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ザ・レイド GOKUDO

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(原題:The Raid 2: Berandal 2013年/インドネシア 146分)
監督・脚本・編集/ギャレス・エバンス 撮影/マット・フラネリー 音楽/ジョセフ・トラパニーズ
出演/イコ・ウワイス、アリフィン・プトラ、オカ・アンタラ、ティオ・パクサデウォ、アレックス・アッバド、ジュリー・エステル、松田龍平、遠藤憲一、北村一輝、ヤヤン・ルヒアン

概要とあらすじ
インドネシア発のバイオレンスアクションとして話題となった「ザ・レイド」の続編で、今作では、警察と政界支配を目論むアジアンマフィア、そして勢力拡大を狙う日本のヤクザの三つ巴の戦いを描く。上層部の命令を受け、潜入捜査官として生きることになった新人警官のラマは、名前を偽り、マフィアのボスの息子ウチョの信頼を得て組織の一員になる。しかし、父親に反発するウチョが組織内で成り上ろうと企てた陰謀により、ラマは対立する日本人ヤクザとの抗争や果てしない戦いに巻き込まれていく。監督は前作に引き続き、イギリス出身でアジアを拠点とするギャレス・エバンス。松田龍平、遠藤憲一、北村一輝らが日本人ヤクザとして出演。(映画.comより



あれこれ盛り込みすぎ!

待ちに待った『ザ・レイド』の続編、
『ザ・レイド GOKUDO』
じつは『ザ・レイド』よりも先に企画されていたものの
予算がかかりすぎるということで断念。
低予算企画の『ザ・レイド』の成功を受けて
念願叶っての一作なのです。
前作よりパワーアップしているのは間違いなし、
日本人キャストも登場するとあって
随分前に予告編を観たときから
すっと期待に胸膨らませておりました。
正直なところ、期待を裏切らない大傑作!……とは言いがたいのですが
とりあえず、いいところを褒めていこう!

この作品は、前作のラストシーン直後から始まる
真っ当な続編
です。
前作を観ていないと、導入部分の
SWAT隊員ラマ(イコ・ウワイス)と刑事たちのやり取りは
なんのことやらさっぱりかもしれませんが
それ以降の理解に支障を来すことはないでしょう。
前作を観ている人なら
ラマの頰にある傷のワケはわかるはず。
(あれは、いいシーンだった〜)

ついさっき(前作)、大量の悪党たちを退治したばっかりなのに
大物汚職警官レザの尻尾を掴むために
犯罪者になりすまして刑務所に潜入し、
服役中の地元マフィアの大物バングン(ティオ・パクサデウォ)の息子、
ウチョ(アリフィン・プトラ)と仲よくなって
マフィア内部に入り込めという指令。
一度は固辞したラマも、家族は絶対守るし数か月の辛抱だといわれ、
しぶしぶ任務を引き受けることにしたのです。
結局、ラマが出所したのは2年後……。

あいさつ代わりの最初のアクションは
刑務所のトイレに座っていたラマを
大量のいじめっ子たちが襲撃するシーン。

トイレを出たり入ったりしながらシラットを炸裂させ、
いじめっ子たちを全滅させるラマ。
こういう狭い場所での格闘はラマの得意とするところ。
その大立ち回りを知り、まんまと近寄ってきたのが番長ウチョ。
まるで、不良ばっかりの中学校みたいです。

続いてのアクションは、泥まみれになりながらの
100人の囚人 vs 50人の看守による大乱闘!
激しく動き回るカメラによる映像は迫力満点です。
そして前作同様、
足首や膝の裏などの腱を攻撃して相手の動きを封じ、
金的やのど仏といった急所を狙う
シラットの実践的な特徴がわかりやすく、そして痛い!
この大げんかの末に、「お前なかなかやるじゃねえか…」と
ウチョはラマの実力を認め、ふたりは友達になるのです。
いやほんとに、不良ばっかりの中学校みたいです。

出所したラマ(ユダと名乗っている)は
刑務所でウチョを守ったことが評価され、父親バングンに認められると
バングン組織の構成員として働くことになるのです。
やっとバングンまでたどり着いた! ここまで2年!

マフィアの一員になったラマの最初の仕事は
裏AVを撮影してはDVDに焼き、焼いてはダビングしている
セコイ連中から上乗せしたみかじめ料を徴収すること。
このビデオ屋のボスは、
オムニバス映画『V/H/S ネクストレベル』のなかの
ギャレス・エバンス監督作『SAFE HEAVEN』
パンツいっちょで血まみれになっていた教祖さま。
激しい銃撃戦のあと、教祖さまはやっぱり血まみれに。
ここでも大活躍のラマはバングンの信用を勝ち取ります。

父親バングンから下っ端の仕事しか任せてもらえず、
鬱憤をためはじめたウチョは
地元の覇権を我がものにせんと企む
新興勢力ブジョ(アレックス・アッバド)の誘いにのって
父親バングンの組織と休戦状態で友好的な関係の
日本のカトウ組とが再び争うように仕向け、
組織を崩壊させて力を得ようと考えます。
マフィアやヤクザの抗争ものでは
どこかで聞いたことのある話ですが、
とにかく、ウチョはだまされやすい典型的なバカ息子なのです。

ウチョが、親の心子知らずな計画を進めるなか登場するのは、
バングンと長い付き合いの飼い犬(狂犬)、
プラコソ(ヤヤン・ルヒアン)!
前作でマッドドッグを演じた、
凶暴なアンガールズ山根ことヤヤン・ルヒアンですよ!!
前作でマッドドッグは死んだはずなので、
『仁義なき戦い』的なキャスティングです。
プラコソは長いナタをもっているにもかかわらず、
ザコと戦うときには片手で戦い、
ターゲットを葬るときだけナタを使うのです。
無敵かと思われたプラコソでしたが、
ウチョの策略にはまってクラブでの大乱闘のあと殺されてしまいます。

そしてさらに、新キャラの
ハンマー・ガール(ジュリー・エステル)
ベースボール・バットマン(バリー・トリ・ユリスマン)
素晴らしい。
それぞれその名の通り、トンカチとバットを武器にしていて
キャラを立てようとしているのがミエミエだけど、そこがいいのだ!
とくに、出勤途中のキャバ嬢がかけているような
デカいグラサン
がクールなハンマー・ガールが
聾唖という設定もいいし、とても魅力的なキャラクターです。
電車の中での殺戮シーンは、
目的はなんなのか、ターゲットはどういう人物なのか、
ターゲットには数人の護衛らしき男たちがいたけど
そんなに大事なら電車じゃなくて車で移動するべきじゃないのか、
などなど、山ほど疑問点はあるけれど
ま、とにかくナイスキャラです。(殺すのは惜しい…)
ベースボール・バットマンが、ボールを打って攻撃するのは
かなり無理があるけど、ま、いいや。

ウチョとブジョの計画は思い通りに進むものの、
バングンはなかなか動じないので、いっそのこと射殺。
その現場に遅れて登場したラマも囚われて
車で連れ去られてしまいますが、
生き延びたバングンの右腕エカ(オカ・アンタラ)
ラマの車を追走。今度は、
車内シラット&銃撃戦の激しいカーチェイスへ!
(オカ・アンタラは『KILLERS/キラーズ』のひと!)

結局、全員殺っちまうしかない! ということで
たったひとりでウチョとブジョがいるアジドへ突入するラマ。
その場にあるものを利用しつつ、次から次へと敵をなぎ倒していく姿は
笑いのないジャッキー・チェンのよう。
さらには、狭い廊下で
ハンマー・ガールとベースボール・バットマン兄妹との激戦!
そして、キッチンでの
キラーマスター(セセブ・アリフ・ラーマン)との一騎打ち!
ラマの体力すげえ!とバカみたいに興奮します。
キラーマスターを演じるセセブ・アリフ・ラーマンは
普段は小学校で英語を教えているんだとか。
英語より先に、シラットを教えてあげて!

……てな感じで、ラストシーンを迎えます。
前作同様、やっぱりアクションは文句なしで素晴らしい。
シラットの細かいリズムと、観ているだけで痛くなるアクションには
心が躍ります。

でもね……146分は長いよ!!
単に時間的な長さが問題ではなくて
せっかくそれぞれのアクションが素晴らしくても
これだけアクションシーンが出てくると食傷気味になってしまいます。
この作品は、シラットアクションに加えて
マフィア映画の要素まで盛り込んでいるわけですが
アクション〜ドラマ、アクション〜ドラマの繰り返しで
アクションで盛り上がった気分を何度も削がれてしまいます。

潜入捜査官ものであるにもかかわらず、
ジョン・ウー監督の一連の作品や
近年では韓国映画の『新しき世界』のような
本当の身分がバレるのバレないのという緊張感はまったくありません。
マフィアの一員になった直後に
ラマは奥さんに電話をするのですが
(盗聴を警戒してCDを大音量で鳴らしつつ)
普通に奥さんと喋っちゃだめだろう!
そこは、無言で切ってくれよ!

また、中心となるのはラマに違いないのですが
物語の軸があちこちに移るので、ドラマに推進力がないのです。
前作『ザ・レイド』もストーリーには首をかしげましたが、
『死亡遊戯』『スパルタンX』のように
ビルの上へ上へと階を進んでいく行動そのものの構造が
やがて訪れる最上階=カタルシスへと導いてくれた
のですが
今作ではどうにも散漫で、それぞれが単発な印象です。

日本人キャストも話題のひとつでしたが
ゴトウ(遠藤憲一)が率いるゴトウ組の存在には
ほとんど意味がない
し、日本のヤクザである必然性もありません。
刺身のつまとしてしか機能していないのですが
それにしても、日本のヤクザとして登場するのが
ゴトウのほか、ケンイチ(松田龍平)リュウイチ(北村一輝)
3人だけで子分も連れていない(ラストシーンを除く)のは、
いただけません。
ウチョの謀反をうけて、3人が思案している部屋も
普通の事務所みたいではなく、派手な神棚とか提灯とか飾って
力のある組であることと日本のヤクザらしさを表現してもらいたいところ。
せめて、そもそもセリフが聞き取りにくい遠藤憲一が
「戦争だ!」と叫ぶときには
後ろに子分がずらっと並んでいるべきでしょう。
これでは、ちっとも大変なことが起きる予感がしません。

どうやら、この作品には
「父と息子」というテーマも隠されているようで、
父バンクンに刃向かうウチョをはじめとして、
ラマにもプラコソにも会えない息子がいます。
非常に判りづらいけど、ケンイチはゴトウの息子のようですが
そこまで重ね重ね用意した「父と息子」というシチュエーションは
ほとんどなにも意味を成していません。
あまり出番のないプラコソ(ヤヤン・ルヒアン)が
別れた妻に養育費を払っていて
息子に会いたいけれど会わせてもらえないとかのエピソードも
時間をくうだけで必要とは思えません。

もっとも物語の根幹をなすべき
ウチョのエディプスコンプレックスも曖昧で、
父バンクンに自分の実力を認めてほしかったウチョは
最終的に至近距離から父親を射殺してしまうので
それなら、ブジョとの策略にはまったく意味がなく、
とっとと父親を殺すために行動すればよかったはずです。
また、終盤のクライマックスのあと、
死に際のウチョがラマを抱きしめるシーンがあるものの、
ウチョとラマの親密さはそれほど描かれていないので
期待されているほどグッときません。
ていうか、ブジョの手首の刺青
それ以前にウチョが処刑した男の体にあった刺青と同じだったので
ウチョはなにかを悟ったようなのですが
……あれはなに?

シラットのアクションは、あいかわらず素晴らしかったけど
あれもこれも盛り込んだ挙げ句に
アクションがサービスシーンにしか見えず、
全体的には求心力の少ない作品だと言わざるをえません。
カメラワークも、いかにも予算あります!ってかんじでしたが
予算が増えれば、それだけ作品の出来が上がるとは限らないという
ものづくりの難しさを考えさせる作品でした。
せめて100分程度に絞れるとよかったかも。

ま、アクションシーンだけでも
十分に楽しめる作品には、間違いありません。





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