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恋の渦

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(2013年/日本 140分)
監督/大根仁 原作・脚本/三浦大輔 制作/山本政志 撮影/大関泰幸、高木風太、大根仁 録音/岩倉雅之、光地拓郎 編集/大根仁、大関泰幸
出演/新倉健太、若井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤匠、上田祐揮、澤村大輔、圓谷健太、國武綾、鎌滝博秋、杉尾真理子、広瀬登紀江

概要とあらすじ
山本政志監督がプロデュースする実践映画塾「シネマ☆インパクト」の第3弾で製作された5作品の1つで、「モテキ」(2011)でブレイクした大根仁監督の長編映画第2作。06年に上演された劇団ポツドールの三浦大輔による同名戯曲で、本音と嘘が入り混じった男女6人の恋をめぐる室内劇を映画化した。13年3月、「シネマ☆インパクト」第3弾のCプログラムとして上映され、大きな反響を呼んだことから、同年7月に単体の劇場公開作品としてレイトショー公開。(映画.comより



恋愛中はみ〜んなDQN!

三浦大輔氏が主宰する劇団「ポツドール」
戯曲を映画化した『恋の渦』
三浦大輔自身が監督した『愛の渦』との
姉妹作といっていいでしょう。
『ロビンソンの庭(1987)』などで知られる山本政志監督による
ワークショップ「シネマ☆インパクト」作品のひとつとして
製作されたこの作品は
撮影日数4日間、撮影予算10万円(あくまで現場の予算)という
超短期間かつ超低予算にもかかわらず、
上質なエンターテイメントとして話題となりました。

「ポツドール」の舞台では
4つの部屋を分割した2階建てのセット
同時進行的に物語が進んでいくそうですが、
この作品でも4つの部屋が舞台となり、
登場人物たちもほぼ舞台と同じキャラクター設定で
限られた制作時間のなかで、
舞台をそのまま映画に移植したようになっているものの
それがかえって、映画にあって演劇にはない
「編集」の面白さを際だたせているように思います。

三浦大輔監督『愛の渦』と比べると
こと映像に関しては大根仁監督に一日の長があるのでしょう。
舞台に使われる4つの部屋は
どれも若者が暮らしていそうなワンルームですが、
大根仁監督インタビュー(映画秘宝2013年9月号)によれば
スタッフやカメラが下がることが出来るだけの「撮り口」が必要なため、
4つの部屋のすべてに、少なくとももう一部屋あるんだそうな。
どの部屋も玄関に向かって撮られているのも特徴的です。

宣伝の言葉通りの「DQN」な連中が集まって
気がふれたように騒ぐ冒頭の12分間
絶対にこんな場所にいたくないと思わせるほど
忍耐力が必要なシーンですが
登場人物全員を紹介するとともに
各キャラクターに対する嫌悪感を植え付けるのに効果的です。
「4時間後」というテロップが出て、
パーティーがお開きになった後、
それぞれがそれなりに落ち着きを見せるようすと比較すると、
「DQNたち」は、パーティーにおいて
「盛り上がらなくてはならないという同調圧力」によって
躁状態になることを強要される「空気」に
囚われているのではないかと思えてくるのです。
彼らは、自己中心的で傍若無人なくせに
「ぜんぜん、ぜんぜん大丈夫」「そういうわけじゃないけど」
友人関係の決定的な断絶は回避しようとするのが
いかにもありがちで、本当に気色悪い。

身体と性欲だけが大人になって、
小学校低学年並のオツムしか持ち合わせない彼らには
ヘドが出るほどの嫌悪感を抱きつつ、
ちょっとした憐憫の気持ちまで湧き上がってきます。
低予算映画の必然とはいえ、
スターではない、観たこともない俳優たちが演じていることが
とくにホラー映画で有効なように
誰が物語の中心となるのかわからなくさせるうえに
誰にでも観客自身を置換可能
にさせています。

「DQNたち」による醜くもおぞましい恋愛模様は
『愛の渦』同様に露悪的で、神経を逆なでするものの、
観客の「覗き趣味」を十分に満たしてくれます。
他人の痴話げんかほど面白いものはないのです。
ところが、
「DQNたち」によってデフォルメされた恋愛あるあるを観ながら
眉間に皺を寄せて嘲っているうちに
どこかで身に覚えのあるなにかを発見するのです。
あの、できれば忘れてしまいたい、
あのときの恥ずかしいアレを。
絶対にひとには見られたくないアレを……

ま、恋愛あるあるの幕の内弁当みたいな作品なので
誰もが身に覚えのある、誰にも知られたくないなにかを
露悪的に見せていっひっひ、という意味では
成功しているということでしょう。
恋愛のあれやこれやをすっとばしてセックスを描いた『愛の渦』が
結局は恋愛感情へと帰結することで物語を成していた
ことを考えると
セックスそのものよりも、
それに至るまでの恋愛のグダグダを描いた『恋の渦』のほうが
多くのものを語るのに適しているということなのかも
しれません。





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