム |  »

プロフィール

のほうず

のほうず
映画が好きで観るのはいいが、
かたっぱしから忘れていくので
オツムのリハビリ的ブログ。
******************
当ブログの文章・画像およびイラストの無断転載を禁じます。引用される場合は、出典の表記と当ブログへのリンクを設定してください。

FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

お気に召したら
クリックお願いします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

スポンサードリンク

↓過去の記事はこちらから!↓

検索フォーム

QRコード

QR

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カウンタ