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スガラムルディの魔女

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(原題: Las brujas de Zugarramurdi 2013年/スペイン 114分)
監督/アレックス・デ・ラ・イグレシア 脚本/アレックス・デ・ラ・イグレシア、ホルヘ・ゲリカエチェバリア 撮影/キコ・デ・ラ・リカ 衣装/パコ・デルガド 編集/パブロ・ブランコ
出演/ウーゴ・シルバ、マリオ・カサス、カルメン・マウラ、カロリーナ・バング、ジェイミー・オルドネス、ガブリエル・デルガルド、マカレナ・ゴメス、ハビエル・ボテ、ペポン・ニエト、セクン・デ・ラ・ロサ、カルロス・アレセス、サンティアゴ・セグーラ、テレール・パベス

概要とあらすじ
第67回ベネチア国際映画祭で監督賞と脚本賞を受賞した「気狂いピエロの決闘」などで知られるスペインの鬼才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督が、魔女伝説が伝えられるスペインの田舎町スガラムルディを舞台に、人食い魔女と人間たちの壮絶な戦いを描いた。イエス・キリストや兵士といった格好をし、コスプレ大道芸人に成り済ました5人組の強盗団は、白昼のマドリードで宝飾品店の襲撃に成功する。通りかかったタクシーの運転手を脅して逃走を企てた強盗団だが、追ってくるパトカーを巻こうとして道に迷ってしまい、かつて魔女が火あぶりにされたという伝説の残るスガラムルディの村にたどり着く。村には人間の肉を常食とし、人間社会の転覆を目論む魔女たちがおり、強盗団を追ってきた者たちも交え、魔女と人間の壮絶な戦いが始まる。(映画.comより



煮え切らない魔女のスープ

1年ほど前にYoutubeで予告編をみて
期待を膨らませていたアレックス・デ・ラ・イグレシア監督作が
『スガラムルディの魔女』という邦題で公開されたので
行って参りました。
『気狂いピエロの決闘』はエンターテイメントでありながら、
アメリカ映画とはやっぱり違う、独特の暗さが魅力の作品でしたが
期待値を突き抜けるほど満足できなかったのは事実。
それでも今度こそはと期待してしまうのですが
……はたして。

予告編で惹きつけられたのは
全身を銀色に塗ったキリストがショットガンをぶっ放す姿と
すらりとした脚をむき出しにしてトイレに跨る女性のお尻目がけて
便器の中から何かが手を伸ばしているカットでした。
その映像のどれもがバカバカしくも美しく、
ふざけたフリをしながら隠喩をたっぷり含ませた
クライム・アクションを想像していたのです。

オープニング・タイトルの映像から
ははあん、これは女性の映画、
しかも強い女性の映画なんだなと察しが付きましたが
とにかく、前半は予告編から受けた印象通り。
銀色のキリスト、おもちゃと思しき緑色の兵士、
黄色いスポンジやミッキーマウスや首のない男という
大道芸人になりすました即席強盗団
貴金属店を襲撃します。
犯行後の逃走を考えると、大道芸人になりすますのは
目立って仕方ないだろうと思うものの、
これは画的なハッタリでもあるので十分に許容範囲。
キリストがショットガンをぶっ放すこと自体が面白いのです。

キリストに扮したホセ(ウーゴ・シルバ)が離婚したばかりで
貴金属店襲撃に息子のセルジオ(ガブリエル・デルガルド)
連れてきているのがあまりに荒唐無稽でもご愛敬。
貴金属店襲撃〜逃走中のカー・アクションは
人食い魔女が住むといわれる「スガラムルディ」へ向かうための
プロローグにすぎません。
とはいえ、この前半で
男たちが現実の生活に辟易していて、
とくに妻や恋人との女性関係において鬱憤を溜めていることが
強調されます。
なんせ、貴金属店で強奪した金(きん)は
(あるアイテムを除いて)すべて結婚指輪なのですから
質草にされた結婚指輪が持つ負のパワーを一身に集めた逃走犯たちが
報いを受けるのは必然なのです。

逃走犯たちが「スガラムルディ」に到着してからは
まるでちょっとグロめのディズニー映画を観ているようです。
屋敷の中を逃げ回るシーンなどで
迫力あるカメラワークも堪能できましたが
「魔女」と聞くだけで一気にファンタジー色が強くなります。
また「魔女」に託してフェミニズムを表現しようとする意図
明らかさまになってきます。

ついには、男社会が崇める
「神」(それはホセが扮したキリストへと繫がる)と対峙する
ニット帽をかぶった遮光器土偶みたいな巨大な「母」が登場します。
その醜い造形に若干の悪意を感じないわけではないけれど、
それはさておき、男性も女性も
人間は全て女性から生まれてくるわけで
あらゆる生きとし生けるものの想像主としての「母」なのでしょう。
魔女でありながらホセを愛してしまったエバ(カロリーナ・バング)
トホホなワイヤーアクションで宙ぶらりんになったりしながら
絶対的な強さと巨大さを兼ね備えた「母」を成敗して、
社会転覆を目論む魔女=偏執的フェミニズムの計画は
阻止されるのです。

映画.comのインタビューによると
「そんな世界を経て見出した解決策は、
 魔女のリーダーが望んでいた男社会に代わる女社会ではなく、
 エバと主人公のように男と女が愛し合う世界。
 お互いに協力していくことにこそ、
 解決策があるということが隠れた筋立てなんだよ」

と、イグレシア監督はおっしゃっておりますが
「隠れた筋立て」というほど、本題は隠されていませんでした。

エバを演じた美女カロリーナ・バングは監督の奥さんだそうですが
さんざん女性は理解不能な存在かつ偏執的なフェミニストで
結婚が人生の墓場のように語りながら
最終的には、「お互いに協力していくこと」という
ぞっとするほどあたりまえの判りきった結論へ至り、
それを体現してみせるエバに自分の奥さんをあてがうのは
いささか都合が良すぎませんか?
ハッピーエンドのようにみせかけながら、
生き残った魔女が「まだまだ終わらないわよ〜」的な一言を
最後の最後でつけ加える
のも
結局は、明確な結論や解決策を提示することからの
逃避にしか受け取れません。

もちろん、簡単に答えが出るような問題ではないけれど
それならそれで、しっかりと「隠された」メッセージとなるように
CGをばんばん使ったりしてエンターテイメントに徹した
魔女アクションにしてほしかったし、
女性のあり方のようなものを前面に押し出すのなら
社会的な男女平等を超えた、
制度や認識の変化では乗り越えられない
根源的な男女の性差が抱える問題まで
突っ込んでほしかったと思います。

というわけで、今作も
がっかりしたわけじゃないけど、満足したわけでもないという
煮え切らない印象でした。





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